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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第7回

現実の愛はかくももろく恐ろしきかな

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【今月の映画】

『バーチ通り51番地(51 Birch Street)』(写真左)
『クレイジー・ラブ』(写真右)

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左/母が急逝したわずか3カ月後、83歳の父マイクは、元同僚のキティとスピード再婚。戸惑いを隠せない息子ダグは、ある日、母の本音が綴られた日記を見つけて......。監督/ダグ・ブロック
右/弁護士プガッチは美しい受付係リンダに恋をし、いつしか2人は愛し合うようになる。しかし、実はプガッチが既婚者で、離婚するつもりのないことを知ったリンダは、ほかの男との結婚を決意。それを知ったプガッチは、嫉妬に狂って......。監督/ダン・クローズ
ともに日本公開未定。アメリカではDVD発売

 ドキュメンタリー映画の題材は、社会問題や歴史、犯罪、有名人の伝記などが多いが、男女の愛についてのドキュメンタリーは珍しい。劇映画は愛を好んで描く。ロマンスとして、夢として、娯楽として。しかし、愛についてのノンフィクションは、今回紹介する2本の映画のように、時に愛というものの恐ろしさを暴いてしまう。

 映画『バーチ通り51番地(51 BirchStreet)』のタイトルは、監督のダグ・ブロックが生まれ育ったニューヨーク州ロングアイランドの家の住所から来ている。ブロックは「映画監督」ではなく、雇われて結婚式をビデオに撮るのが仕事だった。『バーチ通り51番地』は、ブロックの生家で両親が金婚式を祝うのを記録したホームビデオで始まる。その時点では、彼は映画を作るつもりはなかった。ビデオ屋であるブロックは、メモ代わりにカメラを回す癖があった。それがこのドキュメンタリーになったのだ。

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