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彼女の耳の穴【10】

【美保 純】中学で「悪夢」を聞いて、一発でトリコになりました。

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──耳は口ほどにモノを言う。教えて、あなたの好きな音!

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(写真/三浦太輔 go relax E more)

Touching song

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スティービー・ワンダー
『悪夢』
1974年に発表された17thアルバム『ファースト・フィナーレ』に収録された1曲。原題は「You Haven’t Done Nothin’」。バックコーラスをジャクソン5が務めている。


 恥ずかしいからあんまり言ってないんだけど、私、25歳ぐらいまでバンドをやってたんです。プライベートで。女優だと好きなファッションはできないけど、音楽なら自分で選んだ服が着られて好きな髪形にできて、楽しいしうれしくて。ドラマだと、うらぶれたアパートの人妻=エプロンとか決まっちゃってて、自分が思っているよりダサい役ばっかりなわけ。だから、音楽をやることでバランスが取れていたし、カレシもバンドマンが多かったです。女優とミュージシャンって、ちょうどいいんですよ。突っつき合うだけで殺し合わなくていいというか。あと、熱い演劇論を役者同士で語っちゃうような居酒屋に行かなくて済むし(笑)。

 音楽は10代の頃から好きでした。いまも大好き。家では、四六時中必ず音楽を流してますね。テレビは画面だけつけて音は消している感じ。古くて小さいテレビのままだし。完全に音楽志向。

 中学生の時にスティービー・ワンダーの「悪夢」を聞いて、ブラックミュージックに完全にハマったんです。同級生たちは郷ひろみを聞いてる時代ですから、私だけ浮いていました。でも10代の私は、一刻も早くめちゃくちゃな髪形にしたかった。とにかく、ファンキーで、なに人かわからないような髪型にしたくて。でも、地元の静岡の田舎町には、アフロにしてくれる場所がなかった。学校を辞める高校1年の時にやっと見つけて、スティービー・ワンダーやマイケル・ジャクソンの写真を握りしめて「これに近づけてくれ!」って。アフロレイキというアフロヘアー用の櫛があるんですけど、それを持っているのが、その頃の自分的にはおしゃれでした。世間的には不良だったんでしょうけど、酒やタバコはやってなかった。不良っていうよりも、ブラックミュージックオタクだったと思います。

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