ブータンと水俣市に学ぶ震災後のあるべき日本の姿【後編】

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日本を幸福にする「地域の価値」の再評価

神保 日本とブータンの違いは、よくわかりました。それでは、日本はどうすればブータンのような幸せな国になれるのか、そのために今、我々がすべきことはなんなのかを考えていきたいと思います。それを考える上で、役に立つかもしれない事例として、日本にもブータンのように、「地域の価値」を作り出すことに成功している熊本県水俣市の事例を草郷さんはよく紹介されていますね。

草郷 水俣は、日本の経済発展によっていい思いをした時代もありましたが、それにより大きな十字架を背負った町だといえます。十字架とはもちろん、工場の誘致によってもたらされた水俣病のことです。

 14年間をかけた汚染土壌の処理プロジェクトが90年に完了した後、行政から「今後の水俣をどうしたらいいか考えよう」という動きが出てきました。市民の中にも自発的に地域の今後を考えるグループが生まれ、議論が活発化する中で、92年に水俣市は日本初の「環境モデル都市づくり宣言」を行いました。環境でダメージを受けた水俣だからこそ、環境モデル都市に生まれ変わらせよう、という宣言です。そして、後にくしくも政府が「環境モデル都市」制度を作り、08年に水俣は最初に選ばれた6つの都市に入りました。

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