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続々と増える芸能事務所レーベル

関ジャニ∞移籍で露呈……原盤権売却で見えたジャニーズの強権!

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続々と増える芸能事務所レーベル

ジャニーズ事務所のジェイ・ストームをはじめ、アミューズ(エー・スケッチ)やスターダストプロモーション(スターダストレコーズ)、吉本興業(よしもとR&C)など、大手芸能事務所が音楽部門を設立している。しかし大手レコード会社とは違い、独自の流通経路を持たないため、流通はレコード会社に委託せざるを得ないのが現状だ。

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先頃リリースされた移籍後第3弾シングル。チャート首位が確定すれば、19作連続首位の記録となる。

 歌手活動だけではなく、『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ)、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)といった自身の冠番組を持つなど活躍の幅を広げ、今やトップアイドルとなった関ジャニ∞。彼らがデビュー当時から所属していたテイチクエンタテインメントを離れ、ジャニーズの音楽部門「ジェイ・ストーム」内にプライベート・レーベル「INFINITY RECORDS」(以下、インフィニティ)を立ち上げたのは、CDデビュー10周年の年であった2014年8月25日のこと。

 04年にシングル「浪花いろは節」でデビューした彼らは、テイチク内の演歌歌手が多く在籍するレーベル「テイチクレコード」から5枚のシングルを発表した後、07年に同社のポップス系レーベル「インペリアルレコード」へ移籍。インペリアルはピンク・レディーを発掘し、またサザンオールスターズの「チャコの海岸物語」のモチーフとなった人物である、元歌手の飯田久彦氏が99年にビクターからテイチクに転職した後に設立したレーベルとして知られている。

「インペリアルは、テイチクの“演歌”というイメージを払拭するために新設されたレーベルであり、〈演歌×ポップス〉という立ち位置であった関ジャニは、ビクター時代にSMAPを手がけ、ジャニー喜多川さんとのつながりも深い飯田氏が設立したインペリアルに所属したといわれています」(音楽業界関係者)

 飯田氏は06年にテイチクを離れ、エイベックスの取締役に就任。関ジャニは14年8月24日までインペリアルに在籍、テイチクの“演歌一筋”というイメージを変えることに大きく貢献した。大手レコード会社に勤務するスタッフの話。

「関ジャニの移籍は、『インペリアルでの役目は十分に果たしただろう』と判断されたこと、また飯田氏がすでにテイチクを離れていることから、もう義理を重んじる必要がないと考え、藤島ジュリー(景子)さんが取締役を務めるジェイ・ストームに抱え込みたかったのでしょう」

 しかし、関ジャニ移籍後のジェイ・ストームでは、思いもよらない展開が起こったと関係者は続ける。

MEMO『関ジャニ∞』
ジャニーズ事務所所属の7人組アイドルグループ。活動開始から在籍していたテイチクエンタテインメントを離れ、ジャニーズの音楽部門「ジェイ・ストーム」内に自主レーベルを新設した。

「移籍すると同時に、テイチク時代の関ジャニの音源はすべて生産終了のアナウンスがされ、わずか1年足らずで品番を変更し“ジェイ・ストームの商品”として今年7月1日に再発されることになったんです。基本的に原盤権はレーベルが所有していることが多く、アーティストが移籍しても廃盤にならない限り、移籍先のレーベルから短期間で再発することはほとんどないので、これは異例のことです」

 こうした事態の背景には、ジャニーズ事務所が所属アーティストの原盤権【1】を持っていることが大きく関連している。ちなみに原盤権とは、CDの制作費を負担した者が持てる権利であり、負担の割合によって原盤印税のパーセンテージが変わる(例えば、アーティストが制作費を個人で全額負担すれば原盤権はアーティスト個人が100%、所属事務所とレコード会社が半分ずつ出資して制作すれば、原盤権は両者で50%ずつ所有)。

 当然、楽曲が売れなければ原盤権所有者が赤字(CDの制作費に加え、PVの撮影費や返品費など)を背負うことになるので、原盤権はリスク回避策としてレコード会社/事務所に分散させることが一般的といわれている。しかし、ジャニーズのジェイ・ストームをはじめ、アミューズのエー・スケッチ、スターダストプロモーションのスターダストレコーズのように、業界内で影響力の大きい芸能事務所が自社レーベルを保有している場合、リスクは大きいながらも、楽曲の権利を自由にコントロールできる原盤権を自ら所有するケースも少なくない。今回の状況について、権利関係に詳しい音楽出版社に勤務するスタッフはこう語る。

「契約状況によって異なりますが、ソニー所属アーティストの原盤権はソニーが完全所有することが多く、移籍後すぐに生産終了・廃盤にし、再発盤の販売はできない契約を結んでいるといわれています。今回の関ジャニの再発を見る限り、原盤権はもともとジャニーズ事務所が所有していたか、あるいは移籍後すぐにではなかったところを見るに、テイチクから原盤権を高額で買い取った可能性も考えられます。いずれにしても今後はテイチク盤が完全消滅するわけですから、デビューから二人三脚で歩んできたテイチクのスタッフさんからしてみれば、ジャニーズの行為は不義理な行為と思われても仕方ありません」

 アーティストの移籍は、売り上げ不振やレーベルと折り合いがつかなくなったりした場合に行われるのが一般的だが、今回の関ジャニ移籍劇に至っては、原盤権を保有していると思われるジェイ・ストームが、他レーベルに所属しているジャニーズ・アーティストをまとめたいという目論見があったのかもしれない。前出・音楽業界関係者がため息を漏らす。

「こうしたやり方がまかり通ってしまうと、原盤権の利益は事務所に集中し、レコード会社の利益は流通費のみとなり、役割が極端に減ります。もちろん、あくまでジャニーズやアミューズのようにコンテンツ力に確固たる自信がなければできないこと。現在、V6はエイベックス、SMAPはビクター、Sexy Zoneはポニーキャニオンなど、ジェイ・ストーム所属ではないジャニーズ・アーティストもまだ存在しますが、今後、大手芸能事務所が自社でレーベルを持ち、流通のみレコード会社に委託【2】するというやり方が当たり前になっていくのかもしれません」

レコード会社の業務が激減 レーベルと事務所の諍い

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インフィニティのウェブサイト。ジャニーズにしては珍しく、PVもアップしている手の込んだ作りよう。

 アミューズに所属する福山雅治は、所属レーベルこそユニバーサルミュージックだが、去る4月にリリースされたカバー・アルバム『魂リク』制作の主導権は、事務所であるアミューズが握ったようだ。大手芸能事務所に勤務するスタッフに聞く。

「福山雅治は00年からユニバーサルに所属していますが、『魂リク』に関していえば、アミューズが原盤権を持ち、ユニバーサルは流通のみを受託した形だったのではないでしょうか。レコード会社にとっては、流通業務もそれなりの利益にはつながりますから。近年はCDではなくダウンロード配信のほうが売り上げが好調で、さらにこれからはストリーミングサービスも続々と始まります。CDの制作行為自体がコストになるので、事務所は低コストの配信に積極的になりますが、コストはかかるが利益率の高いCDを販売したいのがレコード会社、という構造も問題視されているんです」

 近年では、LDHが自社レーベル設立の筆頭格になるのではと噂されている。06年からエイベックスと業務提携を結び、所属アーティストの楽曲をエイベックス内のレーベルから発表しているが、EXILEのみならずE-girlsや三代目J Soul Brothersなど、優秀なスタッフを自社で抱えることによって、次々と新ユニットをブレイクさせることができ、レーベルに依存する必要性はほとんどないといえる。しかし、このところライブ事業が波に乗っているエイベックスなので、LDHは良好な関係性を築き続けるという見方もある。

 嵐やAKB48など、一部のアーティストを除き、CDのミリオンセラーが誕生しないこのご時世。印税狙いで勝負に出るか、あるいは流通業務で手堅く行くか――。

(田口瑠乙)

【1】原盤権
作詞家や作曲家、編曲家に加え、ミュージシャン、エンジニアなど音楽制作に必要とされる費用を負担する代わりに、最終的に完成した原盤を取得する権利。日本における原盤印税は、通常販売定価の12~16%といわれている。制作費を負担するレコード会社が原盤権を保有することが多いが、近年は芸能事務所が持つレーベルの台頭によって変化が起きている。

 2010年の宇多田ヒカルのベストアルバム『Utada The Best』リリース時のように、原盤権を保有していれば、アーティストの意思とは無関係に作品がリリースされたりすることで、トラブルに発展することも多い。

【2】流通のみレコード会社に委託
アーティストがレコード会社に所属している場合、そのレコード会社が制作から販売に至るまでの全権利を持っているように見えるが、実際は流通のみ担当で、制作には関与していないケースも増加傾向にある。本文で触れているが、福山雅治『魂リク』には、ユニバーサルミュージックで制作された証明となる“U”から始まる品番が刻印されていない。

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