サイゾーpremium  > 特集  > 裏社会学  > 現代の社会問題がわかる本【1】/【社会学】でわかる日本の裏の顔
第1特集
現代の社会問題がわかる本【1】

西成から歌舞伎町、ホームレスまで――ヤバい現場に入り込んで調査! 社会学でわかる日本の裏の顔

+お気に入りに追加

――社会学とは、誰もが知っている日常を研究対象として、そこに生きる人の目線で、我々が見ているのとは違う事実が隠れていることを探る学問。それでは、そんな社会学者が裏の社会を自らの足を使って研究したら、何が見えてくるのだろうか?

1708_p72book_300.jpg
『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』(東洋経済新報社)

 アメリカの社会学者、スディール・ヴェンカテッシュの『社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた』(東洋経済新報社、2017年)をご存じだろうか? 高級売春婦、ドラッグディーラー、不法移民など、世界一の大都市・ニューヨークの暗部で生きる人々を、社会学者である筆者自らがフィールドワークして描いた本書は、昨年5月に翻訳版が発売されると瞬く間に話題となった。

 この本を通じて描かれているのは、一見縁遠く思えるアンダーグラウンドな世界が、実は表の経済にも密接に絡み合っているということだ。

「この本に限らず、彼の研究はきわどい対象を扱っているからおもしろいのではなく、分析がきちんとしているからなんです。例えば彼は刑務所に入っているギャングからドラッグに関する帳簿をもらってきて、その内容と自分が日頃から目にしているギャング同士の抗争や、そこで何人死んだかという情報を照らし合わせることで、それぞれが自分の命をどれくらいだと見積もっていることになるのかをはじき出したんです。その論文の中では命の値段は非常に安く、通常であればギャング集団に属し続けるとは思えないのですが、だからといってヴェンカテッシュはギャングが非合理的で向こう見ずな集団だと結論づけず、彼らの中にあるトーナメントシステムのような価値観の存在を指摘しています。『一戦一戦の期待利潤は少ないが、生き残ると一攫千金になる』という考え方で、だからこそギャングのリーダーは高級車に乗ったり、高価な服を着ることで部下にも期待させる。社会学、特に都市のフィールドワークでは経済学的な要素を飛ばし、人々のやりがいや社会的関係などに注目しがちなのですが、歌舞伎町ではお金の話が重要だと感じたため、彼の経済学的な分析と社会学的な分析の組み合わせは参考になりましたね」

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年2月号

日本のタブー

日本のタブー

小阪有花、危険なエロス

小阪有花、危険なエロス
    • 元祖タブーグラドル【小阪有花】

インタビュー

連載

    • 【長澤茉里奈】ストロング系なんです。
    • 【犬童美乃梨】筋トレ女子、秘密の習慣
    • いとしの【戸田恵梨香】
    • 自由な【インターネット】は終わった
    • 一茂、良純【中年ジュニア】の時代が到来
    • 知られざる【北島三郎】まつり話
    • 【スタバ】を襲う謎のコーヒー起業家
    • 【Zapp】ロボット声の魔力
    • 町山智浩『運び屋』
    • 【ゴーン前会長逮捕】から考える社会の劣化
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子の「ドラッグ・フェミニズム」
    • 「念力事報」/憎みきれないハゲダルマ
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【ちびまる子ちゃん】がその他大勢に与えた救済
    • 【スヌープドッグ】のローライダーを塗った男
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 不死鳥のごとく蘇った【天才ブルワー】
    • 【ゲイメディア史】群雄割拠時代の幕開け
    • 幽霊、呪われた平成と世直しの幻想。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』