サイゾーpremium  > ニュース  > 芸能  > NGT事件で秋元康に焼きが回った? 会いに行けるアイドルが招いた悲劇
ニュース
【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

NGT事件に見る、ビジネスモデルの限界。"会いに行けるアイドル"が招いた悲劇

+お気に入りに追加
1901_ngt48.jpg『世界の人へ(Type-A)(DVD付)(特典なし)』(アリオラジャパン)

 男ならば憧れの女優や歌手と仲良くなりたいと思うもの。「恋人になったら」と夢を持つこともあろうが、所詮は夢のまた夢。妄想だけで終わる。それが「スター」の存在である。星のように遠くで美しく輝いて人々を魅了しても、決して手の届かない存在。今の芸能界に本当の「スター」と呼ばれる人はほとんどいない。現役を続けなおかつ映画で主演を務める吉永小百合(73)ぐらいしか思い浮かばない。今もストイックなまでの女優人生は変わらず、私生活の顔が伝わってこない。子供はなく夫と2人の生活だが、実態は伝わってこない。映画記者が話す。

「スターは私生活を徹底してベールに包むことで、神秘性を増す。吉永はそれを貫き通し続けている唯一の女優。夫婦で街を歩いている写真だけ撮ってもスクープだと言われているほどです」

 文字通りのスター女優もいれば、NGT48のようなアイドルも同じ芸能人。が、実態は大きく異なる。NGTは「会いに行けるアイドル」のキャッチで売り出した手の届くところにいるアイドル。2015年に、AKB48の7組目の姉妹グループとして新潟を拠点にスタート。新潟に専用劇場を開設し、東北地方も含め北陸地方出身者が主なメンバー。ファンも地元の人が中心だ。徐々に人気は広がり、いよいよ東京進出も目前に迫っていた矢先に事件は起きた。メンバー一期生の山口真帆(23)は青森県出身。「明日のスターを夢見て」新潟までやってきた。住まいは運営者が借り上げたマンションだが、そのマンションでファンに襲われたのだ。昨年12月8日夜、山口が帰宅した自宅マンションの玄関先で待ち伏せていたファンの男2人が声を掛けたところ、大声を出したために口を手でふさいだ。駆けつけた警官に暴行容疑で逮捕されるも、不起訴となり12月末に釈放された。事件は公表されなかったことで、山口が行動に出た。事件発生から1カ月後、「SHOWROOM」の生配信で事件の全貌を涙ながらに訴えた。芸能関係者が話す。

「SNSなどの配信がある時代なので昔なら闇に葬られていた話でも、自ら発信することで公にすることができる。山口も運営側が適切な対応をしなかったことで、自ら恐怖を訴えて社会に告発。運営側の今後の対応を求めたのでしょう」(芸能関係者)

 告発の中で山口がもっとも疑念を抱いていたのが、「男はなぜ山口の自宅を知っていたのか、帰宅時間がなぜわかったのか」の二点にあった。自宅に関しては東京と違い狭い街。しかも地元の劇場が活動。自宅を知るのは簡単なことだが、帰宅時間まではそうわからない。そこで浮上したのが「メンバーが教えた」という話だった。山口も疑惑を持っている。

「漫才師でも仲が悪いと言われる世界。グループはもちろん、50人もの組織になれば派閥もできるし、お互い人気を巡ってライバル関係にある子に対して、足の引っ張り合いぐらいはやる」(芸能プロ関係者)

 山口は帰宅時間を教えた犯人を「メンバーの子」と特定した。運営側は調査中としているだけで、未だに真相を明らかにしていない。今後の対策も明確ではないが、むしろ根本的な問題はNGTのようなグループのあり方。「会いに行けるアイドル」として売り出して成功したが、ここにきて弊害が現実のものになったのが今回の事件。実際、犯人の1人は山口と同じマンションでしかも真ん前の部屋に住んでいた。こんなことができてしまうのが、地方アイドルの悲劇でもある。

「俗に“太いファン”と呼ばれ、コンサートには最前列でかかさず応援する。グッズやCDも買ってくれる。運営側にとっては一番の上客。大事に扱はなければならない。襲った犯人グループは特定されているといえ、不起訴処分。今後、コンサート会場から締め出しをすれば、彼らの行動がさらに暴徒化する恐れもある」(芸能関係者)

 運営側がタレントの管理をするといっても、限界がある。「会いに行けるアイドル」商法の大きなリスクだ。従来のスターのように手の届かない存在であれば、ここまでファンは夢中にならないし、人気は出なかったはず。ファンに近づければファンは夢中になる。それは過去の例が物語っている。

「ビジネスモデルとなったAKBのメンバーの中にもファンとの交際が明るみになった子がいる。ファンは誰もが会いに行けるだけでなく、“より仲良くなりたい”と思うのも無理はない。だからアピールしようとお金を使って応援に来る。対応策はますます難しくなる」(音楽関係者)

 秋元康が作り上げた新たなアイドルビジネスは個人の写真集がバカ売れするなど、確実に化学反応を起こしている。事務所側にとってはタレントの卵のなかから大化けをする子の誕生を待っている。今や一大芸能ビジネスとなっているグループアイドル商法。今回は軽度の事件だったが、芸能史を見てもファンの暴走が激化したケースは少なくない。社会的な問題に発展する可能性もある。そろそろ考え直す時期に来ている。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年9月号

戦争と平和

戦争と平和
    • 平和を願った【ジャニー喜多川】の戦後史
    • 【スピルバーグ映画】が訴える戦争
    • アメリカの【アトミック・カルチャー】
    • 【PTSDになった日本兵】の悲しき境遇
    • 【BTSDアメリカ兵】を描いた傑作映画
    • 米軍では反発も…【LGBT自衛隊員】の憂鬱
    • 戦争を金に!【トランプ】の魂胆
    • ドラッグ、殺人【米ラッパー】の司法戦争
    • アイドルが歌う【反戦歌】と音楽業界
    • 【激戦地区】の異文化と気候の地政学
    • 【映画監督・塚本晋也】ベトナム戦争映画のトラウマの意義
    • 【映画監督・想田和弘】GoProで撮影された映画で観客が失神
    • 【映画監督・宮崎大祐】戦争の記憶を掘り起こす異常な暴力映像
    • 【ラッパー・Kダブシャイン】禁断のアメリカ史を描いたフィルムメーカー
    • 【イスラーム映画祭主宰・藤本高之】中東紛争に肉薄した3作品
    • 卍とハーケンクロイツ【ナチスと仏教】の結びつき
    • 国防としての【サイバーセキュリティ】

竹内渉、究極の"美尻"撮

竹内渉、究極の
    • 【竹内渉】が魅せた色香と素顔

NEWS SOURCE

    • 【関ジャニ錦戸】退所報道の舞台裏
    • 【ソニー】音楽ビジネス大改革の裏側
    • 【秋元司・内閣府副大臣】の疑惑とは

インタビュー

    • 【上原実矩】──"年金"で女優業に目覚める !?
    • 【田川隼嗣】──18歳が月9の現場で武者震い
    • 【釈迦坊主】──元ホストラッパーの光と闇

連載

    • 【RaMu】二郎デビューしたんです。
    • 【川上愛】スパイに間違えられたモデル
    • 【菜々子】が一番大事
    • 【動画メディア】の未来と情報発信のあり方
    • 【萱野稔人】人間は"教育"によって生かされている(後)
    • 高須基仁の/【テレビ】はもう終わった
    • 盆踊りに【使徒】襲来
    • 中国大富豪たちの【ポッドキャスト】
    • 【RIZE】逮捕で考える薬物とロック
    • 町山智浩/【おしえて!ドクター・ルース】90歳のセックス・セラピスト
    • ポピュリズム政策【MMT】は日本経済の救世主か?
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 笹 公人「念力事報」/帝国の翳り
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/マンガ『1122』ソリューションとしての不倫
    • アッシュ・ハドソンの「アングラ見聞録」
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 伊賀の里でビールを仕込む【忍者ブルワー】見参!
    • 幽霊、新しい大衆はもう猿を見ない。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』