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第1特集
サイゾーPremium 特別企画「ヒップホップとフェスを考える」

最大規模で開催されたヒップホップフェス『POP YOURS』が与えた影響と課題

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さらに渡辺氏はベテランである田我流氏のライブの見せ方の巧さについても言及する。

「ホーンを入れながら、楽曲はあえてブーンバップ中心の構成。若いオーディンスが集まっている場だからこそ、あえて自身の個性を出す。そういった余裕があり貫禄あるパフォーマンスをされていたのは、数々の現場をこなしている田我流だからでしょうね。MONJUのステージにも同じような気骨を感じました」

田我流氏自身がパフォーマンスを振り返る。

「若い子でもすごいアーティストはいますけど、ライブ自体はずっとやってきてますし、キャリア的に積み重ねてきたものも桁違いですからね。なので、若いオーディエンスに俺(のライブ)が通じないとは全然思ってなかったし、実際パフォーマンスしていてすごく楽しかったですよ」(田我流氏)

田我流氏が初日のベストアクトのひとりであったのは個人的にも強く感じた。ちなみに筆者は両日共にオンライン配信にて視聴したが、初日はLEXからJP THE WAVYへの流れであったり、クルー感溢れるKANDYTOWN、2日目はラストを飾ったBAD HOPの圧巻のステージなどが強く印象に残っている。 また、同フェスでは早い時間帯に「NEW COMER SHOT LIVE」という、1日4組ずつのアーティストが立て続けにショットライブを披露するコーナーが設けられたが、与えられた時間はわずか5分。そんな短時間で爪痕を残すのは困難だったかもしれないが、田我流氏にとってはそんな彼らのライブも「一生懸命さは伝わったし、すごくフレッシュだった」と述べる。一方で、渡辺氏はベテランと若手のライブの見せ方の差を強く感じたという。

「作り込んだ映像からスタートしたPUNPEEや、フルバンドのセットでパフォーマンスしたBIMなどのSUMMIT勢は、いろんなフェスでライブをこなしてきたからこそ、大きなステージで大勢のオーディエンスを『どう楽しませるか?』というのを本当にわかっているステージングでした。クラブ中心にライブを重ねている若手や中堅のアーティストたちには、良い影響を与えられたのではないでしょうか。

『POP YOURS』はヒップホップのファンが集まったからこそ、あれだけ盛り上がったわけですが、これがロックやダンスミュージックなどのアウェイなフェスに出たときには、また違った力量が求められる。今後、いろんなフェスにヒップホップのアーティストがどんどん出ていくにあたって、パフォーマンスの見せ方はひとつの課題になるように感じます」

例えば、7月末に開催される今年のフジロックにて主要5ステージの出演者としてラインナップされている国内ヒップホップアーティストは4組(Awich、PUNPEE、CreativeDrugStore、どんぐりず)しかいない。この事実だけでも、渡辺氏の言う“課題”が本当に日本のヒップホップシーンにとって切実なものであることを感じる。


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