紺野ぶるま×ザ・ギース×ルシファー吉岡 大コンプラ・ポリコレ時代の芸人“下ネタ”論

――コンプライアンスやポリティカル・コレクトネスの観点から、下ネタが厳しい目で見られるようになっている。一方で、ライブやネット番組でコアな笑いを求める人々には相変わらず強くウケているのが実情だ。性にまつわる馬鹿馬鹿しさや哀愁は、時代は変われども人の心を惹きつける。今、芸人たちは“下ネタ”のあり方をどうとらえているのか? 紺野ぶるま、ザ・ギース、ルシファー吉岡の3組が徹底討論!

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(写真/越川麻希[CUBISM])

――紺野さんは「ちんこ謎かけ」、ルシファーさんは『R-1ぐらんぷり』(フジテレビ系)で披露された「キャンタマンクラッカー」などのコントで知られています。一方、ザ・ギースさんはあまりそのイメージはないですが、2019年に『ゴッドタン』(テレビ東京系)の「ネタギリッシュNIGHT」チャンピオン大会(ちょうどいいエロネタを披露する企画の大会)で優勝されています。まず前提として、みなさんは自分のそうしたネタを「下ネタ」だと認識していますか?

ルシファー吉岡(以下、吉岡) 何をもって「下ネタ」とするのか決めるのは難しいですが、僕の場合は周りから言われますからね。そういう意味では下ネタなんじゃないでしょうか。ただ当然、「下ネタをつくるぞ」と思ってつくっているわけではないですよ。

ザ・ギース高佐(以下、高佐) 芸風としては、最初から今みたいな感じだったんですか?

吉岡 養成所に入って最初につくったのがエレベーターでうんこを漏らすネタだったので、ナチュラルボーンですね。単純にそういうネタが好きっていう。

紺野ぶるま(以下、紺野) 私は親はもちろん、人前で言ったこともなかったんです。ちんこ謎かけが生まれたのは、たまたまというか。26歳くらいのとき、先輩芸人のねづっちさんに誘っていただいてコージー冨田さんの謎かけライブに出させてもらったんですね。その中で、低クオリティでもいいから1分半の間に何個も謎かけをするコーナーがありまして。そこで「ハンガー」というお題を出されて、パッと「ちんこと解きます。どちらも“かける”でしょう」というのを思いついたんです。

ザ・ギース尾関(以下、尾関) 急にやったわりには、わりとクオリティ高いじゃないですか。

紺野 普段出ていたようなライブだったら、女芸人が「ちんこ」って言うだけで前列のおじさんたちはもれなく爆笑するんですけど、それで手応えを感じるような芸人にはなりたくなかったし、そもそも人前で「ちんこ」なんて言っちゃいけないと思ってたので、言うかどうか迷ったんです。

高佐 さらっとディスりましたね(笑)。

紺野 でも思い切って言ってみたら、スタンディングオベーションが起きたんですよ、ちんこだけに。

吉岡 挟むなぁ。

紺野 それですごい盛り上がって、「もう全部ちんこで解いてよ」って言われたので、「手品とかけて、ちんこと解きます。どちらも“たね”を仕込むでしょう」「電車とかけて、ちんこと解きます。どちらも“えき”を飛ばすでしょう」ってどんどん続けた結果、そのライブで優勝したんです。2年くらいたってから、このときのことをねづっちさんがテレビで紹介してくださって、それがきっかけで、ちんこ1本で食べられるようになりました。

吉岡 立派なひとり立ちですね。

高佐 僕らギースは、「ネタギリッシュNIGHT」でやった「SLクラブ」(乗り物のSLとSMをかけたコント)以外にも、いくつか「下ネタ」と言われてもおかしくないネタはあるんです。ただそれは直接エロい言葉を言うことで笑わせたいわけではなく、エロを扱うからこそ哀愁や知性を感じさせるようにしたいと思っていて。下ネタ的な要素にもうひとつ何か乗っかっているネタがやりたいし、そういうのが好きですね。

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