どんなに立派なお言葉も、決して素直に受け取らない卑屈家が2人。そのこじれた思考に、偉人たちの格言を浴びせてみると……?
今月の格言
人付き合いがうまいということは、人を許せるということだ。
ロバート・リー・フロスト(Robert Lee Frost)
1874年、アメリカ生まれ。『雪の降る夕方森に寄って』などで知られる詩人。ピューリッツァー賞を4度受賞している。1963年、没。
小 「人付き合いがうまいということは、人を許せるということだ」。ロバート・フロスト、アメリカの詩人の格言です。友だちが多い人は、あらゆる欠点を受け入れられる人ってことですかね?
高 欠点っていうか、相手の嫌な部分に気付かないだけなのかもしれない。そういうアンテナが低い人っているじゃない。気付いた上で許す人と、そもそも気付かないっていう違いはあると思うんですよ。もし気付いたら、その上で、その人の嫌な部分とか、自分に害がある部分を受け入れて付き合えるかどうかってことですよね。小明ちゃんは、どう?
小 私が思う人付き合いがうまい人っていうのは、フェイスブックとかで自分たちの写真を超載せて、ウェーイって、アメリカンホーム・ダイレクトみたいな指のポーズしてる人たちですよ。
高 ああ、あの水牛みたいな(手をグーにして親指と小指を出す)。
小 そう、そうやっていっぱい自分の写真をアップして、友だちが多いことをアピールしてる人たち。ネットで中学高校の同級生を検索して「ひとり同窓会」をしようとすると、いつもそんなページに行き着いて、なんか落ち込んでパソコン閉じるんですよ。
高 その人たちと小明ちゃん、もう付き合いないでしょ?
小 ない。
高 接点もないでしょ。
小 ない。
高 向こうが付き合っていないってことは、小明ちゃんが向こうを許していない以上に、向こうもこちらを許していないんじゃない?
小 ええ! 「友だちが多い=人を許せる人たち」に許されないって、なんかヤバくないですか? こっちに問題があるみたい!!
高 この業界にいればさ、多少そういう、ウェーイってノリの人とも会ってきたでしょ? そのウェーイ同士がうまくやっているのに、我々との付き合いが続いていないってことは、まず、こちら側が許していないってことだから。
小 違いますよ、まず向こう側から「こいつ違う」って線を引いてきてるんですよ。だから私も会話に入れなくて……。
高 どうかな。人となりを説明するのにさ、「ウェーイの人たち」とかっていう失礼な表現をする人は、出てるよ、態度に。紹介という名の形を借りたテロだもん。そうじゃなければ、ウェーイの人がこちら側のことを許せてるはずだよ。
小 そんなことないです! 思い出してください! スクールカーストの中途半端なところには、必ずウェーイの人がいて、スクールカースト下の人はいつもウェーイの人たちにバカにされて…… 先に人を否定してきたのはアイツらです(涙ぐむ)。
高 ウェーイの人たちは、眼中にないよ。そんなに。
小 え? 見えてないの?
高 上の人をチクチク妬んでいるのは下の人だけで、向こうからしたら、いてもいなくても関係ない。我々みたいな虫けらが誰かに踏みつけられて死のうが、向こうは知らないんだよ。「アイドルライターって何?」「◯組の目立たなかったやつらしいよ」「知らねー!」ってなっているだけで。「マジかよ! そんなかわいい子いたっけ?」「仲良くしておけばよかったー」とはならない。「テレビ出てねぇじゃん」「サイゾー? 読まねぇし」ってなりますよ。でも、こちら側は、クラスで眩しかった人の名前も、顔も、言動までも覚えているわけですよ。許せてないから。向こうはなんとも思っていないのに。
小 …… 辛いッ!
高 まず、こっちが許せていたら、その当時、もっと好かれていたのかもしれないし、そういう今もあるんじゃない? でも、やっぱり許せていないから、今こうなってるわけで。
小 許せていないわけじゃないですよ! 間にも入りたかったけど……。
高 間に入ろうとして拒絶されたくないから、嫌うという行為で誤魔化しているんじゃないかな?
小 今日のカウンセリングは怖いなぁ。自分のことを差し置いてさぁ。パーケンさんが今言っていることは、ご自分にも刺さってるんですからね。
高 その通り。でも、俺はもう年齢がいっているから、鈍感になって、許せないパワーも収まってきてるの。だから、初めて会った接点のないウェーイ側の人とも、しゃべれるようになってきてる。それが継続するかどうかが難しいけど、その場をこなすことはできるようになってきている……だから、実は私もウェーイ側の人間なんですよ。初めまして、小明ちゃん、ウェーイ側の人間です。
小 ウェーイ!? そんなの嘘です!!パーケンさんがウェーイ側の人間なわけないじゃないですか!!
高 ウェーイ、ウェーイ。
(構成=小明)
小明(あかり)
1985年生まれ。02年、ホットドッグプレスドリームガールズ準グランプリを受賞。サイゾーよりCD「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中。サイゾーテレビ『小明の副作用』出演中。アラサーアイドルとしていろいろ悩みがある模様。
高橋健一(たかはし・けんいち)
1971年生まれ。お笑いコンビ・キングオブコメディとして『キングオブコント2010』優勝。愛称はパーケン。サイゾーテレビ『ニコニコキングオブコメディ』出演中。アラフォー芸人としていろいろ悩みがある模様。