サイゾーpremium  > ニュース  > 社会  > なぜ“格差エンタメ”に熱狂?【精神科医・春日武彦】が分析
2003_kasugatakehiko_1.jpg
(写真/二瓶彩)

 映画『万引家族』が2018年度第71回カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルム・ドールに輝き、『ジョーカー』は日本での興収50億円超を記録、そして韓国発の『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を獲得した。

 今、なぜ人々は格差と貧困という“リアル”を題材にした映画を観たがるのか? なぜ、こうした映画が増えてきているのか? そんな社会の精神状態を、「『狂い』の構造 人はいかにして狂っていくのか?」(扶桑社)「サイコパス解剖学」(洋泉社)といった作家・平山夢明氏との共著でも知られる精神科医・春日武彦氏に聞いた。

――映画は“社会を映す鏡”とも言われています。貧困や格差を題材にした映画が続けて作られるのは、やはり社会が貧しくなっているということの現れなのでしょうか?

春日 僕は精神科で外来医をやっているわけですが、どうしても病気になったことで働けなくなって生活保護を受けざるをえなくなったりとか、いろいろと経済的に制約されてしまった低所得者が患者さんには多い。でも、貧しい層に位置するんだけど、一見したところはみんなけっこうこざっぱりしている。いわゆる“貧乏人”には見えないんです。特に女性、生活保護を受けているシングルマザーはみなさん小綺麗ですよね。ユニクロやしまむらとかのファスト・ファッションがあるから、表面的にはなんとかなっているんですよ。

――いまはスマートフォンを持とうとおもったら、高額な大手通信キャリアを使わないで格安なSIMロックフリーのサービスもあるし、大きめのスーパーだと余った惣菜を使った弁当が数百円で買えます。

春日 そうなんです。スマホを持っていない生活保護受給者なんて、まずいない。しっかりとiPhoneとか持ってますから。外食に関しても、マクドナルドであろうと牛丼屋であろうと日高屋であろうとね、ああいった店には低所得だから行くというよりは単に便利だから行くわけだし。年収300万円の人も年収1300万円の人も、一緒に並んで食べている。だから、少なくとも外見的には上か下かっていうのはわからない印象がある。もう、貧困層とか富裕層の区別はつかないなと。そういう意味では、ユニクロ、しまむら的なものの存在ってものすごく大きいよね。昔だったら服に金を掛けていた奴は多かったけど、いまはぜんぜんそんな感じじゃないし。デパートの洋服売り場なんて人がいない。伊勢丹のメンズ館だけが一人勝ちって状態ですよね。

――でも、実際には消費税は上がるけど給料は上がらずといった具合に、まだ食べるのは困らないけど裕福だという意識は持っていない人は多いですよね。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年2月号

“男性学”のススメ

“男性学”のススメ
    • 【男らしさ】イメージの変遷
    • 男性学(基)【ブックガイド】
    • 【キリスト教】の男性優位主義
    • 女子が萌える【ラップ男子】
    • コロナ禍で始動【Zoomgals】
    • サンドウィッチマン【男同士のケア】
    • 【青柳翔】が語る“男らしさ”
    • オトコが乗る【軽自動車】
    • 【マンガ・アニメ】の軽自動車
    • 【ジャニーズ】男性アイドル像
    • 時代錯誤な【ジェンダー観】
    • 【サザエさん】は有害か?
    • 『サザエさん』の【初回】
    • 【井田裕隆】に聞くAV男優像
    • ポルノ視聴と【男性性の劣化】の関係
    • おじさんの【フェイスブック】
    • 【フェイスブック運営】側とのズレ
    • 育児特化の【ベビーテック】
    • 5秒でわかる【ベビーテック】
    • 【自民党】に根付く男尊女卑

「篠崎こころ」ラグジュアリーに魅せた麗しさ

「篠崎こころ」ラグジュアリーに魅せた麗しさ
    • 【篠崎こころ】召しませ #金髪ショー党

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【岡田結実】バラエティの人気者はエゴサで成果を感じる
    • 【STUTS】人気トラックメイカーがラップに初挑戦!
    • 【土井裕泰】TBSのエースディレクターの問題作に迫る

連載

    • 【あまつまりな】流れに身を任せちゃうんです。
    • 【グレイテスト・ラウンドガール】に新メンバー!
    • あの素晴らしい【恵美】をもう一度
    • 【コロナと不況】21年に生き残る術
    • 【萱野稔人】ソロ社会化とコミュニティの変化
    • ありがとう、【小松の親分さん】
    • ワクチンがつくる【コロナ後の世界】
    • 【丸屋九兵衛】ショーン・コネリーを語る
    • 【町山智浩】「ストレンジ・フィーリング」カトリックの洗脳とオナニー
    • 【コロナ対策論議】の根本的欠如
    • 「謎」と「静」で振り返る【2020年】
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【笹 公人】「念力事報」鬼狩りの時代
    • 【稲田豊史】「妻が口をきいてくれません」圧巻の“胸クソ”読後感
    • 【辛酸なめ子】の「佳子様偏愛採取録」
    • 【本場仕込み】のビールが飲める“リビングルーム”
    • 【更科修一郎】幽霊、批評家は文化的背教者なのか。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』