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【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

戦略的離婚が影響した“高倉健という男の生きざま”と熱愛報道が出なかった本当の理由

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――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの“今昔物語”を語り尽くす!

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『あなたに褒められたくて』 (集英社文庫)

 高倉健さんが亡くなった(享年・83)。

「健さんはいつも不死身。どんなに切られても死なない。死ぬはずがないと思っていた」と真顔で語るファンもいる。スクリーンで観る健さんの役柄と被らせていたからである。

 安保闘争全盛時。当時の若者は健さんの任侠映画に魅せられていた。当時、健さんの映画は週末に行われたオールナイトブームを作った。土曜の深夜から始まり、始発電車の出る朝方まで上映された。当時は二本立て上映。健さんの映画は必ず最後だった。「健さん危ない」と掛け声が飛び交い、終了時には場内から拍手喝さいが起きた。映画館を出る男たちはみんな厳つい顔になり、健さんになりきっていた。その時は「俺も健さんのように生きたい」と思っているが、三日もすれば元の自分に戻っている。娯楽がなかった時代とはいえ、健さんの世界は別物だった。

「映画スターと呼ばれた人には勝新太郎さんや石原裕次郎さんがいましたが、最後まで映画スターを貫いたのは健さんかもしれません。健さんは最後までテレビなど他のジャンルに魂を売ることはなかった。最後まで映画スターに拘り続けた」と映画関係者は賛辞する。その拘りが私生活を見せないことだった。

「週刊誌に追われて記事になって初めて一人前の芸能人」と言われている。しかし、健さんはどう追いかけても私生活が見えてこない。

 裕次郎さんでも勝新さんでも銀座や赤坂に行けば、その遊び方を垣間見ることができた。健さんの姿を夜の街で見たことはない。出向かわなかったのだ。撮影が終わると人目を気にする必要のない海外で過ごしていたという。

 それでも、「なんでもいいから健さんの情報を探してこい」とデスクに命令され、情報収集に走った。健さんの居所を掴むのも困難だった。仕事の拠点は京都の東映と東京の撮影所。健さんの来ている店を聞き、店を取材するのが精一杯。京都の洋食屋や中華店。東京の珈琲専門店。普通、お店を取材すると女性など私生活のヒントになるようなことを聞けるものだが、健さんは皆無だった。行きつけの店はカウンターが必ずあり、その片隅が健さんの席。普段も寡黙な人だったという。

「健さんは本当に気心の知れた相手だと、饒舌に話します。冗談も言うし面白い人。でも、普段はスクリーンの役柄と同じで寡黙を貫き通しています。一歩外に出たら、オフでも高倉健だった人です」(芸能関係者)

 唯一、健さんの私生活が公になったのが歌手・江利チエミさんとの結婚だった。新婚当時、メディアに撮らせたフイルムもあるが、離婚後、女性の話はもちろん、私生活を語ることもなくなった。そこで流れたのが「同性愛説」。「若い男を連れて海外に出かけている」というものだ。

「通っている会員制のジムはゲイのたまり場」などと都市伝説のように喧伝された。

「パリの病院で健さんがエイズで亡くなったという話が流れ、日本のマスコミが色めきたったことがありましたが、あれも当時、エイズはホモに多いということから、健さん死亡説に信憑性が増した」(元スポーツ紙記者)

 後の会見で健さんの口からも触れられ、怒りをあらわにしていた。離婚後、健さんに浮いた話が出なかったのは、江利さんの妊娠と離婚がトラウマになっていたとも言われている。

「表向きは流産となっていますが、実際は江利さんの仕事の都合で“中絶”したという話もあります。昔の芸能界で中絶は珍しいことではありません。そんな苦難を超えても二人は相変わらず仲睦まじかったが、チエミさんの姉の金銭トラブルが発生。健さんにまで借金が及ぶのを避ける為の一時的な離婚だった。その約束があるから再婚に踏み込めなかったのではないかと思う」という証言もある。

 離婚後、江利さんは孤独から酒の量が増した。そして、お酒を飲み過ぎ嘔吐したものが気管に入り窒息死した。事故死である。後に江利さんの実家を取材したことがあった。

「娘は寂しさを紛らわすためにかなり飲んでいた。ウイスキーの牛乳割りが好きで、そのため嘔吐したものが詰まりやすかった。水割りだったら命を落とすことはなかった。健さんはお葬式には来ませんでしたが、命日には必ず桐箱入りのお線香を送ってくれます」

 健さんの豪邸は亡き妻の墓の近く。月命日には必ず墓参りをしていた。健さんは最後までスクリーンのヒーローそのままに生きた。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母親が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。


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