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大石始のマツリ・フューチャリズム【11】

盆踊り会場は性愛現場のルーツ、現代では新たな出会いの場に……

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

盆踊り会場は性愛現場のルーツ、現代では新たな出会いの場に……の画像1
下川耿史・著『盆踊り 乱交の民俗学』(作品社)は、「盆踊り会場は、男女の性欲に満ち溢れる乱交の舞台であった」という歴史と文化をまとめた貴重な資料!

「あんさんあんさん踊りこ見るたて/そんなに立って見るな/立っていいのは電信柱とあんちゃのXXばかり」――これは秋田県羽後町の西馬音内盆踊りで歌われる地口の一節だ(伏せ字の箇所は原文が掲載された『西馬音内盆踊り 地口とがんけ集』のまま)。地口とは、囃子に合わせてリズミカルに言葉を乗せていくラップに近いスタイルで、西馬音内盆踊りには数百に及ぶ地口のパターンがあるといわれている。その中には風刺や御国自慢も含まれるが、深い時間になればなるほど、こうした下ネタの地口が即興的に歌われていたらしい。日本三大盆踊りのひとつに数えられる西馬音内盆踊りで、このような他愛もない下ネタが歌われていたことに驚かれる方もいるかもしれないが、実は“下ネタが盛り込まれた盆踊り唄”の例は、北から南まで枚挙にいとまがない。いわば、下ネタは昔から盆踊りの鉄板ネタだったのだ。

 その背景にあるのは、決して切り離すことのできない〈盆踊りと性愛〉の関係性だ。よくいわれてきたように、盆踊りの場は、村の若者たちにとって出会いの場としても機能してきた。夜が更ける頃、出会ったばかりの男女がこっそりと会場を抜け出し、人目を忍んで一夜を共にする――かつての盆踊りでは、そんな情事が当たり前のように繰り返されていたという。実際、現在でも山深い集落の盆踊りなどで長老に昔話を聞くと、目を細めて乱れに乱れた当時の盆踊り情事を聞かされることが多々ある。性に対して非常に大らかだった明治以前の村落生活では、男性が女性の家へと性交目的で通う夜這いも広く行われていたが、盆踊りもその延長上にあったと考えられる。また、共同体のルールに縛られた若者たちにとって、一夜の無礼講の場である盆踊りは、そのルールを逸脱し、欲望の世界へと身を投じることのできる貴重な機会でもあった。

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