サイゾーpremium  > 連載  > 【町山智浩】超人Xメンが見た現代アメリカのマイノリティ問題
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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第79回

超人Xメンが見た現代アメリカのマイノリティ問題

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『X-MEN フューチャー&パスト』

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舞台は2023年、地球はセンチネルというロボットにより、壊滅へと進んでいた。突然変異により生まれたXメンは、これを阻止すべく、センチネルがアメリカ政府に採用された1973年にウルヴァリンの“魂”を送り込んだ。半世紀を超えて繰り広げるバトルの勝者は一体……。
監督:ブライアン・シンガー/出演:ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンスほか。現在全国ロードショー中。


「スパイダーマンはユダヤ系だと思う」

『アメージング・スパイダーマン』シリーズの主演俳優アンドリュー・ガーフィールドは、タイムアウト誌のインタビューでそう言った。

「だって彼はノイローゼ気味だから。ユダヤ系のステレオタイプだけど」

 ガーフィールド自身の祖父も東欧系ユダヤ人で、元はガーファンクルだという。スパイダーマンになるピーター・パーカーが住んでいるのはNYはクイーンズのフォレスト・ヒルというユダヤ系移民の住宅地。原作者のスタン・リーもNY出身のユダヤ系。リーバーというユダヤ系らしい名字だったがWASP風のリーをペンネームにした。50年代までのアメリカでは、ユダヤ系が仕事を得るために名前を変える必要があった。

 スタン・リーのヒット・コミック・シリーズ『Xメン』は、もっとストレートに「マイノリティへの差別」をテーマにしてきた。超能力を持って生まれたミュータント(突然変異の人々)が主人公なのだ。

 映画化5作目になる今回の『フューチャー&パスト』は、2023年、ミュータントを捜索して殺すロボット「センチネル」によって全滅寸前に追い込まれたXメンが、センチネルがアメリカ政府に採用される直前の1973年にタイムトラベルし、それを阻止しようとする物語。そのためには、磁力を操るミュータント、マグニートが必要なのだが、彼はケネディ大統領暗殺犯としてペンタゴンの地下牢に収監されている。

 JFKが暗殺された63年は、『Xメン』の出版が始まった年であり、黒人の公民権運動のピークだった。南北戦争後も南部では100年近くにわたって人種隔離政策が続いていた。これに対してキング牧師は非暴力デモで戦ったが、アラバマ州政府は暴力でデモを潰そうとした。警官たちが無抵抗の黒人を殴る模様はテレビで全世界に放送され、JFKは南部の人種隔離をやめさせる公民権法を準備していたが11月に暗殺されてしまった。今回の映画では、JFKはミュータント差別反対の政策も進めていたので暗殺されたと暗示される。マグニートは弾丸を曲げて狙撃を阻止しようとしたのだ。

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