サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 【警察/高橋功一】潜入捜査官の苦悩を描いた良作
第1特集
各業界の"本職"に聞く「オレたちのタブーを破った映画」【2】

元警察官・高橋功一が見る 潜入捜査官の苦悩を描き切った『ディパーテッド』

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高橋功一(たかはし・こういち)
[元大阪府警巡査部長]1957年生まれ。76年より大阪府警に務め、防犯畑を歩く。95年より大阪府警生活安全部銃器対策準備室に配属され、潜入捜査を開始。しかし99年7月に旅券法違反、出入国管理及び難民認定法違反ほかの罪に問われ、懲戒免職処分を受けた。

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 元警察官として映画を見る際、気になるところはやはりまずディテールですね。わかりやすい例を挙げれば、銃弾の数。警察官が拳銃に装填していいタマは5発なんです。でも映画の中だとバンバン撃つから、フィクションとはわかってても自然に数えてて、「あと一発残しとかんと、もしもの時どうするんや」って心配になる(笑)。

 だから細部がしっかりしてる映画は「おっ」となりますよ。初期の『踊る大捜査線』(98年)なんか、本部と所轄のやりとりが、よくできていたと思います。映画の中で、本部が出っ張ってきて帳場が立つ(=捜査本部が設置される)と、所轄が弁当の段取りに慌てふためく場面があるんですが、ホンマにその弁当の段取りで所轄に対する評価が決まるんです(笑)。映画の監修をされた方が、現場に精通されてたんだと思いますね。

 潜入捜査ものとしては、香港映画『インファナル・アフェア』(02年)のハリウッドリメイク『ディパーテッド』【4】がディテールを省略せずにキッチリ描いていましたね。特に、主人公のレオナルド・ディカプリオがマフィアに潜入するまでの苦労と葛藤がリアル。私自身、1年かけて10キロ痩せて髪を染めて人相も服装も変えて、ある組に潜ったんですが、ディカプリオの苦しむ姿に当時のことを思い出して、映画を観た後に夢に見るほどでした。日本版リメイク『ダブルフェイス』(WOWOW/TBS)はドラマですが、そういった細部が雑で残念だった。主人公の西島秀俊さんが麻薬捜査のために組織に潜るんですが、日本では法律的に警察官の麻薬の潜入捜査はありえない。また西島さんが「刑事への復帰を望んでいる」と作中でしきりに言うけど、一度潜ったら、復職はまずないです。私ははっきり「戻れないぞ」と言われてましたから。「一度海の水に慣れた者は、もう二度ときれいな川には戻れない」と。

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