【小泉明郎】──極限状態の人間の感情を描く、気鋭の映像作家

 哀しいんだけどおかしい、見たくないけど見てしまう。映像メディアを通して、極限状態に置かれた不条理で滑稽な人間たちの感情を描く、気鋭の作家・小泉明郎から目が離せない。

 登場人物に演出をする監督自身がカメラの前に現れ、ひとつの物語を作り上げていく様子がそのまま映像に収められる。その物語には、トラウマや怒りや哀しみといった激しい感情が潜んでおり、小泉は登場人物との対話を通して感情を増幅させ、心の奥に潜む感情の動きをあぶり出していく。

 8月末から開催中のあいちトリエンナーレでは、小泉の新作『劇場は美しい午後の夢を見る』が公開されている。展示空間は2面のスクリーンで構成され、登場人物は一方は男で他方は女。どちらも心を病んでぶつぶつ独り言を言っており、時折2つの映像がシンクロしながら物語は進んでいく。

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