>   >   > 幽霊、落語から落日のテレビを観る。
連載
更科修一郎の「批評なんてやめときな?」【15】

『笑点』という大輪の花は、テレビに適応できず死んだ噺家たちの屍の上に咲いている――幽霊、落語から落日のテレビを観る。

+お気に入りに追加

――ゼロ年代とジェノサイズの後に残ったのは、不愉快な荒野だった?生きながら葬られた〈元〉批評家が、墓の下から現代文化と批評界隈を覗き込む〈時代観察記〉

sarashina1608_200.jpg
談志の著書は自己演出が上手すぎて良くも悪くも引きずられるので、今回の一冊は歌丸さんのこちらを。

 今回の編集部は京都特集で民族大移動中だが、東京の筆者は都知事選の動向にうんざりしつつ原稿を書いている。もっとも、青島幸男が都知事になった20年前の時点でタレント知事のコンプガチャが延々と繰り返されるのは必然だったし、もっと遡れば、美濃部亮吉の時代からそうだった。NHK教育のホームドラマ風左派プロパガンダ番組『やさしい経済教室』で顔を売っていた美濃部も、テレビタレントみたいなものだったからだ。

 政治がテレビで左右されるように、テレビもまた政治であり、司会者交代が政権交代のように扱われ、楽太郎のほうの圓楽がアモーレ不倫で大騒ぎになる『笑点』はその縮図だ。元を辿れば、半世紀前に立川談志が企画した番組だが、筆者の父親世代……敗戦直後から寄席で落語を観ていたテレビ以前の世代には、談志は「テレビから出てきたタレント落語家のはしり」で、純粋な落語家とは認識されていない。もっとも、古今亭志ん朝も初期は『若い季節』や『サンデー志ん朝』で顔を売っていたのだが、高座に専念し、落語協会内の政治にすら距離を置いたことで名人扱いとなり、談志は国会議員になったりするうちに半端者扱いとなった。圓楽は「『笑点』を降りないと歌丸さんは人間国宝になれない」と言っていたが、そう考えている層はまだ多い。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年5月号

ウェブ(禁)新論

ウェブ(禁)新論

マンガで学ぶ「(裏)社会学」

マンガで学ぶ「(裏)社会学」
    • 【実際のヤクザ】に聞いた下半身事情
    • 【ヲタめし】ハロプロヲタのライブ後

華村あすか、19歳のプライベートセクシー

華村あすか、19歳のプライベートセクシー
    • 【華村あすか】クダモノとカラミます。

インタビュー

連載

    • 【アンジェラ芽衣】けっこう根暗なんです。
    • 【宮下かな子】森田童子にゾクゾク
    • 【冨手麻妙】映画界に愛された女優の身体
    • 密かに好成績を残した剣の貴公子
    • 【由美子】の夢は夜ひらく
    • 行政法研究者が語る日本の行方
    • 高須基仁の「全摘」
    • 【品川ヒロシ】が夜通し語る映画愛
    • 継続危機と対峙する【秋田の伝統祭】
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【XXX Tentacion】SNS厄介者たちの続く伝説
    • 【元スパイ襲撃被害】スパイによる本当の諜報活動
    • ナチスの【優生学】が投げかけるもの
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」/『サバービコン』
    • 実話を元に描かれた【映画でわかる】社会の病巣
    • 小原真史の「写真時評」
    • 「念力事報」/森友ふたたび
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 女はなぜ皆【星野源】を欲するのか?
    • 俺と伝説のラッパーたちとの交遊録
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、文化系連合赤軍な雑誌の終焉。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』