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彼女の耳の穴【11】

【市川沙椰】ヤジを飛ばす勇気がなくて……ごめんなさい。

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──耳は口ほどにモノを言う。教えて、あなたの好きな音!

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(写真/三浦太輔 go relax E more)

Touching song

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憂歌団
『天王寺』
1975年にデビューした大阪のブルースバンド・憂歌団の名曲。「天使のダミ声」木村充揮率いる同バンドは98年に活動休止したが、13年5月に再結成を発表した。


 好きと嫌いとでいうと、私は「好き」を増やしたいタイプです。実はよく文句を言うほうですし、嫌いなものも結構多いので。たとえば男の人のブーツインとかも苦手……とまで言ってしまうと悪いですけど、「なかったらいいのになぁ」という私の中のリストには入っているので(笑)。

 音楽は大好きです!

 14歳の時に日本に戻ってきたんですけど、憂歌団なんて驚きました。アメリカで暮らしていた頃からブルースが好きだったんですけど、日本にもこんなにカッコいいブルースバンドが存在するんだって衝撃的で。この間も、木村充揮さん(憂歌団のヴォーカリスト)の弾き語りライブが聞きたくて、横浜の日ノ出町まで行ってきました。最高でした。ただ、ひとつだけ「ごめんね」と思ったのは、コール&レスポンス=別名ヤジを飛ばせなかったこと。木村さんや憂歌団のライブでは、ファンの方たちによる小粋なヤジとその返しが素敵なんですよね。トイレに行きたい人が「木村! ちょっとトイレ行ってくるから待っててや!」「待つか、ボケ!」みたいな(笑)。でも、その日のライブは、ちょうど台風の日でお客さんが少なかった上に、客席もおとなしめの方が多かったんです。何度か「じゃあ、私が」って思ったんですけど、小粋なヤジを飛ばせる自信がなくて、「やっぱり小娘がするもんじゃないな」とあきらめました。木村さん、勇気がなくてごめんなさい。

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