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NewsPicks後藤直義の「未来経済グリーン」【5】

日本版イーロン・マスクは、 どこから生まれるのか?

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ある科学者は言う「気候危機に根拠はない」と。 ある投資家は言う「SDGsに逆張りしたほうが儲かる」と。彼らがいかに否定しようとも “グリーン経済”は大きく動き始めている。 世界で今、起こっているこのムーブメントの最前線をリポートする――。

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パワーエックス公式サイトより。

世界中で勃興するグリーン分野の新しいビジネス。では、日本からは勢いのあるスタートアップは生まれてこないのか。取材をしながら、いつもそう考えてきた。

11月下旬、都内で開かれたスタートアップイベント『スタートアップ・エブリデイ』で、どうすれば日本から大きなグリーンビジネスを生み出せるのか、というテーマのセッションに参加した。

私はモデレーターとしてステージに上り、いま注目されている蓄電池スタートアップのパワーエックス(PowerX)の伊藤正裕CEOをゲストとしてお招きした。同社の創業経緯がとても面白かったので、ここで紹介したい。

伊藤CEOは高校卒業後の2000年、当時のITブームの波に乗ってヤッパを創業。その後、ファッション分野のECサイトを手がけるスタートトゥデイ(現ZOZO)に会社を売却し、そのまま前澤友作氏と経営を切り盛りしてきた人物だ。

「実は、本人は伊藤ハムの創業家の生まれです。子どもの頃はインターナショナルスクールで教育を受けており、英語も流暢に使いこなします」(関係者)

かの“ゾゾスーツ”の開発では、責任者として四苦八苦。海外の生産拠点に張り付きながらも、思ったようなサービスにできないまま、プロジェクト終了という苦汁も嘗めている。

一見すると、グリーンとは無縁なキャリアに思えるかもしれないが、実はこのゾゾで、大きな気づきがあったのだという。それが、株主から受けた脱炭素に向けたプレッシャーだったそうだ。

「サステナビリティについて真剣に取り組まないと、これから株式を持ち続けることは、難しくなるという連絡を受けた」(伊藤CEO)

ファッション分野のECサイトとして、脱炭素に向けて取り組むことはなんだろうか――。それを模索している中で、グリーンなエネルギーを溜めることができる、蓄電池のビジネスに大きな可能性があることに気づいたのだという。

いま日本政府は、脱炭素のために太陽光や風力などの再生可能エネルギーを、2030年までに倍増させる計画を立てている。その比率は、19%から37%にまで高まることになる(第6次エネルギー基本計画)。

しかし、太陽光は日が沈めばエネルギーを生まず、風力タービンは風が吹かなければ止まったままになる。こうした問題を解決するためにも、エネルギーを溜め込むための大型蓄電池は、もっともっと必要になると言われている。

そこでパンデミックのさなかであった2021年に、伊藤CEOはパワーエックスを創業。まるでコンテナのような大型の蓄電池「Mega Power」であったり、電気自動車用の急速充電器「Hyper Charger」などの出荷を始めている。

すでに大手企業から合計152億円を集めており、企業価値にして500億円を突破するベンチャーになった。

「2024年は、売上高だけで200億円以上を見込んでいる。作っただけ売れるほどの勢いでオーダーが来ている」と、伊藤CEOは語る。

まさに期待のグリーンスタートアップだが、その背景を聞くと、日本でこの分野が盛り上がらない理由も見えてくる。

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