――PS(プレイステーション)のディスク販売がなくなり、ダウンロードのみになるというニュースが世界中を駆け巡った。古参のゲームファンたちは猛反発したが、ディスク廃止は既定路線だという。果たしてゲーム業界はこれからどう変わっていくのだろうか?
PSのディスク廃止の一報で見解を示した『メタルギアシリーズ』の生みの親、小島秀夫氏。(写真/TheStewartofNY/GC Images)
去る2026年7月1日、あるニュースに全世界のゲームファンは大いにザワついた。いや、衝撃を受けたと言ってもいい。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)によるその発表があったのは、PlayStation公式ブログ(日本語版・英語版)と、日本公式X(旧Twitter)アカウント。そしてその内容は、2028年1月以降に発売されるPlayStation向けのすべての新作ゲームについて、物理ディスク(パッケージ版)の生産を終了。それ以降の新作は、PlayStation Storeと販売店でダウンロード版のみの提供となるというものだった。
つまり、再来年以降、プレステの新しいゲームはすべてダウンロードでしか販売しない。初代プレステ以来なじんできたディスクはなくなるというのである。
これに世界中の古参のゲームファンたちは猛反発。いわく、ゲームショップや家電量販店でゲームのパッケージを実際に手に取って、どれを買おうか悩むワクワク感がなくなってしまう。いわく、ゲームを所有できなくなってしまう。いわく、中古でソフトを売り買いしたり、友達と貸し借りすることもできなくなってしまう。いわく、ゲームソフトならいつまでも持っておけるが、ダウンロードのみになったらストアの閉鎖やライセンス切れといったメーカー側の都合で将来的にゲームが遊べなくなってしまうかもしれない。
こんな恐れを抱いたゲームファンたちによって、そのアナウンスをした公式ブログのコメント欄には数千件の批判が殺到。署名サイト「Change.org」には「Don't Kill the Disc」なる署名活動に数十万件の署名が集まり、『メタルギアシリーズ』で知られる世界的なゲームデザイナーの小島秀夫氏も、「フィジカル育ちなので悲しい」と発言するなど、まさにゲームを愛する人たちの間に激震が走った格好だ。
ディスク廃止はすでに既定路線
『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)などの著書がある多根清史氏はこう話す。
「反対運動が起こっていると言いますが、SIEによるディスク廃止の方針は基本的に変わることはないでしょう。反対している人たちの声が目立つ印象もありますが、ノイジーマイノリティといいますか、ゲームファンに占める実際の比率はそんなに多くはないと私は見ています。実際には8割のユーザーがすでにディスクではなくダウンロードで購入しています。ほとんどの人がダウンロード購入しているのだから、今後はダウンロードで行こうというのがユーザーの意向だということです」
多根氏が続ける。
「ディスク廃止はソニーだけではなく、ソフトメーカーの都合も反映しています。メーカーとしても、物理ディスクを製造して流通させるよりデジタル販売にしたほうがコストが半分になるという話もあります。実際には、ディスク廃止の方針によって、ソニー、ソフトメーカー、ユーザーの3者とも損はしないのです」
もっとも、物理ディスクがなくなることによって発生する懸念も、確かにあると多根氏も認める。