>   > 【小池都知事】は本に何を描くか?

歴代の都知事たちは、自分たちの政策をどう考え、どう評価したのか。美濃部以降の歴代都知事が自らしたためた都政に対する書籍“都知事本”では、前任者・後任者へのディスや己の政策へのドヤ顔などが満載だ。まだ就任したばかりの小池百合子も早速出版している都知事本を読み比べしてみよう。

1801_koike_hon_200.jpg
『都知事―権力と都政』(中央公論新社)

 東京都知事は全員、本を出している。本稿で調べてみるまで、そんなことを考えたこともなかったのでちょっと驚いた。戦後の1947年に初代・東京都知事(それ以前は東京都長官と呼ばれていた)に就任した安井誠一郎は、『東京私記』(都政人協会)というエッセイを出版。また59年から2期を務めた東龍太郎はスポーツに造詣が深く、スポーツ関連の本を多数出版している。ある意味で都知事は作家でもあるともいえる。ならば、そんな“都知事本”を読めるだけ読んで、うさんくさい“都民ファースト”な現在までをさらってみた。

「わが都政を振り返って」的なオーソドックスな回想録ばかりかと思いきや、それぞれに書いた動機が違っていて面白い。まずは「重い腰を上げてようやく書いた」というパターンがあり、舛添要一と猪瀬直樹がこれにあたる。舛添は『都知事失格』でマスコミによるバッシングにより辞任してから沈黙していた1年間の、心中を告白。また、猪瀬の『さようならと言ってなかった わが愛 わが罪』はちょっと変則的で、東京五輪招致運動の真っ最中に起きた、妻・ゆり子さんとの闘病記がメインに据えられ、若かりし時代の回想、さらには辞任のきっかけとなった徳洲会からの5000万円資金提供問題の真相をその中に挟み込むという凝った構成になっている。あとがきでは、長年連れ添った妻への供養も兼ねた原稿を書くことへの複雑な心境を綴っている。一方、美濃部亮吉『都知事12年』と鈴木俊一『回想・地方自治五十年』は退任してから過去をじっくりと振り返るオーソドックスな回想録パターン。青島幸男の『ドーンと都政じわじわ革命』は任期中に出版されており、どちらかというと都の広報的なニュアンスが強い。逆にノリノリで世に出したパターンもある。石原慎太郎が『東京革命 わが都政の回顧録』において自らの功績をドヤ顔で語っているのは、キャラ通りなので微笑ましくもある。また現職・小池百合子は就任したばかりのため、まだ時期尚早かと思いきや『希望の政治 都民ファーストの会講義録』を都知事就任後に出版。その中身は、彼女が立ち上げた政経塾「希望の塾」の講演をそのまま載せた形になっている。ちなみに、この講演は一般男性で5万円の受講料がかかり、「せめてテキストだけでも」などの声が寄せられたためにまとめたようで、“望まれたから出したんだ”感が強く、やや上から目線だ。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年11月号

禁断の家電・ガジェット

禁断の家電・ガジェット
    • テック系企業の【経済地理額】
    • 次世代のテック系【注目都市】
    • 世界を席巻する【アジア家電】
    • 【D.O.I.×BERBAL】安室奈美恵論
    • 【アムロ】を支えたPの本音
    • 知られざる地方【テック企業】
    • 米国【大麻用電子たばこ】産業事情
    • 【星名美津紀】家電とエロス
    • 進化し続ける【アダルトVR】の今
    • 最新【バーチャルセックス】のしくみ
    • 【三代目JSB・山下健二郎】スニーカー愛
    • 【三代目Air Jordan Brothers】選出!
    • 【リバタリアン】生んだネットの終焉
    • 各国【ネット規制】の事件簿
    • 【ゲーム依存】はビョーキか否か?
    • 【モノ雑誌】の「読プレ」豪華番付
    • 【景品表示法】を弁護士はどう見るか

防弾少年団がアメリカを制する日

防弾少年団がアメリカを制する日
    • 今さら聞けない【BTS】基礎講座
    • 数字で見る【K-POP】世界進出
    • BTS支持層【アジア系アメリカ人】の連帯

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【忍野さら】友達の財布に私のトレカを入れるんです。
    • 【小林レイミ】デビュー4年目の初グラビア!
    • 振り返れば【芽衣】がいる
    • 【電力業界】に切り込んだ元フィンテック起業家
    • 【新潮45】を潰したのは誰だ!
    • 【阿波踊り】内紛の実情
    • 【中国】を支配する巨大顔認証システム
    • 【88ライジング】がアジアと米国を繋ぐ
    • 町山智浩/『ブラック・クランズマン』アメリカ・ファーストを謳うのは誰か
    • 政権の利益誘致政策に踊らされる【英語教育】の欺瞞
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 「念力事報」/黒い水脈
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【おとぎ話みたい】文化系男子が患う恋愛の病
    • ギャング集団に所属するアパレル屋
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • ビールの世界を超越し始めた【職人】
    • ひとりぼっちたちを繋ぐ【薔薇族】の誕生
    • 幽霊、雑誌の去勢と俗物主義の衰退。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』