サイゾーpremium  > 特集  > 裏社会学  > 偽造医薬品が世界中に蔓延!【1】/【コロナ特効薬詐欺】の実態

――現在、世界中で「コロナに効く」という触れ込みでさまざまな商品が販売されていることが問題視されている。そして、それとは別に一切の効果が認められなかったり、成分を偽った薬品を売りつける詐欺も発生しているというが、日本も笑っていられるような状況ではないようだ。

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偽造医薬品などを押収したことを報告している「国際刑事警察機構(ICPO)」のホームページ。

 社会不安が増大すると、決まって流行するのが詐欺である。そして今、人々を最も不安に陥れているのは新型コロナウイルスだ。パンデミックが発生してから数カ月がたとうとしている中、コロナ騒動に便乗した詐欺事件が後を絶たない。

 警視庁がホームページで発表している具体的な事例としては、「80歳以上の方はコロナで補助金が60万円出ます。キャッシュカードと印鑑証明1通を用意してください」とか、「コロナ給付金10万円が出ますので、市役所の職員が書類を持って伺います。お時間は何時がよろしいでしょうか?」といった、いわゆる振り込め詐欺やアポ電詐欺などがある。その手口と被害者の心理について、犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、こう語る。

「コロナの影響で家族や友人と会えなくなった寂しさのせいか、知らない番号から電話がかかってきても出てしまう人が増えています。特に高齢者の方は、コロナへの耐性が弱いこともあって外出をまったくしていない人が多く、他人との会話に飢えているため、ついつい話し込んでしまうようですね。一方で詐欺グループも、4月から5月にかけてはまったく外出できなかったため“詐欺に集中できた”らしく、かえって被害件数の増加に拍車をかけたといえます。そのせいか『オレオレ』よりも『コロナ大丈夫?』から会話を始める手口が増えています。高齢者も詐欺の手口についてはいろいろと周知されているのですが、今は振り込め詐欺よりもコロナのほうが怖いんですよね」

 コロナにまつわる詐欺行為のネタはこうした給付金や補助金にとどまらず、医療に関するものも多い。特に、効果のない医薬品や医療機器、そして「偽造医薬品・偽造医療機器」が絡むケースは世界規模で問題になっている。

 国際刑事警察機構(ICPO)の報告によると、今年3月に90カ国の警察、税関、保健所が共同して行った作戦では、このような医薬品に関係する罪で検挙に至ったケースが121件もあり、押収された医薬品の総額は1400万ドル(約15億円)相当に達したという。

 ところで、「効果のない医薬品」と「偽造医薬品」の違いは何なのだろうか? インターネット上で「科学」と「ニセ科学」に関する情報を発信している医師の名取宏氏は、次のように解説する。

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