サイゾーpremium  > 限定  > 「当事者だから遠慮なく書けることがある」知ってるようで知らない本当の"在日コリアン"の実態とは――!?
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在日コリアン白書2014 [Kindle版]

 かゆい所に手がとどく――。『在日コリアン白書2014』を一読した感想である。

 客観的なデータに基づいた在日コリアン問題の入門書であり、政治的な出来事や事件などについては、あまり深く切り込んでいない。

 それにもかかわらず、ついつい「へぇー」と声をもらしたくなる小さな発見を随所で得られる。

 たとえば、在日コリアンという呼称について。

日本に在住するコリアンには「朝鮮籍」の人々と「韓国籍」の人々がいるが、どうしてひとまとめにして呼んでいるのか。

本書によれば、この両者は「違うようで同じ」、「同じようで違う」という微妙な関係にあるという。「ある場面では明確な区別を望む声が出る反面、またある場面では、互いの共通性を前面に出したいという要望が強く出るなど、呼称の問題は当人たちにとっても日本人にとっても、非常に神経を使うもの」だったとのこと。在日コリアンという呼び方は、こういった問題に対する微妙な配慮から生まれたという。

 また、本書に盛り込まれたデータと分析からは、在日コリアンの結婚相手として日本人の割合が最大となり、そこに、近年になって韓国からやってきた「ニューカマー」の夫や妻が加わることで、コミュニティー内の人口構成や意識が多様化しつつある実態も垣間見える。

 民族団体どうしの対立が激化した経緯など、新聞やテレビがおいそれと触れられない事情もさらりと記している。

 著者の李策氏(在日3世)は、この本を世に送り出した理由について、次のように話す。

「従来、在日の歴史や実態についてまとめた本というのは、どちらかというと"日本社会のマイノリティーを保護しよう"とか、"民族差別が起きるのを防ごう"とかいったスタンスで書かれたものが多かった。そのせいか、在日コミュニティー内部の葛藤などに言及することには遠慮があったと思うんです。そうすると、本の内容と現実との間に若干のズレが生じてしまう。そのまま議論を進めると、ズレがどんどん大きくなる可能性がある。それを防ぐために、当事者だから書ける遠慮を排した本が必要だと思ったんです」

 ヘイトスピーチの問題などともからみ、在日コリアンの存在に言及される場面は確実に増えているが、「在日コリアンの輪郭をしっかりとらえて語っている人は、ほとんどいないのではないか」と李策氏は言う。どんな意見を述べるにせよ、その土台をなす知識やデータのメンテナンスは欠かすべきでない。電子書籍限定の本書は、スマホやタブレットに放り込んでおける点でも便利だ。


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