疲弊しきった医師たちと、行き詰まる病院医学界に風穴を開ける救世主は現れるか?

──かつては世界トップレベルの技術を誇った日本の医師たち。だが、医療費抑制政策により手厚い医療制度に陰りが見え、医療崩壊が叫ばれている。こうした中、破綻寸前の医療制度に光明をもたらす医師たちはいるのだろうか?

『医療大崩壊』(講談社文庫)。

 1990年代後半以降、「医療崩壊」という言葉を耳にするようになった。その根底には、長年の医療費抑制政策による医師の人手不足がある。既存の中型総合病院では、ひとつの科につき医師が1~2人というところが増え、昼夜を問わず休みを取れない医師は疲弊。これにより医師のモチベーションの低下、さらには救急患者の受け入れ拒否などといったさまざまな問題が噴出し、マスコミを賑わせてきた。そうした「医療崩壊」が叫ばれる中、追い討ちをかける問題が噴出しており、それが、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加表明だという。

 11年11月、野田佳彦総理はTPP協議への参加を表明。これに対して日本医師会は「国民皆保険の堅持、医療の安全・安心の確保が約束されない限り、参加を認めることはできない」との懸念を示した。TPPへの参加は、日本の医療に一体どのような変化をもたらすのか? 医療経営雑誌「クリニックばんぶう」(日本医療企画)の清水大輔編集長が考えるシナリオはこうだ。

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