サイゾーpremium  > 特集  > 本・マンガ  > 「君たちはどう生きるか」徹底レビュー【8】/これがヒップホップならば

出版界のヒットメーカーが編集を手がけ、瞬く間に100万部を突破した『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)。糸井重里ら著名人も称賛のコメントを寄せ、メディアにも絶賛の記事が並んでいる。本稿では、そんな同書の裏にあるイデオロギーや時代性を、“サイゾー的”に批評、レビューしてみると……。

小林雅明・音楽ジャーナリスト

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著書に『誰がラッパーを殺したのか?』(扶桑社)、監訳書に『チェック・ザ・テクニーク』(シンコーミュージック)や『ロスト・ハイウェイ』(扶桑社)などがある。ツイッターは@asaakim


 原作は未読ながら、メタ構造が取られた本書は、いわば原作に対する〈2017リミックス版〉と位置付けられるのではないだろうか、というのがヒップホップ脳である評者の第一印象だ。

 ヒップホップは、今ここに生きている自分自身を表現する(ための)アートフォーム。特徴的なのは、本書の最初で釘を刺されている“自分を中心に物事を考える生き方”のほうを優先している点で、その考えを実践し、成功した暁には自分の周囲の人間全員(地域社会)に恩返しをするのが基本となっている。その点については、弟をおんぶしながら学校を休んでまで働く豆腐屋の浦川君、あるいは、その店の下働きの人たちと同じ境遇であるといっていい。

 そしてヒップホップでは、そういう人たちが日々生きていく中で得た、それこそコぺル君的な“気づき”が言葉に、そして曲になっている。また、本書のおじさん的な“ファーザー・フィギュア”が、読書ではなく、ヤバイ仕事を通じて、知恵を得、生きるヒントを与えている場合が圧倒的に多い。

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