[今回のゲスト]
柳家花緑
落語家
パーソナリティ心理学を活かして組織と人材の成長を支援するコンサル企業「HRD株式会社」代表取締役・韮原祐介氏が、“人を育てる立場”にある、各界のリーダーやトップをゲストに迎え、人材育成と自己成長をテーマに語り合う当連載。戦後最年少で真打昇進を果たした落語家・柳家花緑を迎え、伝統芸能の世界における「師弟関係」、そして発達障害との向き合い方について語り合う――。
(写真/増永彩子)
韮原祐介(以下、韮原) 江戸以来の寄席の伝統と雰囲気を現代に伝える新宿・末廣亭。歴史ある演芸場でたびたびトリを務めるのが、落語家の柳家花緑さんです。花緑さんとは、アーティストであり武蔵野美術大学教授でもある高橋理子さんの紹介で出会いました。
柳家花緑(以下、花緑) あるとき、三越劇場の終演後にスタッフの方が来て、「三宅一生さんがお見えです」と言われました。もちろん面識もなかったのですが、会うなり「君と来年の夏に仕事がしたい」と声をかけていただき、一生さんが中心となって六本木に当時新設されたデザイン美術館「21_21 DESIGN SIGHT」のイベントに参加することになりました。そのイベントに高橋理子さんの衣装で出演してほしいと一生さんに言われたのです。
韮原 今では着物のメンテナンスから、新しく必要な色を染めることまで、すべて高橋さんにお願いしているそうですね。
花緑 僕にとって高橋さんは、専属の呉服屋さんみたいな存在です。弟子たちの紋付袴などもお願いしています。
韮原 そんな花緑さんは、五代目柳家小さん師匠を祖父に持ち、叔父は六代目柳家小さん師匠という落語家の家系に生まれました。
花緑 落語は歌舞伎や狂言のような伝統芸能とは違っていて、親から子へ代々受け継ぐ世襲制ではないんです。今、落語家は800人くらいいますが、そのうち親子二代で活躍している人は30〜40人ほどでしょうか。最近は「〇〇の息子です」という人も増えてきましたが、それでも100人はいません。
韮原 800人中100人未満ですから、割合としてはかなり少ないですよね。
花緑 そもそも、落語家の子どもが必ず噺家になるわけではないんです。普通の会社員になったり、別の仕事に進んだりする人が多い。うちの兄はバレエダンサーですからね。
韮原 一般的な「家業を継ぐ」という感覚とは違うんですね。
花緑 そして、お客さんの中には「二世」を好まない人もいる。僕も「小さんの孫だから期待している」というより、「小さんの孫でなければよかったのに」と言われることもありました。
韮原 それは……。