左翼には政治的問題をコンテンツ化する知恵と交渉術が必要──増山麗奈[画家・パフォーマー]

【選者】増山麗奈[画家・パフォーマー]

増山麗奈氏が責任編集を務めた超左翼マガジン『ロスジェネ第3号』。

 政治的なテーマの作品って、興行成績やイメージの問題で配給会社が渋るので、日本では広く観られることが少ないですよね。私も自分が主宰する反戦アート集団「桃色ゲリラ」のドキュメンタリー映画『桃色のジャンヌ・ダルク』の上映活動をしていて、困難を感じることが多くありました。今回はそんな状況下で制作された、左翼的な問題意識を持っていると感じた作品を紹介します。

 まず『ホテル・ルワンダ』【1】。民族紛争と虐殺から1200人を救った黒人のホテル副支配人の実話を基にした作品です。彼は軍に酒を贈ったり、常連である海外の要人に助けを求めたり、持てるリソースをすべて使って難民を助けようとする。今の左翼の人たちは、そういう知恵が足りないと思うんです。左翼=暴力闘争という古い美学に浸るだけでなく、財力、知力、人的ネットワーク、会社員や主婦、市民としての立場を活用するなど、多様な交渉術を身につけるべきなんじゃないかと。

 ただこの作品、当初は日本で公開予定はなかったんです。でも公開を求める人たちが署名活動をしたことで上映できて、大きな話題になった。配給会社は、こういった政治的テーマにもどーんと構えたほうが、結果、ヒットも出せるんじゃないでしょうか。

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