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第1特集
エロ動画サイトのマネタイズ【1】

月間売り上げは5000万円! XVIDEOSは宣伝サイト!? 月間数十億PV運営者の正体

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――XVIDEOSやFC2動画など、無料で楽しめるエロ動画サイトが乱立する現在。今やズリネタはネットで無料で閲覧する時代だが、その産業構造は今も謎だらけ。無料サイトはどこで収益を上げているのか。運営しているのは誰なのか。動画を自らアップロードする人は何が目的なのか。そして著作権侵害などの問題は……?

かつてエロコンテンツのプラットフォームはレンタルビデオ店だった!?

 ここ数年来、アダルトビデオ産業は大きく様変わりした。レンタルビデオ店で奥の暖簾をこっそりくぐり、お目当ての作品を手に入れて、胸を躍らせながら帰宅する……などというスタイルは今や過去のもの。AVを借りたり買ったりする機会はゼロになり、ひたすらお気に入りのエロ動画サイトを巡回している読者諸兄も多いことだろう。では、現在人気のエロ動画サイトにはどのようなものがあるのか? まずは、エロ動画業界に詳しい広告代理店の社員に解説願おう。

「エロ動画サイトもいくつかのタイプに分けることができます。狭義の意味でのエロ動画サイトについては、自社サーバを持ち、自前で配信するサイトと、ユーザーが動画をアップロードできるエロ動画共有サイトの2タイプがあります。前者の代表例は『カリビアンコム』や、海外系の有料サイト。後者は『FC2動画アダルト』『XVIDEOS』『PornoTube』などです。また大手AVメーカー・ソフトオンデマンドが運営するECサイトや、『DMM.R18』といった、有料で動画を配信、ダウンロードできるサービスも、広義に解釈するとエロ動画サイトの1タイプでしょうか」(広告代理店社員)

 これらのサイトについては、小誌2012年11月号内記事『エロ動画サイト“ビジネスモデル”』で紹介済みゆえ、ここでは割愛させていただくが、要は課金サイトと無料サイトの2種類があるわけだ。そして無料サイトの区分の中で、近年増えているのが、「無料エロ動画まとめサイト」だ。ご存じの方も多いと思うが、FC2動画やXVIDEOSに投稿されたエロ動画を、厳選した上で紹介しているサイトである。膨大な数の動画がアップロードされる無料エロ動画サイトは、そのぶん“ハズレ”も多く、XVIDEOSなどは外国人のエロ動画が多いこともあり、使い勝手は悪い面もある。そんな中で、無料エロ動画まとめサイトはキュレーター的な役割を果たしており、近年活況を呈している。前出の代理店社員は続ける。

「『エロ動画 まとめ』で検索すると、数えきれないほどのサイトがヒットするはずです。それらのまとめサイトは、ブログやツイッターにYouTubeの動画を埋め込むのと同じ要領で、XVIDEOSなどの動画を埋め込んで紹介しています。そのため、サイト運営者のサーバ代の負担が非常に少なく済むのも特徴のひとつです。また、違法コピーされたAVの動画をサイトに載せても、『アップしたのはウチじゃない』という逃げ口上もできる。なお、中には海外法人まで作って月間3億PVを誇るようなサイトもあり、20代の若者で月4000~5000万円をアフィリエイトで稼いでいる人もいます」

 一方で、あるアダルトサイト関係者は、「エロ動画まとめサイトは確かにPVを稼げるが、競合サイトの数が多すぎるので、アフィリエイトで大量の収入を得るのは難しいはず。月間200~300万PVがあったとしても、収入は数万円程度ではないか」と証言する。では、数千万円を荒稼ぎしているサイト運営者は、一体どんな工夫をしているのだろうか? あるアップロード系サイトの運営に携わった人物は、絶対匿名を条件に、次のように語る。

「違法性の高い広告に手を出している人が、稼いでいる印象ですね。個人で運営している人の中には、『ユーザーはどうでもいいから荒稼ぎしたい!』という、コンプライアンス意識ゼロの人も多いですから。グレーな情報商材や出会い系はもちろんのこと、4クリック詐欺、ワンクリック詐欺の広告が大量に入っているサイトもあり、詐欺広告が主な収入源というサイトも少なくはありません」(同)

 なお、AV作品の違法コピーの動画には、当然ながらメーカー側からクレームや削除依頼が寄せられるが、「メーカーからクレームが入った場合は、20時間以内に削除するのが業界の不文律」(同)だという。近年は、メディア著作権法のない国にサーバを移すサイトも多く、「今は南米に置いている会社が多いですが、より規制のゆるいデンマークに移す動きも見られる」(同)という。

 先の削除ルールは海外のサイトでもほぼ同様のようで、日本のアダルト産業を研究している作家のアンドリュー・S・ブラウンは次のように語る。

「アメリカなどの海外のエロ動画サイトでも、削除依頼が入った場合、3日以内に対応することが業界内的なルールになっています。なお、この著作権侵害の問題は、何もエロ動画サイトだけの問題ではありません。フェイスブックやYouTubeのようなサイトにも著作権侵害の動画は多数アップされていますが、『クレームが入ったら削除すれば問題なし』というルールがあるからこそ、サイト側が罪に問われずに運営できるわけです。世界中に無数ある小規模なエロ動画サイトの中には、著作権侵害を伝えるフォームや問い合わせ先さえも、用意していないところもありますが……」

 エロ動画まとめサイトの運営への力の入れようは人によってまちまちで、「システムを組んで更新をほぼ全自動化している人もいれば、タイトルを自分で翻訳してタグ付けまでしている人もいる」(前出・広告代理店社員)とのこと。また、サイト運営者自らが著作権侵害の動画を積極的にアップしているような例もあるという。

「エロ動画まとめサイトを運営している人で、自分でXVIDEOSなどの動画共有サイトにアカウントを作り、そこにネットで拾ったエロ動画をアップロードしている人は多いのではないでしょうか。アップロード先は自分が運営しているサイトではないので、自分が著作権侵害の罪に問われる可能性は低くなりますし、自分のサイトで紹介するエロ動画のクオリティも、少ない手間でコントロールできますから」(ブラウン氏)

XVIDEOSの管理人はドイツ人? 日本人?

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左上より時計回りに、『XVIDEOS』『YouPorn』『xHamster』『PornHub』のトップページ。

 そしてエロ動画まとめサイト以上に、運営面での謎が多いのが、冒頭で紹介したFC2やXVIDEOSなどのエロ動画共有サイトだ。

「いずれのサイトも月に何十億という膨大なPVを稼いでおり、アフィリエイトの収入もかなりの額になると思われます。そしてFC
2の場合は、視聴の際の画質や配信速度が向上する月額1000円の有料会員向けのサービスがあり、そちらでも多くの収益を上げているはず。もともと英語のサイトであるXVIDEOSについては、PVはFC2以上に多いと思いますが、サイト内の広告については最適化されていない印象。あれだけの巨大サイトでも、月に5000万円程度の収入しかないのでは……というのが率直な印象です」(前出・広告代理店社員)

 これらのエロ動画共有サイトの圧倒的なPV数は、言うまでもなくユーザーが次々とアップロードする動画によって支えられている。そこで生まれてくるのが、「一体誰がなんのために、あれほど大量のエロ動画をアップしているのか」という疑問だ。先述のように、エロ動画まとめサイトの運営者が動画共有サイトに“仕込み”をしていたとしても、すべての動画を彼らがアップロードしているとは考えづらい。同様にエロ動画共有サイトの運営者自身がすべての動画を仕込むのも難しく、「エロ動画を愛する人間の無償の行為」という可能性はさらに低いだろう。

 しかし実は、FC2動画については、ユーザーのアップロードが「有償の行為」となる場合がある。つまり、アップロードした人に金銭的な見返りが生まれるシステムが存在するのだ。

「その報酬のもとになるのが、有料会員が支払う月額1000円の会費です。要は、FC2動画外部に設置したプレイヤーやリンクにおいて、自分の投稿した動画経由で入会者が発生すると、そこで紹介報酬が生まれる。具体的な金額としては動画の投稿者に250円、アフィリエイトタグを設置したユーザーに250円。投稿者と設置者が同一の場合は合計500円の収入になるわけです」(前出・元業界関係者)

 そしてFC2動画には、実はAVメーカーも自ら動画を投稿していて、紹介報酬を受け取っているそうだ。

「FC2動画アダルトのトップページには『特集動画』と表示されたスペースがありますが、この部分に入る動画はAVメーカーなどの協力会社が投稿したもの。1000円のうち500円がバックされる仕組みは個人の投稿者と同じですが、メーカーの場合は有料会員が2カ月、3カ月と会員を継続した場合、それ以降も毎月500円の収入を得ることができる」(同)

 このように無料エロ動画サイトとAVメーカーは、実は最近は一部で手を組み始めている。以前は「FC2もAV業界から非常に嫌われていて、2年ほど前にDMMの関係者が『潰してやる!』と言っているのを聞いたこともある(笑)」(アダルトサイト関係者)というほどの犬猿の仲であり、事実、プレステージやSODなどのメーカー7社は昨年にFC2を相手に6500万円の損害賠償を求める訴えも起こしているが、必ずしも全面対立しているわけではないようだ。

「無料エロ動画共有サイトの『アゲサゲ』などには、大手AVメーカーの動画も投稿されていますね。また、著作権侵害を避けるため、メーカー側から動画素材を正式に借りて、その一部を公開しつつ、購入リンクを載せてメーカーに協力しているサイトもあります。『エロ動画ぷにゅむにゅ』がその代表例でしょうか」(同)

 そのほか韓国の某無料動画共有サイトでも、「AVメーカーから金銭を受け取った上で、その動画を投稿させている事例がある」(アダルトサイト関係者)という話も。AVメーカーの一部は、下手に出てまでエロ動画サイトと付き合わなければいけない厳しい状況なのである。

 なおFC2については、このようにマネタイズの仕組みも一部が明らかになっており、運営会社やその代表者に関する情報がネット上にも多く出回っているが、XVIDEOSはサイト上に運営者に関する記載が一切ない。サイト内には「広告はTrafficFactory.bizによって配信されています」との記載があるが、広告運営会社とXVIDEOSのオーナーの関係は不明であり、非常に謎の多いサイトとして知られている。さりとて、ブラウン氏によると、XVIDEOSのオーナーと目される人物がいるという。それはMindGeekという会社の代表であるFabian Thylmann氏というが……。

「このMindGeekという会社は、『YouPorn』『PornHub』『xHamster』『XVIDEOS』『Tube8』という世界トップ5の無料エロ動画サイトを、この数年で買い占めたと言われています。また『Brazzers』『Digital Playground』『Reality Kings』という、同じく世界トップクラスの有料エロ動画サイトも、同時に買い占めています」(ブラウン氏)

 各国のセレブの動向を扱ったニュースサイト『Celebrity Net Worth』というサイトに掲載された12年の記事によると、Fabian Thylmannは34歳(当時)のドイツ人プログラマー。当時、先に挙げたサイトの多くを所有していることが記載されており、月間のPVはすべてのサイトを合わせると160億PVにも上っているという。だが、この記事中では、彼が所有しているサイトにXVIDEOSの名前は挙がっておらず、「関西在住の日本人が運営していると聞いたことがある」(前述・元業界関係者)という証言もあり、XVIDEOS所有者の真相はいまだ謎のままだ。とはいえ、Fabian Thylmannによるエロ動画サイト買い占めの狙いを探ると、サイトの存在意義が見えてくる。

「彼の所有している無料エロ動画サイトのPornHubは、もともとは有料エロ動画サイトReality Kingsの宣伝のためのサイトでした。つまり無料サイトは、そのサイト単独では収益も上がらないし、存続もできない。自社系列の有料のサイトの宣伝になるからこそ、あれほど多くのエロ動画を無料で公開していたんです。またFabian Thylmann氏には、自身の運営する有料エロ動画サイトの収益を安定させるために、敵対する無料エロ動画サイトを買収して運営をコントロールする狙いもあったのでしょう」(ブラウン氏)

 また、膨大なサーバ代を支払ってまで無料エロ動画サイトを運営し、そこで自らの有料エロ動画サイトを宣伝することの裏には、ネット業界全体にかかわる問題も存在している。

「これは日本もアメリカも状況は同じですが、内容がアダルト系の広告はGoogle AdWordsやヤフーに出稿できません。グーグルやヤフーはエロい広告をサポートすると企業としてのイメージが崩れますし、大企業も『エロの宣伝と並ぶのはイヤ』と広告を出さなくなりますからね。エロサイトはマスに対して宣伝できる手段が限られているので、自ら無料エロ動画サイトを作り、集客した上で宣伝するしかない、というのが本音でしょう」(同)

 そしてエロ動画業界の未来を考えると、やはり「国際化」の問題は避けて通ることができない。

「日本の有料アダルト動画サイトの中には、海外のユーザーから英語で問い合わせが届くものも増えています。日本では普通の女のコも、海外ユーザーにはロリっぽく見えて人気になったりする例も多いみたいです(笑)。そこで英語のページを作成したり、海外のアドネットワーク広告に出稿したりするサイトが少しずつ出てきているのも最近の潮流です」(アダルトサイト関係者)

 そんな時代の中で、ブラウン氏は日本のエロ動画産業の持つポテンシャルの高さを強調する。

「そもそも『AVを合法で作れる国』というのは欧米各国と日本、ブラジルなどの一部の国に限られています。AVを作れない中国では、ネット上に出回るエロ動画の90%以上が日本のAVの違法コピーですし、韓国や東南アジアでも日本のAVへの支持は非常に強い。SODのようなメーカーが、中国語のサイトを作って、正規版のAVの動画を安価に販売すれば、かなりの収益を挙げられると思うんですが……」(ブラウン氏)

 無論中国では違法なビジネスだが、有料エロ動画サイトの分野で、日本は欧米諸国に遅れを取っているのは事実だ。

「アメリカではネット普及の影響でAVメーカーやポルノショップの多くが廃業しましたが、日本のAVには30代以上に根強いファンが多いため、今も利益が出る程度にはDVDが売れている。だからこそ、ネットや海外への進出をためらってしまうのでしょう。ただ、世の中からインターネットが消えない限り、現状の形のAV産業の衰退は続くはず」(同)

 そして日本のエロ動画サイトにも改善の余地はあるという。

「ネットをあまり知らない人が作っているのか、作り方がいい加減なサイトが多い印象です。例えば動画の近くにツイートボタンやフェイスブックのシェアボタンがよく設置されていますが、誰もエロ動画を友達に広めたりはしたくないですよね(笑)。もっと検索しやすいシステムやサイト内でSNS的な機能を作るとか、ほかにできることはあるはず。フェイスブックのような革新的なサイトが、この分野で生まれてもおかしくないと思うんですが」(同)

 国境を越えてまだまだ成長しそうなエロ動画産業。「どこのサイトがエロ業界のフェイスブックになるのか」(同)と期待を持ちながら(?)、その変化を見守りたい。

(文/古澤誠一郎)

サーバが海外でも有罪?
エロ動画をめぐる違法性

――無修正のAVを見たりすると、それだけで罪に問われるのだろうか? ここでは、エロ動画をめぐる違法性を専門家に聞いてみた。

 無修正の映像を見ただけで罪に問われるのか? サイバーポルノ問題に詳しい甲南大学法科大学院の園田寿教授に、エロ動画の違法性について話を聞いた。

「処罰される可能性が高いのはアップロードした人。刑法175条で規定される『わいせつ物頒布等の罪』や、著作権侵害の可能性があります。一方で、動画を見た人、ダウンロードした人が処罰されることは、ファイル共有ソフトを使用していない限りありません。わいせつな書籍や雑誌を制作した人が処罰されても、購入した人が処罰されないのと同じ理屈です」

 また「違法性のある動画をアップロードしても、サーバが海外にあるから日本の法律では裁けない」という理屈も耳にするが……。

「日本の刑法の出発点は属地主義。日本の国家主権の及ぶ範囲内で犯された犯罪には、日本の刑法が適応されます。そしてポイントは、行為か結果の一部でも国内で行われれば、刑法が適用されるということ。つまりサーバが国外にあったとしても、アップロードした場所が国内ならば、陳列行為の一部が日本から行われたと判断されます。実際に10年ほど前にも、アメリカのサーバに日本国内からわいせつ画像をアップロードした人が有罪になったケースがあります」

 そして「外国のサーバに外国からアップロードをする」というケースについては、以前は処罰が不可能とされていたが、状況は変わりつつあるという。

「11年に刑法175条が改正になり、わいせつ物に『電磁的記録』が追加され、メールでわいせつ物を送信した場合なども罪に問われることになりました。そしてアメリカのサーバにアメリカでわいせつな動画をアップロードし、日本にいるユーザーにそれを受け取らせた人が、国内犯として処罰される事例が実際にあったんです」

 ただこれはまだ高裁レベルの判決であり、批判的な学説も多いという。

 そして園田氏は、「わいせつ」の判断が、国により異なる文化の一部であることを強調する。

「今はネットで世界中がつながっているため、海外の無修正の映像も日本で見ることができてしまう。このような状況下で、日本の法律で取り締まることにどこまで意味があるのか、真剣に考えなければいけません」

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