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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

やはり週刊誌は直撃取材がないと始まらない――歌手・吉田拓郎直撃の苦い想い出

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 毎週のように続く週刊誌のスクープ合戦。緻密な取材もさることながら最後は当人に直撃する。これで初めて完璧な取材となる。「週刊新潮」が報じた今井絵里子参議院議員(33)と橋本健(37)神戸市議会議員の不倫。

「週刊文春」が報じた斎藤由貴(50)と同年代の医師のW不倫。両誌とも最後は両人を直撃。この直撃も両人に口裏を合わさせないことが大事になってくる。特に今は携帯電話のある時代。時間がズレたら先に直撃された者がもう一方に知らせてしまう恐れがある。同時直撃が理想だが、そううまくはいかない。今回の二組の不倫カップルも、直撃は成功。事実を突きつけられた当人が慌てる様子が記事からも伝わってくるものだった。

 相手がどう出てくるかわからない予測不能の直撃。思わぬハプニングも起こる。

 歌手の吉田拓郎(71)が最初の妻と離婚する前の事だった。離婚の予兆として「別居」という情報を掴んだ。「別居した夫婦で離婚しなかったケースはない」という確かなデータが芸能界にはある。取材を進める。

 離婚の影に浮気あり。当時、歌手として飛ぶ鳥を落とす勢いの人気だった吉田。当然のようにモテる。確かな浮気相手は掴めなかったが、すでに「吉田は家を飛び出した」という情報を元に吉田と妻の直撃を敢行することになった。後は順番。出ていかれた妻のほうが不満や言いたいことがあるはず。先に妻を直撃することにした。家に残る妻なら直撃もしやすい。当時、目黒にあった吉田の豪邸を下見。家にいる相手を直撃する場合、原則、夜9時ぐらいまでをメドにするのが暗黙の取材ルールだった。昔は家にインターホンなどなく、玄関横に付いている呼び鈴しかない。へたすればドア越しで帰されてしまう可能性もある。取材拒否でも玄関を開けさせ、顔を見ることが取材の基本だった。8時過ぎに家を訪ねた。すでに家からは灯りが漏れ、人がいることが確認できる。気持ちを落ち着かせ、あらかじめ聞くことを復唱して呼び鈴を押した。そう時間を空けることなく、ドア超しに「ハイ、誰」と野太い男の声があった。えっ、と戸惑った。

 奥さんが家にいるはずなのに声の主は男。

「そうか、吉田は家を出たが、奥さんは新たな男性をすでに家に呼んでいるのか?」。これはさらにスキャンダラスな展開と思ったのだが、現実はまるで違った。

 ドア越しに「奥さんいますか」と奥さんに用事で来たことを伝えた。すると返事もないまま、ドアが勢いよく開いた。顔を出したのは吉田本人。言葉を失った。「こんな時間に女房に何の用だ」と語気を強める吉田。すでにお酒が入った顔は上気している。野太い声が閑静な住宅街に響く。ふと冷静になったのか、家の中に引きずり込まれるように入らされた。通されたのは入ってすぐの応接間。取材の趣旨をようやく告げる。聞く耳を持たず、吉田は黙ったままテレビを見ていた。巨人・広島戦の野球中継。広島出身の吉田は大の広島ファン。画面を見れば、広島は負けていた。私のことを忘れたかのようにビールを飲みながらテレビ観戦。負けていることで余計に機嫌が悪い。とても声をかけられる雰囲気ではない。中継終了後、ようやく口を開いた。奥さんが家にいないことについては曖昧にかわされたが、離婚は改めて否定。後はお説教。1時間近く応接間に座っていたというより、お仕置きのように座らせられていたが、離婚疑惑の核心になるような話はなかった。9時半近くになっても、それでも奥さんがいない事実は確かめられたことだけが収穫だった。

「吉田拓郎、離婚へ」の記事を吉田家における応接間での出来事も入れ掲載した。直撃で起きたハプニングはそのまま書いたほうが信憑性は増す。離婚の話は拡散。それから半年足らずで吉田夫妻は離婚した。直撃というのも常にスムーズにいくものではない。こうしたハプニングも起きる。だから直撃ほど面白いものはない。アイドルになると「事務所を通して下さい」というのが相場だが、大人の芸能人は直撃に答えるようになった。芸能関係者によれば、「答えずにいれば“逃げた”と思われ、それだけで不倫を肯定することになる。言い訳でも真摯に答える風潮になっている。ましてや、今の週刊誌はデジタル化でテレビのようにカメラを回す時代。きちんと応じることがまず大事」(芸能関係者)という。直撃に時には激昂。時には開き直る。そんな光景が直撃の醍醐味。くだんの二組の不倫も直撃が活きている。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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