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第1特集
霊感商法、合同結婚式、自民党との癒着……

原理運動から安倍元首相殺害まで 統一教会の基礎知識と歴史

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――安倍元首相殺害事件から数カ月、旧統一教会の問題は取り沙汰され続けている。ただ、日々のニュースやさまざまな議論に触れているうちに、つい問題の本質や要点を見失いそうにもなるだろう。そこで本特集の冒頭では、過去のメディア報道を振り返りながら、押さえておくべき同教団の基礎知識と歴史を整理してみた。

問題のポイントがざっくりわかる!
統一教会を知るための5つの「危ない数字」

悪徳ビジネスの被害、政治への介入、韓国の日本人妻……統一教会の問題点は、これらの数字に表れている。

本当の信者数はたった2万人前後?
[日本国内の信者] 公称56万人
(宗教情報リサーチセンター、2015年)

旧統一教会の日本国内の信者数は公称56万人。これは宗教情報リサーチセンターのデータベースに記載された数字であるが(2015年更新)、旧統一教会は文化庁に信者数の届出をしていないため、実際の信者数は正確に把握できない。各種調査や元信者の証言などから、その数はせいぜい2万人前後ともいわれている。


印鑑や壺を売りつけるシノギの大罪
[霊感商法の被害額] 約1237億円
(全国霊感商法対策弁護士連絡会、1987~2021年)

全国霊感商法対策弁護士連絡会は2022年7月12日の会見にて、1987年から2021年までの34年間における霊感商法の相談は3万4537件、被害総額は約1237億円にのぼると発表。その上で、事務局長である川井康雄弁護士は「あくまでも我々のほうで把握できている被害で、氷山の一角」と話した。


岸信介から続く自民党との関係
[接点があった自民党国会議員] 180人
(9月30日時点)

自民党は党所属議員に報告を求めた旧統一教会や関連団体との関係点検について、対象議員379人中180人に接点が確認されたことを発表している(2022年9月30日時点)。ただし、これは党が行った調査ではなく、議員が自主的に点検したものであるため、数字の信憑性は低いと言わざるを得ない。


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(櫻井義秀・中西尋子著『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』北海道大学出版会、2010年)

合同結婚式で渡韓した日本人妻
[韓国人と結婚した在韓日本人女性信者]
約7000人

(櫻井義秀・中西尋子著『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』北海道大学出版会、2010年)

旧統一教会の国際合同結婚式には、韓国農村部の嫁不足を解消するために日本から女性信者を呼び寄せているという側面がある。『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』(北海道大学出版会)の共著者のひとりである中西尋子氏の調べでは、農村部の韓国人男性と結婚し困窮生活を送る日本人女性信者は7000人にのぼる(2010年時点)。


莫大な遺産をめぐる後継者争い
[文鮮明・韓鶴子夫妻の子] 14人

文鮮明には判明しているだけで17人の子がおり、そのうち妻・韓鶴子との間にできた子は14人(7男7女)である。文鮮明の死後、莫大な遺産をめぐる後継者争いの中で息子たちが次々と離反し、韓鶴子が独裁体制を築いた。なお、三男・文顕進は世界家庭教会(FPA)を、七男・文亨進はサンクチュアリ教会を創立している。


2022年7月8日、安倍晋三元首相が参院選の応援演説中に殺害された。現行犯逮捕された山上徹也容疑者は、動機として自身の家庭を壊した旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みを挙げ、教会を日本に招いた岸信介の孫であり「最も影響力のある統一教会シンパ」である安倍元首相を狙ったと供述。また、21年9月に旧統一教会のフロント団体「天宙平和連合(UPF)」が主催した「神統一韓国のためのTHINK TANK 2022希望前進大会」で、安倍がビデオメッセージで総裁の韓鶴子(12年に死去した教祖・文鮮明の妻)を称賛するのを見て「絶対に殺さなければいけないと確信した」と明かしている。

この事件を機に、安倍元首相および自民党と旧統一教会との関係が取り沙汰されるようになったが、旧統一教会の問題は今に始まったことではない。

例えば1992年、桜田淳子や山崎浩子が参加した国際合同結婚式がワイドショーで連日報じられたことを覚えている人は多いだろう。80年代には「先祖の祟りがある」などと不安をあおり印鑑や壺を高額で売りつける「霊感商法」が社会問題化。この問題は86年に「朝日ジャーナル」(朝日新聞社)が始めた霊感商法追及キャンペーンで周知されたが、本稿では主にそれら週刊誌の報道を軸に統一教会問題を概観する。なお、以降の教会の表記は「統一教会」で統一する。

統一教会は54年に韓国で文鮮明により創立され、58年から日本で宣教を開始した。64年に日本で宗教法人の認証を得ると、同年「全国大学連合原理研究会」が創立され大学生の伝道が活発化。その3年後、67年7月7日付の朝日新聞夕刊に「親泣かせの『原理運動』」なる見出しが躍った。これは原理研に入会した学生たちが宣教活動に没頭し、学業放棄や家出をしたり授業料を献金したりしていることを報じたものだ。

週刊誌では朝日新聞に先んじて、「潮流ジャーナル」(恒文社)が67年5月7日号の「東大・原理研究会」という記事で、原理研の東京大学支部の活動をレポート。また「週刊大衆」(双葉社)68年10月31日号は、原理研の母体である統一教会が「原理運動対策父母の会」から告訴された事件の詳細を伝えた。告訴の趣旨は、修道場建設のための募金活動が詐欺にあたるというもので、父母の会の会長は「原理研究会とは、一大洗脳機関なんですよ」と訴えている。

この時期の統一教会の宣教は、大学構内で左翼系政治団体と討論するなど宗教運動というよりは政治運動に近く、68年1月に韓国で、同年4月に日本で「国際勝共連合」が創設されると、その活動も組織化。勝共連合とは、冷戦下の朴正煕政権時代、大韓民国中央情報部(KCIA)の指示で文鮮明が創設した反共主義の政治団体である。

なお、日本の勝共連合は笹川良一を名誉会長に、久保木修己を会長に据えたが、岸信介元首相も発起人として名を連ねた。統一教会と岸の関係は深く、東京都渋谷区の岸邸の隣に教会の研修所があったほか、73年には教会本部で岸が講演。「反共」というスローガンは右派と相性がよかった。

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