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法社会学者・河合幹雄の法痴国家ニッポン【33】

「次に死刑に処される者」 を決めるのは“誰”なのか?

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法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

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国民の大半が死刑に賛成
2015年1月に内閣府は、死刑制度の存廃に関する世論調査の集計結果を発表。それによると、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と死刑を否認する回答が9・7%だったのに対し、「場合によっては死刑もやむを得ない」と容認する回答が80・3%を占めた。1955年の調査開始以来一貫して、死刑容認派の割合は反対派の割合を大きく上回っている。

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『元刑務官が明かす死刑のすべて』(文春文庫) 

 これまで本連載では、わが国の犯罪状況と、それを取り巻く法制度や司法界、あるいは社会の実情について、さまざまなトピックを切り口として論じてきました。その中で、内容のあまりの広範さと複雑さから、半ば無意識のうちに言及を避けてきたテーマがある。それは死刑です。

 とはいえやはり死刑は、日本の刑法の根幹に位置する刑罰としていつかは語らねばならない議題であり、また本連載のメインテーマのひとつである「警察・検察行政の裏にひそむ真の“意図”」をあぶり出す上でも避けて通れないものです。

 そこでいよいよ今回から、本腰を入れて数回にわたり、この重要なテーマについてさまざまな視点から論じていきたいと思います。そして、その第1回目である今回、ぜひとも語っておきたいのが、「どの死刑囚の刑を執行するかを、誰が、どうやって決めるのか」についてです。なぜなら、その点に目を向けることこそが、わが国の刑事司法システムの構造を解き明かし、ひいてはその象徴ともいえる死刑というものを真の意味で理解するために不可欠だからです。

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