【KOHH】「天才は二物を与えられずとも、自ら手にすることができる」を証明した男

――羨望の眼差しをほしいままにする次世代MC。ありのままの自分をリリックに託し、到達した〈DIRT〉という世界。

(写真/藤田二朗)

「アクネの黒のパンツに、カーキ色の謎のTシャツと、カーキ色のジャケットを合わせました」

 この日のコーディネートを尋ねると、KOHHはそう答えた。今、日本でもっとも旬なラッパーである彼は、本誌13年3月号の当ページにも登場している。いや、正確に言えば、そのときの取材対象は10歳離れた弟・LIL KOHHだった。当時、その小学6年生がラップするMVがネットで話題となり、一方、同曲も収められた処女作を出したばかりの兄も、耳早いリスナーの注目を集めていた。そんな東京・王子の都営住宅での過酷な生い立ちについて彼が語った記事の反響は、小さくなかった。

 その後、KOHHはめきめきと頭角を現したが、あの取材時の写真を見返すと、スナップバックキャップにMA-1のジャケット、エアジョーダンという装いで、現在のルックスとは大きく異なる。10月に発表した新作『DIRT』のリリックでも、先述のアクネにアレキサンダーワン、Y-3といったハイブランドの名が出てくる。

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