事件の向こうに世相が見える──「何がどうしてそうなった」世にあふれる珍事件・怪騒動・不思議ニュースに光を!
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年末ジャンボの発売日、今年も有楽町の売り場には長蛇の列ができていた。今年の1等は4億円。もし当たったら、宝くじの当せん金には税金がかからないので、丸ごと自分のものとなる。一方、競馬の払戻金は一定額を超えると「一時所得」として半額が課税対象になるという。でも、競馬でそんなに儲かるはずはないから心配無用……と思いきや、【記事A】のような事例が発生していた。
大阪市の男性会社員(39)が競馬で得た所得を申告せず脱税で起訴されたのだが、その額なんと5億7000万円! 脱税以前に何をどうすりゃ競馬でそんなに稼げるのか?
しかし、これには裏があった。会社員は「インターネットで馬券計約28億7千万円分を大量購入し、30億円余りの払い戻しで差し引き約1億4千万円の黒字に」てことで、つまり2万8700円買って3万円ちょっと取ったぐらいの話なのである。ところが国税局は「払戻金から当たり馬券の購入費1億3千万円を引いた約29億円を一時所得と判断」し、“巨額脱税”となったわけだ。
いやいや、それってひどくないスか、国税局さん。会社員側は「外れ馬券も経費と認めるべきだ」と無罪を主張してるらしいけど、そりゃそうでしょ。ハズレ馬券を経費と認めないなんて、コンビニとかで売れ残り弁当の仕入れ代は経費と認めないというのと同じだもんな。
にしても、億単位の馬券を買う資金はどうしたのか。同事件を報じた毎日新聞によれば、市販の競馬予想ソフトを改良し、100万円を元手に増やしていったんだとか。が、「現在は妻子を抱えながら、手取り約30万円の月給から約8万円を税金支払いに充てている」とは気の毒すぎ!国税局は闇金よりタチが悪いぞ。
それにひきかえ【記事B】の男(40)は同情の余地なし。ひったくりで逮捕されていわく、「2000万円たまったら不動産の個人事務所を開くつもりだった」って、厚かましいにもほどがある。「月200万円を目標にしていた」という言葉だけ聞くと立派だけど、やってることはひったくりだし。自宅の金庫から約1500万円が見つかったというから、もう少しだったのにね~と思ったら、「5000万円を超える余罪があるとみている」って、そのカネはどこへ? こういう人が不動産屋にならなくてよかったわー。
(新保信長)