ジャーナリスト森達也の要チェック宗教団体――オウム事件の動機とは?幸福の科学に通底する危険性

[ジャーナリスト]
森 達也(もり・たつや)
1956年生まれ。映画監督、ドキュメンタリー作家。97年にオウム真理教事件を扱ったドキュメンタリー映画『A』を公開し、話題となる。続編である『A3』(集英社インターナショナル)では、講談社ノンフィクション賞を受賞。近著に『オカルト』(角川書店)などがある。

目が離せない団体【5】

『幸福実現革命』

幸福の科学
[注目の理由]
同教団を母体とし、2009年の衆議院選挙時に幸福実現党が結成され、政界への進出を図っている(11月末現在、国会での議席は0)。また、同党のホームページなどでは、危機意識を煽る表現が散見される。こうした不安感の扇情や宗教団体の政治活動といった点でオウム真理教との共通点も見受けられるが、社会からの警戒心が強くなることが逆に、同教団の過激化を助長しかねない。


 日本人全般に言えることだけど、宗教に対する理解や知識がとても低い。例えば、イエス・キリストがユダヤ教徒であるということを知らなければ、イスラエル・パレスチナ問題も理解できないし、イラク戦争や9・11もわからない。ところが日本で宗教教育というと、「洗脳になるのでは?」的な萎縮も含めて、宗教アレルギーが常に働いてしまう。

 理由はいくつかあると思うけれど、特に近代においては、明治時代の廃仏毀釈運動で仏教が否定され、さらには国家神道において現人神とされた天皇が敗戦後に人間宣言をするなど、信仰が常に上から強圧的に蹂躙されてきたことがあるでしょう。日本人の従順性も要因でしょうね。その帰結として戦後の日本人は、宗教に絶望せざるを得なくなった。その不信に対して、宗教側も応えることができなかった。

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