虐待児だったオレを救ってくれたのは、右翼の先輩たちだった

――虐待を受けた「わたしたち」に残ったものとは? よじれてしまった家族への想いを胸に、果たして、そこに再生の道はあるのだろうか。元・被虐待児=サバイバーである筆者が、自身の体験やサバイバーたちへの取材を元に「児童虐待のリアル」を内側からレポートする。

 これまで、女性のサバイバーたちに会って話を聞いてきた。ずっと疑問に思っていたのは、同じ虐待でも「男の子が背負うもの」は、また違うのではないかということ。「男子たるもの強くあるべし」という信仰は薄れてきたにせよ、理不尽なかたちで屈服させられることへの抵抗感は大きいのではないだろうか。

 そんな疑問に応えてくれたのが、65歳のトラック運転手「マサやん」(仮名)だった。“YAZAWAのデコトラ”に乗り込み、全国どこへでも颯爽と走る。日焼けした肌に鋭い眼光、スチールブラシのようにビシっと生えそろったグレーの短髪と髭が、いかめしさに拍車をかけている。曲がったことが大嫌いな性格。最近はじめたSNSの使い方にしても、「はじめに挨拶もなしに、いきなり内容を投稿するなんて礼儀がなっとらんよね。『おはようございます』『こんにちは』は、人として基本でしょ?」と、憤慨する。

 規律に厳しい一方で、愛犬にはめっぽう弱い。去年から保護犬として柴犬を迎え入れ、溺愛の結果、「ほんともう、ぶくぶく太っていくだけだよー」と苦笑いをする。マサやんとはこの連載をきっかけに知り合った。読んだ感想をフェイスブックに投稿してくれたのだ。

中2のとき、継母の頭をゲタで叩き割った

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