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検察ナンバー2が政界捜査を阻む!?

検察の権力闘争激化!――政界のウミ【大樹事件】捜査を阻むナンバー2

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コンサル会社にメスは入るのか?

2017年、細野豪志元環境相が、JC証券より資金提供を受けたことが問題となった。その背景には政財界に太いパイプを持つ大樹総研の存在があり、検察による捜査が進んでいるという。だが、検察ナンバー2の実力者が捜査妨害をしているのではないかという声が各所からあがっているようだが……。

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大樹総研HP。

 東京地検特捜部を擁する検察庁の権力闘争が、いよいよ激しさを増しているようだ。焦点になっているのは、検事総長への“待機ポスト”といわれる東京高検検事長、黒川弘務氏をめぐる処遇だ。

 このナンバー2の存在が、政界捜査を阻む最たる要因だといわれる。全国紙の司法記者が解説する。

「黒川さんは、安倍晋三首相の長期政権を支えた“官邸の門番”と呼ばれています。検察の捜査を監視する法務省の官房長や事務次官を歴任し、甘利明・元経済再生担当相が2016年にあっせん利得処罰法違反で告発されたときには『捜査にストップをかけた』とメディアに叩かれました。その論功行賞なのか、昨年1月には検察ナンバー2の検事長に就任し、特捜部の捜査に直接介入できる地位を得ています。そんな黒川さんが来年2月に63歳の定年を迎え、65歳まで定年延長が認められる検事総長に就任しなければ、退官に追い込まれる。肝心の稲田伸夫検事総長本人には辞職する気配はなく、官邸が果たして稲田氏に辞職を迫るのかどうか、注目が集まっています」

 実は、注目の検事総長人事は、政界捜査そのものに直結するという。捜査現場に近い検察関係者が衝撃的な事実を打ち明ける。

「現在検察は、政界に食い込んでいる民間コンサルタント会社『大樹総研』【1】の内偵捜査をしている。ところが、この事件の象徴的な舞台に、あの黒川検事長が登場するんだ」

 まずは、事件のあらましを見ておこう。コトの発端は、18年6月に明るみに出た細野豪志元環境相の5000万円受領問題。これは、17年の衆院選期間中に、都内の証券会社「JC証券」から提供を受けたもので、細野氏は「急な政治資金が必要になる可能性があると考え、個人として借り入れた。使うことなく利息も含めて返済した」と釈明した。

 なるほど、資金を受け取った当時、細野氏は民主党の後継政党「民進党」を離党し、東京都の小池百合子知事と共に新党「希望の党」を立ち上げる目前だった。この問題を捜査した証券取引等監視委員会を担当する民放記者が指摘する。

「JC証券には親会社があり、太陽光発電などの自然エネルギー事業を手がける名目で投資家から約200億円を集めていました。しかし事業は行き詰まり、多数の被害者を出したのです。かき集めた200億円のうち、2億5000万円がJC証券に流れ、その一部が細野氏に渡った。問題は、JC証券の実態にあります。同社上層部は大樹総研にゆかりある人物たちで占められており、まさに大樹の別働隊。しかも大樹総研会長が自ら細野氏を取り込み、資金提供のスキームを作ったといわれています。実は、細野氏に限りません。大樹を金主と見立て、国会議員たちがわんさかと群がりました。そこに、検察もメスを入れようとしたわけです」

 大樹総研会長として政界に名をとどろかせているのは、矢島義也氏。その政界人脈を知らしめた伝説のイベントがある。16年5月、矢島氏が開いた結婚披露宴だ。

 出席したのは、菅義偉官房長官と自民党の二階俊博幹事長をはじめ、安倍政権の閣僚たちや与党幹部たち。このほか、野党から野田佳彦元総理や細野、山尾志桜里、安住淳の各氏らも臨席し、与野党合わせると国会議員は60人に達した。一般にはなじみのない政界フィクサーの隠然たる影響力を誇示したものだった。大樹総研の関係者が口を開く。

MEMO『大樹事件』
大樹総研関係者などで占められた「JC証券」による、細野豪志元環境相への金銭供与問題や政界との深いつながりをめぐる問題。同総研顧問には政財界の大物が名を連ねる。

「出席者の内訳をみると野党議員が多くいましたね。矢島さんは民主党政権時代に野田元首相に食い込み、人脈を広げました。山尾さんは落選中に大樹総研の研究員として招かれ、物心共に面倒を見てもらったようです。

 政権が自民党に移ると、機を見るに敏な矢島会長は、まず、二階幹事長を取り込むため手を打ちます。驚くことに、千葉県の成田空港に近い場所に壮大な接待施設『大樹庵』を建設し、二階さんをはじめ自民党二階派の議員たちを招いて接待をしました。二階さんの名前を刻んだ『世界津波の日』なる記念碑も大樹庵に建立し、二階さん本人もご満悦でした。後に自民党入りする細野氏や長島昭久氏たちのような野党議員も招かれ、与野党の仲介工作を行う秘密基地として使われたのです」

 そして官邸の主、菅官房長官を招いて絶大な影響力を見せつけたのが、矢島氏の結婚披露宴だった。その披露宴に話を戻そう。

 政権中枢にぬかずく霞が関の高級官僚たち数十人も参加した。主だった中央省庁の幹部が顔をそろえ、中でも財務省は主計局長や官房長ら十数人に上った。その中に、このような場には決して顔を出してはならない人物の姿があった。何を隠そう、法務省官房長を当時務めていた黒川氏その人だったのだ。前出の検察関係者が怒りを込めて言う。

「この披露宴では、中央省庁の各官房長に参加の打診が来ていたようだ。省庁全体を統括する内閣官房(官邸)の官房長官とは密接なつながりのあるポストだから、菅さんの出席に合わせて臨席したと言い訳したいのだろう。しかし、せめて閣僚や官僚レベルの結婚式にとどめるべきだった。民間人であり、しかも得体の知れないコンサルタント会社の経営者となれば、捜査対象になる可能性は高い。そんな人物の披露宴にノコノコと出席するとは、法務省首脳としてあるまじき行為ではないだろうか」

 こうした捜査現場の声は当然だろう。特捜部は今年夏頃、JC証券の関連先に立ち入り、大量の捜査資料を入手したといわれる。狙いは、与野党に広く張りめぐらされた大樹総研利権だ。検察関係者は声をひそめる。

「JC証券ルートのほかに、大樹総研そのものが数多くの与野党議員のパーティ券を購入し、幅広く大樹マネーをばらまいている。その原資は、政界に近づきたいあまたの民間企業から大樹総研に振り込まれた年会費や多額のコンサルタント費用だ。実際、大樹総研の民間会員も披露宴に多数駆けつけた。そんな利権渦巻く象徴的な接待現場に参加したのだから、黒川氏の存在は捜査妨害以外の何ものでもない」

 こうした捜査現場の切実な声は、検察の最上階にも届いているようだ。法務省関係者が言う。

「稲田さんは検事総長の椅子を死守する構えです。黒川氏には来年2月に東京高検検事長を退いてもらい、政権の意向で名古屋高検検事長に飛ばされている本命の林真琴さんを東京の検事長に呼び戻し、後継者に据える心積もりのようです」

 黒川氏の去就が、まさに政界のパンドラの箱を開けるカギを握る。支持率の低下が見られる安倍政権が、いったい検察の権力闘争にどこまで介入するのか。年末年始の時期には、検察人事の方針が出るだろう。

 それはすなわち、安倍政権の行方を占うリトマス試験紙となる――。

(編集部)

【1】大樹総研
2007年に設立された、民間コンサル会社。同社HPによると、主な事業内容は「戦略コンサルティング」「フェロー派遣サービス」「地方自治体向けサービス」「政策研究・提言」だという。

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