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萱野稔人の"超"現代哲学講座 第21回

財政、行政、経済の仕組み……民主主義が実現すると、諸制度が破綻する!?

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──国家とは、権力とは、そして暴力とはなんなのか……気鋭の哲学者・萱野稔人が、知的実践の手法を用いて、世の中の出来事を解説する──。

第21回テーマ「権力の民衆化がもたらす懸念」

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[今月の副読本]
『大衆の反逆』
オルテガ・イ・ガセット/ちくま学芸文庫(95年)/924円
スペインの哲学者・オルテガの名を世界的にした名著。1920年代のヨーロッパ社会を分析した同書には、諸権利を主張し、自らの責任を負わない“大衆”の誕生に警鐘を鳴らしつつ、“真の貴族”と対置させている。


 東日本大震災から一年が経ちました。大震災とそれにつづく福島第一原子力発電所の事故は、日本社会にいくつもの大きな問題を突きつけましたが、そのなかの一つに「専門家はどこまで信頼できるのか」という問題があります。

 福島第一原発事故は専門家への信頼を完全に失墜させました。原子力政策にかかわる多くの専門家がじつは利害当事者でもある、ということが白日のもとにさらされたからです。原発事故後にメディアに登場した科学者や役人たちの対応をみて、多くの人が「専門家は決して本当のことをいわない、自分たちの利益になるような都合のいいことしかいわない」と感じました。事実、福島第一原発事故が起こるまでは、原子力発電がもたらす利益のもとで莫大なお金が電力会社から、原発を推進する科学者や政治家、地方自治体、メディアに流れていました。事故後、多くの人がこうした「原子力村」の実態を知り、もう専門家にはまかせられないと考えるようになったのです。

 問題は、こうした専門家に対する信頼低下をどう埋め合わせるか、ということです。原子力政策を専門家にまかせられなくなったといっても、原子力工学のような高度なテクノロジーについては一般の人たちは何もわかりません。やはり専門的なところは専門家にまかせる以外にないのが実情です。だから、この問題についてよくいわれるのは、専門家は説明責任を果たすことに徹し、具体的な政策については市民がオープンな議論をつうじて決めるべきだ、ということです。政策決定を専門家にまかせられなくなった以上、その政策決定のプロセスをオープンにし、そこに市民を参加させるしかない、という考えですね。

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