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第1特集
宗教建築の建築的、お布施的価値【4】

フォトジャーナリスト・佐藤健寿が見た"奇界"──世界のケタ違いな宗教建築

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──ここまで、日本の新宗教における巨大建築を見てきたが、では、海外の事情はいかがなものなのだろうか。オカルトサイト『X51.ORG』の主宰であり、ちょうど海外を取材中だったフォトジャーナリストの佐藤健寿氏に、話を聞いた。

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タイのワットプラダンマガーイ。東京ドームの敷地面積は4万6755平方メートルなので、その100個分て……。(写真提供/佐藤健寿)

 建築物の造形を決めるのは人間の想像力。新宗教の施設が奇妙に見えるのは、その信仰を持つ者の想像力が我々と少し違うからではないだろうか。ならば風習風土言語文化すべてが違う海外における新宗教団体は、もっととんでもない施設を造っているのではないか。その実態を『奇界遺産』(エクスナレッジ)の著者、フォトジャーナリストの佐藤健寿氏に聞いた。

「日本に比べ、伝統宗教の建築様式や美意識は、歴史の中でよりはっきりとした形ができ上がっています。しかし、新宗教の場合、建築も歴史的なものとは違う形が多いと思いますね」

 やはり、海外でも新宗教の建築物には独特な形態があるようだ。では、世界の新宗教建築を、佐藤氏の解説を交えながら見てみよう。

 タイにあるワットプラダンマガーイは、70年代から建築が始められた巨大な円盤型UFOのような施設。しかし、これはUFOではなく、あくまで仏塔だそう。この施設を保有するのは仏教系の新宗教団体で、施設内には約3000人の僧侶が居住し、イベント時には10万を超える信者が集まって瞑想を行うという。大きいのは、このUFOだけではない。

「敷地は現在も拡張中で、最終的には1000エーカー(東京ドーム100個分程度)を超える計画だそうです」

 70年代に建築が始まった時代性や仏塔のUFO的な意匠からは、アメリカの宗教運動ニューエイジとも共通したものを感じさせるが、「UFO的な教義は特にないようです。しかし、世界市民的な思想を持っているあたり、ニューエイジカルチャーの影響はあるのではないかと思います」とのことで、やはり欧米系の信者も多いそうだ。

 次に台湾にある麻豆代天府。82年に3億円かけて造られた巨大な龍の高さは38メートル。中は洞窟になっており、長さは200メートルを超えているという。道教の施設だというが、仏像なども安置されている。

「これはアジアでは珍しいことではなくて、自然と折衷されているようです。台湾の宗教はやはり中国の影響が強いため、生活文化として、道教が広まっている。その上に、形式的な宗教としての仏教も根強くあるんです」

 地元ではテーマパーク感覚で、ごく普通に受け入れられているそうだ。

 中国の名山鬼城は「地獄の街」と呼ばれ、2000年前から寺院の建築などが行われてきた場所。しかし、その由来が面白い。

「この寺のある豊都の名山(名称)は、昔から道教の道士たちが修行する聖山だったそうです。で、あるときちょっとした人の言い間違いから、この山に『陰王』(閻魔大王)が住んでいるという噂が立ちました。それで人々はこの山を恐れ、ここに地獄の寺を造って『陰王』を奉じたことが始まりだといわれています」

 妄想も1000年続けば伝統文化。そんな勘違いが、もう2000年続いているのだ。ここには山に食い込むように巨大な閻魔大王の顔を建築中で、完成後はホテルになるという。

 これらの施設には、もともと宗教が生活の一部になっている国々の独特な雰囲気がある。

「元来、偶像崇拝を行っている宗教文化圏の施設は非常にカラフルだし、表現が豊かで自由。タイやミャンマー、インド、台湾などは、かなり派手なお寺が多いです」

 世界には日本人の想像力に収まらない、とんでもない宗教建築が溢れているようだ。

(文/大熊 信)
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佐藤健寿(さとう・けんじ)
オカルトサイト「X51.ORG」主宰。UFOやUMA、奇妙な人・物・場所を追って世界中を取材する。著書に『X51.ORG THE ODYSSEY』(講談社)、写真集に『奇界遺産』(エクスナレッジ)。

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