社会

冷めやらぬ議論──日本の捕鯨文化はどうあるべきか?

"震源地"を知る学者が反論「それでもイルカ漁続けるべき」

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 イルカ追い込み漁を隠し撮りの手法によって批判的に描き、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画『ザ・コーヴ』。右派団体の街宣活動などにより、いくつかの映画館が上映中止に追い込まれるなどの紆余曲折を経て、去る7月3日、ようやく日本公開となった。

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『ザ・コーヴ』の1シーン。詰めかける「捕鯨反対派」に
辟易した太地町は、くだんの"入り江"畠尻湾を立ち入
り禁止区域に指定した。

 同作の是非や一連の騒動については、多くのメディアが取り上げ、小誌(7月号)も、映画監督の森達也氏と配給元・アンプラグド代表の加藤武史氏との対談を掲載した。ところが、舞台となった和歌山県太地町の住民の生の声はほとんど報じられないまま、今では抗議行動、報道共にすっかりトーンダウンしてしまった。映画公開は、現在でも続いているにもかかわらず、である。

 しかし、"震源地"太地町では、現在でも混乱が続いている。同地で今シーズンのイルカ漁が始まった直後の9月3日、米国の反捕鯨団体シー・シェパードが、イルカ追い込み漁を妨害するため、各国の活動家を現地に送り込んだことを発表したのだ。

 動物行動学者の関口雄祐氏は、5年間にわたり、水産庁の捕鯨調査員(捕獲したイルカやクジラの現地調査などを行うために派遣される)として太地町に駐在、イルカ追い込み漁船に乗り込んだ経験をもとに、映画公開直後、『イルカを食べちゃダメですか? 科学者の追い込み漁体験記』(光文社新書)を上梓した。そんな同氏に、『ザ・コーヴ』に対する太地町民の反応や、日本の捕鯨のあり方について聞いた。


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政界も悩む"実弾"のクリーンな使い方

ハマコー逮捕は遅きに失した!? 浮上するヤミ勢力との"接点"

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使うお金の貴賎は問わない?

 背任容疑で逮捕・起訴された「ハマコー」こと浜田幸一被告。テレビやツイッターを通しておなじみとなっていた、豪放かつ垢抜けたキャラは健在で、保釈後もツイッターで「ただいまシャバへ戻りました!」などとハマコー節を繰り広げている。だが、今回の事件を通して明らかになった浜田被告の"ブラックぶり"に、彼を起用したがるメディアはもうないのではないだろうかという声もある。事件を取材した地元記者が語る。

「浜田被告は、元小結の旭鷲山と組んでモンゴルの金山採掘事業を始めてみたり、沖縄・石垣島の土地取引にまつわる不確かな投資話にかかわっていましたね。いずれも失敗して借金が膨らみ、昨年1月には債権者から破産申し立てをかけられ、千葉地裁で負債5億円に上る破産手続きが始まったことは関係者の間で知られていました。今回、金主のひとりで、2億円を融資した千葉市の産廃業者『三井商事』に担保として差し入れた株券を持ち出し、勝手に売却したという容疑で逮捕されましたが、そこに至るまでの経緯が問題。だって浜田被告はそもそも、アングラ勢力から取り立てを食らうほどのカネを借りていたんですから」

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闇に葬られる裏金疑惑

進展見せぬ官房機密費問題 野中広務の目的は達成済み!?

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野中広務氏の『私は闘う』。本当は一体
誰と闘っているんでしょうか。

 野中広務元官房長官の告発に端を発した「官房機密費問題」。時の権力から、それを監視する立場である政治評論家やマスコミ関係者に、公費が賄賂のごとくバラまかれていたというショッキングな疑惑だ。

「野中氏の『複数の政治評論家に、盆暮れ500万円ずつ届けていた』などという告発を受けて、ジャーナリストの上杉隆氏が『週刊ポスト』で3カ月以上もキャンペーンを張っているけど、いまだ社会的な問題にはなっていない。機密費を受け取ったことを認めた人も皆無。マスコミもこの問題を真剣に取り上げず、騒動はこのまま終息するかもしれません」(週刊誌記者)

 例えば、"疑惑の人"として、「ポスト」で直当たりされた政治評論家の三宅久之氏は、第二次中曽根内閣(1983~84)で藤波孝生官房長官(当時)から「講演会の代役」を受けて、謝礼に100万円を受け取ったが、「藤波氏のポケットマネーだと思っていた」と釈明、機密費受領は認めていない。

 さらに三宅氏は、7月になって「ポストの取材など受けていない」「勝手に記事を作られた」などとテレビで発言、それに上杉氏が反論するなど、丁々発止を繰り広げた。

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世紀の誤報かそれとも......

山口組六代目をめぐる講談社3000万円訴訟の行方

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 日本最大の広域暴力団・山口組をめぐり、講談社が訴訟に巻き込まれているという。

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山口組六代目 司忍 王国への原点回帰』。
はたして宮殿はどこに建てられるのか?

 ある実話誌でも報じられたが、問題となったのは、写真週刊誌「フライデー」(6月18日号)に掲載された、山口組六代目・司忍組長に関する記事だ。現在、司組長は銃刀法違反により服役中だが、来年4月には出所の予定。その放免祝いのために山口組が神戸市に葬祭場を建設。さらに名古屋市には、直参の弘道会が、司氏の自宅を建設するため土地を購入したと同誌は報じている。

 しかし、7月2日付で、名古屋の土地の持ち主A氏が、講談社(野間佐和子代表取締役社長)および同誌の発行人、編集人、執筆者を相手取り、謝罪文の掲載と3000万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴。地元紙社会部記者が解説する。

「弘道会が名古屋市内の土地を買ったという情報が流れたのは、今年の春先。やがて、地域住民の間で『司組長が出所したら、ここに住むのではないか』という噂が流れ、反対運動が起こった。実は『フライデー』の前に、ある週刊誌が住民運動の様子を報じる際、山口組関係者のコメントを引いたが、彼らはきっぱりと否定している」

 にも関わらず、「フライデー」は空撮の写真を使い、司組長の邸宅予定地として紹介したわけだが......前出の記者が耳打ちする。

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日本大学理事長のスキャンダル勃発!

大相撲問題に立ちはだかる壁と当局がマークする"ヤミの紳士"

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「相撲界から暴力団が完全に排除されるよう、事件の全容解明を進める」

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田中英壽氏のプロフィール。(日本大学公式HPより)

 去る7月8日。警察庁記者クラブで、安藤隆春警察庁長官はメガネの奥から厳しいまなざしを記者たちに向けると、毅然と言い切った。なるほど、野球賭博疑惑をめぐる捜査は、長官の言葉通り、勢いづいているように見える。

 周知のように、暴力団関係者が元大関琴光喜に野球賭博の口止め料を要求したという恐喝疑惑を「週刊新潮」が5月にスクープして火がついたこの疑惑。日本相撲協会は内部調査を進め、7月4日、野球賭博への関与が深かった元大嶽親方と元琴光喜の解雇をはじめ、野球賭博をした27人の氏名や、それら力士と武蔵川理事長ら協会幹部の謹慎処分を公表し、社会からの風当たりが強まる中、間近に迫った名古屋場所をNHKが生中継してくれるよう、自浄作用が働いていることを印象づけようとした。

 ところが大方の予想を裏切り、NHKは2日後に生中継の取りやめを発表。翌日には、警視庁が賭博容疑で元琴光喜の自宅や各相撲部屋の一斉捜索に乗り出し、相撲協会の面目は丸つぶれになった。NHK関係者の話。

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週刊誌が絶対書けない裏社会とのつながり

角界以上に華々しい!? 大物芸能人とヤクザとの交友録

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 ここのところ、少しは落ち着いた感はあるが、テレビやスポーツ紙などは連日、裏社会との関係を持ってきた相撲界を批判しまくっていた。まるで暴力団にチケットを渡すことや、彼らと付き合うこと自体が違法行為であり、社会的に断固許されないことであるかのように。

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やっぱりコンサートの衣裳は黒服?

 もちろん、日本相撲協会が財団法人という公益性を帯びる組織であることを考えれば、厳格な対応は必要だろう。公共放送のNHKが名古屋場所の放送を中止したのも致し方ないのかもしれない。NHKに限らず、民放各局も、公共の電波を預かっている立場ゆえ、その運用も厳しく律されるべきだ。

 だが、違和感を覚えるのは、公然の秘密であった角界と暴力団との関係を見て見ぬふりをしてきた各テレビ局が、今回、警察当局が動きだすと同時に騒ぎだしたことだ。さらに問題はある。ベテラン芸能ライターが指摘する。

「相撲界の黒い交際を問題であるとするならば、芸能界のそれを問題にしないのはフェアではない。暴力団と付き合いのある、または、その活動が暴力団の資金源となっている可能性のある芸能人や芸能プロは、即刻テレビから退場を願わなければならない」

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メディアが報じない紛争地の真実とは?

米軍の誤爆が続くアフガンの惨状で大統領も暗殺の危機!?

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 本誌4月号など、これまで継続的に報じてきたアフガニスタンの国内事情。いまだ同国内では反政府武装勢力タリバンと、米軍やNATO軍の間で紛争が絶えない。そこで犠牲になっているのは、罪のない一般市民たちだ。日本でも約4500億円もの支援を継続することを菅直人首相が表明したばかり。だが、国内のメディアは現状をほとんど報じず、人々の関心は薄れていくのに反比例して、事態は悪化しているという。今年1月に続き6月も現地に足を運んだというジャーナリスト・西谷文和氏に、アフガンのリアルな今を再び聞いた。

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タリバンによるロケット弾攻撃を受けたカブールは
厳戒態勢に。取材も困難な状態となった(写真上)
戦争による貧困により、病気の娘を治療もできず
に失った母。亡き娘の墓の前で(写真下/いずれ
も撮影は西谷氏)。

──西谷さんは5月31日から6月12日にかけ、ご自身5度目のアフガン取材を敢行されました。そのときの状況をお聞かせください。

西谷(以下、西) 6月2日から4日まで「ピースジルガ(和平会議)」が首都カブールで開催されることになっていたので、そこから取材をスタートするつもりで2日にカブール入りしたのですが、その日にカブールにタリバンによってロケット弾3発が撃ち込まれました。

──ご自身は無事だったのですか?

西 私はそのとき、ピースジルガの会場となるアフガニスタン警察学校の近くにいたのですが、「ドーン」という乾いた爆発音がしたので「あ、やったな」と。前日から「何か起こらなければいいが」と通訳と話をしてはいたんです。しばらくすると、また爆発音と乾いた銃声音。その後はサイレンを鳴らす救急車や軍関係者の車が何台も通り過ぎて、大騒ぎになりました。爆発音が聞こえたのは、最終的に4回です。

──ロケット弾はどこを狙って撃ち込まれたのでしょうか。その影響は?

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くすぶる普天間問題の火種──

普天間問題で民主に追い風?特捜が狙う「馬毛島疑惑」の効用

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立石建設工業の公式HPより。

 去る5月。東京国税局査察部がある脱税事件の刑事告発に踏み切り、政界にひそかな動揺が広がっていた。事件の舞台は、米軍普天間基地の「県外移設候補」に挙がっていた鹿児島県の無人島「馬毛島」。そのほぼ全域を所有する「立石建設工業」と同社の立石勲社長を東京地検特捜部に告発したのだ。

「馬毛島には、移設を見越して立石側が2本の滑走路を建設中だったんです。告発容疑は、社長の誘致活動そのものを問う内容でした」(国税担当記者)

 告発容疑を見ると、立石社長は馬毛島の所有権を関連会社「馬毛島開発」名義で取得し、140億円をかけて滑走路を建設。ところがその費用を貸し付けていた銀行から返済を迫られるなど資金難に陥ったため、富山と埼玉にある所有地をグループ会社間で取引して約10億円の損失が出たように装い、約3億円を脱税していた。

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民主党"もうひとつの政治と金"問題

産経新聞官邸キャップが"激辛"日教組批判を展開中!

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阿比留瑠比氏の著書
決定版 民主党と日教組』。

 教職員による最大の労働組合「日教組」。教師を一労働者と位置づけ、社会主義的イデオロギーを前面に打ち出す集団だ。民主党をリベラル政党とイメージする国民も多いが、同党には日教組関連の政治組織に所属する議員が8名いる。その筆頭が、小沢一郎氏の最側近とされる参議院議員会長の輿石東議員だ。

『決定版 民主党と日教組』(産経新聞出版)の著者で産経新聞記者の阿比留瑠比氏は、官邸キャップとして政権を見続けている。本書は、著者が4年にわたり日教組の実態を書き続けてきたブログに加筆修正してまとめたもの。阿比留氏が言う。

「輿石氏は、日教組傘下で最も強力な組織のひとつ、山梨県教職員組合(山教組)執行委員長出身の"日教組のドン"。その組合員による違法な政治活動が彼の権力基盤を支えています」

 全国的な日教組の組織率が3割未満といわれる中で、山教組は約95%。選挙期間中、教師らは校内で選挙運動を行い、候補者の輿石氏が挨拶回りにくれば授業は自習にして、職員室で同氏の演説を聞く。そんな異常事態に精神が疲弊していく教師も多いという。

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競合他社の報酬が高いと広報が喜ぶ理由とは?

キヤノン御手洗は逃げ切り!? 報酬1億円騒動の舞台裏

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キヤノン公式HPより。

 財界の反対を押し切って金融庁が推し進めた"1億円ルール"が施行された。これに伴い、6月の株主総会などで役員報酬が一斉に個別開示され、最高額の8億9100万円だった日産のカルロス・ゴーン社長を筆頭に約290人が該当、各メディアが大々的に報じた。この「報酬1億円騒動」を、各業界ごとに振り返ってみよう。

 まずは電器業界。ソニーは、10年3月期決算で408億円の最終赤字に陥ったにもかかわらず、ハワード・ストリンガー会長兼社長が8億1450万円を得ていた。この"落差"、庶民感覚では首をかしげたくなるが......


「米石油大手オクシデンタル・ペトロリウムのレイ・イラニ会長の約46億円を筆頭に、欧米企業では10億円プレーヤーがゴロゴロしている。日本企業はかわいいものです」(経済アナリスト)

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『ゲストと共に“ワンテーマ”を掘下げるネット発の時事鼎談。』

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『おなじみのアフロ君がくさす、毎月の気になるニュース。』

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『映画を通してズイズイっと見えてくる、超大国の真の姿。』


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