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【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

プレゼントに使用済みコンドーム? AKB48のこぎり事件から考える芸能人の“革新と劣化”

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――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの"今昔物語"を語り尽くす!

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『AKB48総選挙公式ガイドブック2014』(講談社)

 かつてトップに立つ芸能人は「銀幕スター」「トップ歌手」と呼ばれ、文字通り「スター(星)」の如く輝き、庶民からは手の届かない神秘的な存在だった。握手はもちろん、撮影、サインなどしてもらえるのは奇跡的なことでもあった。

 昔は歌手とファンの間で唯一、間接的に結ばれたのが紙テープだった。ファンは事前に用意した色とりどりの紙テープをステージの歌手めがけて投げ、歌手の体の一部に触れることで、歌手と結ばれた気になったものだ。外れると体に接触するまで何本ものテープを投げる。終了後はステージ上にテープが散乱していたものだ。なかにはトイレットペーパーもあった。歌手に言わせると、「時折、遠くから投げたテープの芯が顔に当たり痛い思いをしたこともあったが、テープの数がファンのバロメーターでもあった」と回顧する。

 もっともテープがあったのは、当時、一世を風靡したロカビリー歌手や歌謡曲を歌う歌手が大半で、演歌などの世界は「静かにじっくり聴かせる歌」だったため投げることはなかった。

 また移動など外で芸能人と遭遇しても、握手どころか、近づくこともできなかった。大物芸能人になればなるほどマネージャーから付き人、専属のヘアメイク、スタイリストまでが周囲を囲み、「少し顔が見えた」だけで喜ぶほどだった。取り巻くスタッフの多さがスターの証明でもあった。そう簡単に握手などしないのがスターのプライドとも言われた。

 ところが、AKB48に象徴されるように現代はスターが下界に降りてきた感が強い。「親しみやすい身近な存在になった」とも言えるが、東京や大阪など主要ターミナル駅でファンが遭遇すればたちまち人だかり。握手やサインに応じ、携帯電話の写メで撮影も自由。いい時代になったと思う反面、「芸能人も安っぽく見える」時代になったとも思う。

 会えない場合、芸能人との間接的な接触がファンレターやプレゼントだった。これも普通の手紙や贈り物ならいいが、危険も持ち合わせていた。封書の開封口の裏に薄いカミソリを張り付けておき、手で開けた際に指を切る。「脅迫めいた文面もあった」という話も聞いた。

 これではファンを通り越しストーカーである。つまるところ、ファンとストーカーは紙一重なのだ。

 日活にロマンポルノ女優がいた時代。彼女らの元には変態的なプレゼントが相次いだ。「これをはいて下さい」というスケスケの下着ならまだいいほう。バイブやら使用済みのコンドームまでエロに関するものばかり。「女優と言っても裸にもなるし、疑似でもセックスを売りにしているのだから、ファンも“やりたい”という気持ちで接触してくるのだから仕方ない面もある。逆に花のプレゼントをもらったら、この人、大丈夫なのかしら(笑)と思ったくらい」と苦笑する女優もいた。

 ストーカー的なファンもいた。後を付け、家を探し当て、なにをするわけでもなく、家の周囲をうろうろするだけ。特に犯罪ではなく注意もできず、気持ち悪い思いをするだけだが、そのために引っ越しをした人もいた。

 芸能人とファンの間には少なからず垣根がある。しかし、AKBはその垣根を取っ払い、「会いに行けるアイドル」のキャッチフレーズで売れた。アイドルが身近になったわけだが、そのお礼に「握手会」を開催。「新曲CD一枚ごとに握手券」を付けるや、一人で何十枚、何百枚と買うファンが続出。CDの売り上げは驚異的に伸びた。歌が聴きたいのではなく、握手券欲しさにCDを買う。

 本末転倒のような気もするが、AKB商法は大成功を収めている。結果、メンバーらは握手会を行う。これまで手だけは厳重にチェックしていたという。

「唾液を付けたり、時には自分の精液を付けるふとどき者もいた」というから、手をチェックして消毒させるのは仕方なかったのだろうが、持ち物検査を怠ったのはうかつだった。まさかノコギリを持ちこんでいたとは考えなかっただろう。

 だが、これで握手会中止とはいくまい。握手会はAKBの生命線と等しい。最大の売りの握手会をなくせばファンが減少するのは目に見えている。握手会はAKBの使命でもあろう。

 そもそもAKBは芸能界のスター候補生という位置づけでスタートしたはずだ。まだスターの予備軍に過ぎず、いわば芸能人になるための学校。だから「卒業」というシステムがあり、毎年、卒業生が出る。

 卒業して本当の芸能人になりスターになれば、握手会もしなくてすむ。ただ卒業後のほうが難しい。「AKBの○○としてすぐに会いに行ける」から人気があったが、その肩書が取れた途端、それまで応援していたファンが引いてしまう。

 かつての”おニャン子””モー娘。”から卒業した人で現在、「スター」と呼ばれる人はほとんどいない。果たして、AKBの卒業生からスターは出るのだろうか?

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。


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