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「子どもが生まれるから、もう早く死にたい」

【独占インタビュー】お騒がせラッパーRYKEYが激白! 血まみれインスタライブの真相と新作『MZEE』で歌ったストリートの闇

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 ラッパーのRYKEYが最新アルバム『MZEE』を自身の誕生日である12月12日にリリースした。が、本作が発売される10日前から、RYKEYはネット上でもっともホットなキーワードだった。それは、彼が12月2日に血まみれでインスタライブをしたからだ。怒りで取り乱したRYKEYはさまざまな固有名詞を出してしまったため、さまざまな憶測が広がったのである。『MZEE』発売直前に敢行した今回のインタビューでは、“炎上の先輩”である〈9SARI GROUP〉代表・漢 a.k.a GAMI立会いのもと、血まみれインスタライブのその後、最新アルバム、さらにRYKEYという人物の本質に迫った。(取材・文/宮崎敬太)

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右:RYKEY(リッキー)/1987年、東京都八王子市で日本人の父とケニア人の母との間に生まれる。中学2年生のときに、地元のギャング「八王子クリップス」のメンバーとなり、17歳でラップを始める。2008年にプロデューサーのJIGGと出会い、楽曲制作をスタート。15年に『Pretty Jones』『Amon Karona』といったアルバムをリリースするが、その後、約1年にわたって服役することに。17年冬に再始動し、『John Andersen』を発売。そして今年12月12日、4thアルバム『MZEE』を発表した。客演としてKANDYTOWNの故・YUSHIとDony Joint、DOGMA、Cz TIGER、漢、道、仏師、JAZEE MINORが参加。
左:漢 a.k.a. GAMI(かん)/1978年生まれ、新宿出身のラッパー。レーベル〈9SARI GROUP〉代表。2000年代前半にラップ・クルーMSCを率いて新宿ストリートのドラッグ、セックス、バイオレンスを歌い、頭角を現した。05年にフリースタイルバトル大会「UMB」を設立し、MCバトル番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)では初代モンスターを務めた。また、15年出版の自伝『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社)がベストセラーとなり、18年に同名のソロ・アルバムを発表した。

一人の人間として申し訳ないと思っている

 なんで毎回アルバムを出す前に何か起こすわけ?

RYKEY (妻・紅蘭の)妊娠とか婚約とかね。でも、本当にいつも偶然なんです。

 こう続くと、RYKEYが売名してると思うヤツらは絶対出てくるでしょ。でも、こいつはこういうことが起こってしまう星の下にいる人間なんですよ。それに、そもそも今回みたいなことは現場で普通に起こることだし。

RYKEY うん、昔から変わんないっすよ。ずっとこういう感じ。少なくとも俺にとってのヒップホップはモメ事も込みっていうか。俺は昔からこういうのが普通で、逆にこれしか知らない。今回の件もこんな大ごとになると思ってなかった。

 だけど、感情的になってインスタライブやって、事件と関係ない人の名前を出すのはやめてほしいよね。っていうか、普通に俺と関係性があるヤツばっかだし。少しは俺の気持ちと立場を考えてほしいもんだよ(笑)。レーベル(9SARI GROUP)とか関係ないのに、なぜかRYKEYとセットで見られちゃう俺のヤバさっていうか……。いろいろ出てきた固有名詞に関しては、全部インスタライブのコメント欄に出てきた名前を読んで、それに反応しちゃったんでしょ?

RYKEY そうっすね。でも、本当にめちゃくちゃ興奮してたし、完全に泥酔してたんで、よく覚えてないんですよ。

 「ANARCHYなんて関係ねぇから」ってのは、こいつ的に「ANARCHYは事件と関係ない」ってニュアンスだったんだろうけど、見てる人にはそれが全然伝わらなくて、「ANARCHYが黒幕」って思われて炎上した。

RYKEY でも、俺からしたら「こんなんで驚いちゃって、ネットの人たちとか、みんな大丈夫なの?」って感じですけどね。ヒップホップはみんなと仲良しこよしするもんじゃないから。実際、唾奇なんかとはもう普通に話してて、「ちょっと酔っ払ってましたね、RYKEY君」みたいなので終わってますし。ヒップホップをわかってるヤツらは、みんなそういう感じですよ。でも、ヒップホップ以前に、事件と全然関係ない人たちの名前を出しちゃったのは、一人の人間として本当に申し訳ないと思ってます。

 じゃあ、あとはBAD HOPとANARCHYに連絡して「ゴメンね」みたいになれば、誤解も正されるんじゃないですか? それで炎上も終わりです。

トラブルの数だけ音源がある

ーーそもそも、お2人はどうやってつながったんですか?

 4年くらい前にRYKEYが、悪知恵が働くストリートのいろんな人たちのツテをたどって俺に近づいてきたんですよ。当時はこいつの言葉ひとつで動く部隊がいてね。そいつらのパワープレイみたいな感じで寄ってきたんだけど、なんかよくわからないうちに、俺とRYKEYは個人的に仲良くなってた。今となっては疫病神みたいなもんですけど(笑)。

RYKEY 何がどうなって、誰と誰がどう絡んでいるか、俺もよくわからないんですよね。ストリートは奥深いんですよ。

ーーそういう複雑な環境が関係しているのかわかりませんが、今回のアルバム『MZEE』は自己を確立するための重要性を歌った作品ですね。


RYKEY このアルバムの歌詞をRYKEYが書いてると思わないでほしい。深すぎるっしょ?

 深いっていうか、何言ってるか意味わかんねぇから(笑)。解説すると、こいつのラップはいつも誰かが乗り移ってるんですよ。確かにRYKEYが歌っているんだけど、第三者の自分が語り出すような感覚でやってる。こいつの身体にはアフリカ大陸の血が流れてるから、その呪術的な感覚がラップに出ちゃってる。過去作のタイトルも人の名前だったりするじゃない? 毎回いろんな人の感情が乗り移ってる半劇場型の作品なのね。でも、リアルに暴力事件が起きたりもして、その体験も歌詞にはなってる。そこがこいつのメンドくさいところで。当事者にとってはいつも問題作だし、聴いてる人は真相がわからないっていう。

RYKEY 漢君ならわかると思うけど、レコーディングしてると何かが降りてくる瞬間があるんですよ。それに任せて人生を思い出してるような感じ。

 俺の場合、レコーディングは基本的にいつもフリースタイルなんですよ。それを2小節か4小節ずつ録っていく。鎖のスタジオができてからは、ほぼそういう感じでやってて。今年出したアルバム『ヒップホップ・ドリーム』もそうやって作ってるんです。こいつの場合は、まだ紙に書いてる感じだけど、感覚はかなり俺に近い。そういう部分とか犯罪のことをラップするのは、俺の影響だと思う。さらに、韻も踏まずにラップしていいことをBOSS THE MCから学んで、ラッパーが歌っていいことをSALUから学んだ(笑)。

ーーTHA BLUE HERBのBOSSさんとも交流があるんですか?

 いや、一方的にリスペクトしてるだけ。ほかにも鬼とかいろいろな人に影響を受けてるんですよ。そうやって歌詞を書いて、ぶっ飛んでたり良いテンションのときにスタジオに来てラップする、みたいな感じ。

RYKEY できるだけ直感的にしたくて。それが一番間違いないから。今回の出来事を知った人が『MZEE』なり過去作なりを聴いたら、何か感じることはあると思うんすよ。SNSとかで勝手にギャーギャー騒いでる連中も、まず音源を聴いてほしい。聴かずにとやかくいうヤツはただのヘイターってことです。

ーー直感的に制作をしているにもかかわらず、今作の「zero」のように高度な言葉遊びをした歌詞が生まれるのは面白いですね。あの曲での「ゼロ」は、「何もないこと」に加えて「お金の桁を増やすこと」のメタファーにもなっている。


 たまたまですよ(笑)。でも、それがいつまで続くかってことが大事、本当に。RYKEYの場合、そういうのを勉強じゃなく、経験から学んでる。それこそが“MZEE(ムゼー)”なんだろ?

RYKEY 間違いないっす。俺はトラブルの数だけ音源がある。今回の「intro」でも言ってるけど、“MZEE”って成熟した人間を指すケニアの言葉なんです。ただ、正確に表現できる日本語はない。成熟した人間とは、自分が何者か知っているヤツ。俺は俺でしかないし、お前はお前でしかないというニュアンスもある。このテーマでやろうと思ったのは、『ヒップホップ・ドリーム』の「分岐点」を聴いてから。漢君がCDをくれたときの俺は懲役が終わったばっかりで、個性を社会に殺されてた。そんなときにに「分岐点」を聴いたんで、マジ泣きまくった。自分の人生を包み隠さず吐くことのカッコよさっていうのを改めて悟っちゃったんです。

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「RYKEYとセットで見られちゃう俺のヤバさ」について話すMC漢。

暗い過去を背負い、はばかりながら生きている

ーー今回のアルバムでは「aborigine」でお2人は共演していますね。

RYKEY 仲間たちと一緒に上がっていきたいという曲です。言葉がなくても伝わるっていうのがテーマになってます。

 アボリジニはオーストラリアの原住民のこと。そいつらは言葉じゃなくて、テレパシーだけでなんでも通じ合ってたっていわれてる民族なんだよな。

RYKEY 俺の1ヴァース目「俺の見てる景色はいつも交差 理屈抜きじゃリアルなホラー」っていうのは、まさに俺のいる場所の真実なんですよ。漢君は「チクタク時が刻む中 空高く散ってった あいつはなんの合図も挨拶もないまま うんともすんとも言わなくなっちまった」と歌ってるけど、ストリートで生きてるとそういうことも当たり前に起こる。あと、「think about」で歌ったけど、俺は昔、覚醒剤を売ってて、これまで何人も中毒者にしてきた。なのに、俺は大物俳優の娘と結婚するとか。

 嫌ってるヤツがこいつの幸せな姿なんか見たら、殺したくなると思いますよ(笑)。

RYKEY だから、俺ははばかりながら生きてるんですよ。実際、今回みたいに集団でヤラれたり、カッコ悪いこともたくさんあった。でも、俺のラップに非公開はない。包み隠さずすべてを言葉で吐けるヤツがヒップホップだし、“MZEE”なんですよ。こうしてラップすることで、似た境遇のヤツらに自分も生きてていいんだって思ってもらいたい。だから、音楽にこの身を捧げてる。そして、俺は死んだヤツの思いも一緒に背負って生きてるんです。

 今回のアルバムは身を削ってるヤツが、身を削って死んだヤツのために歌ってるんです。「aborigine」もそういう歌ですね。

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「これまで何人も中毒者にしてきた」と語るRYKEY。

ーーKANDYTOWNのYUSHIさん(2015年に他界した紅蘭の弟)が「romantic city」に参加しているのも驚きました。

RYKEY YUSHIはその曲で、「音楽は遊びじゃないんで食らわすって思い出してくれ」って言ってますよね。今回のアルバムは本当に人生を削ってる人としかやりたくなかったんですよ。あと、義理の両親にも聴いてもらいたくて。その曲を聴いて、義理の母は泣いてくれた。YUSHIのことは死ぬ前に知ってて、会ったことなかったけど、いつか必ずやる運命だと思ってた。

 DONY JOINT(KANDYTOWN)とはどういう経緯でやることになったの?

RYKEY あいつとYUSHIは子どもの頃からの付き合いで、一番仲が良かったんですよ。最初は俺とYUSHIのタイマンでやろうと思ってたけど、KANDYTOWNのヤツにも入ってもらったからDONYに声をかけました。家も近いんですよ。

破壊と再生を体現するカルマ

ーーアルバム『MZEE』を踏まえてお話を聞いて、RYKEYさんの考えるヒップホップがどういうものか少しわかった気がします。

 つまり、ヒップホップはサラリーマンにもヤクザにもなれないヤツがやる、最後の道なんですよ。だからこそ、嘘ついちゃいけない。ストリートにいなくても本気でヒップホップをやってるヤツは、みんなそういう覚悟でやってる。

RYKEY そうすね。俺はみんなにもっと本能的になってほしいんですよ。さっきも言ったけど、ヒップホップに非公開はないから。なのに、あのインスタライブの後、何個か仕事がなくなった。意味わかんねぇよ……。まあ、俺と関わりたくないならそれはそれでいいけど、お前ら芸能人かよって思う。

 例えば、最近のラッパーはインスタに写真を載せるために高い服を借りたりするんですよ。丘サーファーじゃないんだからさ、とは思うよね。俺なんてこんなパーカーしか着てないけど、間違いない音源を出せば信じてくれるヤツらがいる。そいつらと一緒に上がっていきたい。

RYKEY 俺みたいに生意気言ってるヤツは結果が求められる。『MZEE』には、そんなヤツの人生が落とし込めたと思う。だからこそ、今回の騒動が気になったヤツには聴いてもらいたいんだ。

 『MZEE』はウチのスタジオで録ったんですよ。最近は機材が発達してるから宅録するヤツも多い。オートチューンとかも流行ってるし。もちろんそこは否定しないけど、俺はラップするためのスタジオで制作する良さがあると思ってて。場から生まれるものがあるというか。『MZEE』はそういう意味で、すごく“ラップしてる”アルバムだと思うね。

RYKEY そうそうそうそう。それが“MZEE”なんですよ。自分と自分の近くにいる人たちと共有したものを、すべて落とし込みました。

 本来のヒップホップを忘れんなよ、みたいなね。RYKEYはもともと俺の生徒みたいなもんだったけど、今は逆に先生でもある。俺自身も教えてもらうことがある内容でしたよ。

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RYKEYがあのインスタライブや新作について熱っぽく語るのに対して、漢は冷静に切り返してく。

ーーアルバムには「daddy」という曲もありますが、そろそろお子さんが生まれるそうですね。

RYKEY うん。12月25日のクリスマスが予定日なんですよ。

 そう言えばこいつ、この前「子ども生まれるから、俺はもう早く死にたい」とか言ってたんですよ。「自分の遺伝子は残したから、もう悔いはない」的な。カマキリかっていうさ。その発想は本気で理解できなかったけど、やっぱりこいつの中には、我々とは違うアフリカ大陸の血が流れてるんだなって思うことで、自分を無理やり納得させた(笑)。

RYKEY カルマってそういうもんかなって。破壊と再生を体現するというか。最近コメント欄でも「死なないでね」とか「もう死にそう」とかいっぱい言われる。不思議ですよね。

 全然不思議じゃねぇよ(笑)。俺ですら普通に「RYKEY、殺されるんじゃないかな」って思うから。だから、絡みたくないってアーティストが多いのかもしれないけど、結局、RYKEYっていうのはこういうヤツなんですよ。

●インフォ

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RYKEY『MZEE』
(マンハッタンレコード)
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