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【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

前田敦子、小林麻耶らをオトした、モテ“歌舞伎役者”はなぜ客寄せパンダに成り下がるのか?

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――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの"今昔物語"を語り尽くす!

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『愛之助』(ぴあ)

 市川海老蔵に続き、片岡愛之助、尾上松也と若手歌舞伎役者たちのメディア露出が目立つ。共通点は「スキャンダル」。

「かつては女性問題に暴行事件と海老蔵の独壇場でしたが、いまや彼もすでに子供が二人いる父親。最近はおとなしく、さすがにワイドショーを賑わすことはなくなりましたが、代わって愛之助は熊切あさ美と、松也は前田敦子との熱愛発覚後、常にワイドショーにマークされている」(ワイドショースタッフ)というから、二人を呼ぶスポンサーの魂胆はあけすけだ。

「特にイベントは旬な人を呼ぶのが必須。石田純一に代表されるように私生活の話題があればマスコミは集まるし、扱いも大きくなる。愛之助も松也も女の話があり、彼らもきちんと対応するので呼び易い。まさに旬な役者です」(広告代理店幹部)

 呼ばれる愛之助らも、これは絶好のチャンスという。

「昔から歌舞伎の世界では“女遊びは芸の肥し”と言われている。たかだかタレントとの熱愛ではジタバタしない。そんなことで呼ばれるならむしろありがたいほど。タレントのように間接的な質問ではなく、ズバリ聴かれても嫌な顔をせず答える。その答えものらりくらりで交わせば、いつまでたってもマスコミは集まる。結果、露出が増え歌舞伎の宣伝になる。これで歌舞伎座に若い人が足を運んでくれたら万々歳です」(歌舞伎関係者)

 それぞれ思惑はあるにしろ、もっとも深刻なのは歌舞伎界。今や歌舞伎役者も映画にドラマにと本業の歌舞伎以外にも進出する時代だが、やはり本筋は歌舞伎のお仕事。どんなにテレビで売れようと戻る先は歌舞伎の舞台。舞台なくして歌舞伎役者は存在しない。昨年、銀座に新装歌舞伎座が完成。歌舞伎界は活気づいているように見えるが、不安材料も隠せないのが現状だという。

「海老蔵の舞台が見たくて初めて歌舞伎座に行きましたが、一階席は2万円近い。とても高くて手が出せない。仕方なく二階席でしたが、双眼鏡がないとお目当ての人がよく見えない。それに内容は難し過ぎて理解できず、よくわからないまま終わってしまいました。また行きたいとは思いません。海老蔵を見るならテレビで十分ですよ」(二十代の女性)

 現在、博多座で舞台に出演中の愛之助も巷の人気とはうらはらに舞台は空席が目立っているという。博多在住の女性もこう話す。

「愛之助さんの歌舞伎を見たくて見に行きましたけど、1万8000円の一階席は高くて手が出せず、二階席でしたけど、空いていました。私は双眼鏡を忘れ肉眼でしたが、米粒ぐらいにしか愛之助さんは見えない。内容はわからないし、途中で寝てしまいました(笑)」 

海老蔵らの効果で確かに若い人が増えた感はあるが、本質的な目的であるその人たちがリピーターになるかどうかは甚だ疑問だ。

「歌舞伎は未だにお客さんも旧態依然のまま。贔屓筋と呼ばれるセレブな年配客が特等席を占めており、彼らは着物を着て着飾って来場する。とても普段着で行けるような雰囲気ではない。相変わらず敷居の高さは否めません。いくら若手役者を使って客寄せしても、一度行ったらうんざりという人が多い。これでは贔屓筋の高齢者がいなくなった時にお客の底上げができるかどうか。今後はリピーター客を増やし、観客を安定させることに尽きます」(演劇記者)

 すでに男性アイドルを作り続けて五十年を超えるジャニーズは常にファンの新陳代謝ができているから舞台にお客が絶えることがない。伝統を誇る歌舞伎界はもっと抜本的な改革が必要に思う。

 ファンの苦情の多くは「料金が高い。未だに敷居が高くてラフな服装では入りにくい。芝居の内容がよくわからない」というものが大半。芝居は何度も舞台に行くことで徐々に面白さを覚えることだが、やはり料金と雰囲気は改良の余地がある。この二点を早急に見直しする必要があろう。

 いい例が寿司屋。かつてはカウンターで寿司を食べることなど高根の花だったのが、回転寿司や安くておいしいチェーン店の出現で、寿司屋が庶民に近い存在になった。歌舞伎も料金の見直しと、なによりも会社帰りに映画館と同じ感覚でふらっと観劇できるぐらいの雰囲気作りをしたらいかがだろうか?

 愛之助や松也といった若手人気役者のスキャンダルを有効利用したところで、彼らの人気アップには繋がっても、歌舞伎座に常時、足を運ばせるまでには至っていない。あくまでも一過性に過ぎない。そのスキャンダルも、愛之助も松也もすでに食傷気味。次なる若い役者のスキャンダルが待たれているのが現実なのだ。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。


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