サイゾーpremium  > 特集2  > 女性媒体の【セックス特集】の変遷とエロ産業の成り立ち

――セックス特集を組むたびに話題となっている「an・an」(マガジンハウス)をはじめ、昨今女性媒体による”エロ”関連特集が急増している。それだけでなく、”女性の性”を主軸とした媒体やコンテンツも増えており、女性が積極的に自らの性事情を語るようになってきた。果たして、この風潮はどんな利益を生み、同時に、男性たちはこれをどう見ているのか──検証していこう。

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「婦人公論」が発行する『快楽白書』(中央公論新社)の公式ウェブサイト「KERAKU」のページ。

 女性向けのアダルトメディアが注目を集めている。女性向けであることを明確に打ち出した初のAVメーカー、「SILK LABO」が誕生したのが2009年。その翌年、10年末には女性向けアダルト動画サイト「PeachJoy」がオープンしている。

 この頃から、若くてルックスのいい一部のAV男優が女性ユーザーの人気を集めるようになっていた。その代表的な存在である鈴木一徹(現:一徹)に至っては、彼の出演シーンを集めた女性向けベスト盤AV『first love 鈴木一徹』(h.m.p)が発売され、さらに12年には「SILK LABO」と専属契約を結び、話題となった。

 彼らのようなイケメン男優たちはエロメンと呼ばれ、イベントを行えば女性ファンが殺到する。そこでは黄色い歓声が飛び、まるで男性アイドルのイベントのようだ。

 もうひとつの動きは、アダルト色の強い女性向けサイトの急増である。13年には、女性向けアダルト動画サイト「GIRL'S CH」や、セックスの話題も豊富な女性向け情報サイト「messy」(小社姉妹媒体)がスタート。12年に女性向けのライフスタイル情報サイトとして始まった「AM」も次第にアダルト色を強めている(同サイトの最新の「今月の特集」のテーマは「セフレ」だ!)。さらに「Menjoy!」や「女子SPA!」といった女性向け情報サイトでも、セックス関連の話題は少なくない。そこに90年代から女性向けアダルトグッズの販売を手がけていた「ラブピースクラブ」のホームページなども加えると、かなりの数のサイトが女性向けのセックス関連情報を提供しているということになる。

 そもそも、女性向けアダルトメディアの大きな転換点となったのは、言うまでもなく、1989年3月の「an・an」(マガジンハウス)の特集「セックスできれいになる」だろう。女性のファッションやライフスタイルをリードする存在であったメジャー誌が、堂々とセックスを扱うという衝撃は、大きな反響を呼んだ。女性目線でセックスをポジティブに語る姿勢は多くの読者の共感を得て、以降繰り返される同誌のセックス特集は、毎回多部数の売り上げを記録していく。たとえば「感じあう、SEX」特集を掲載した12年8月22日号(表紙はAKB48小嶋陽菜)では、同誌過去最多の80万部を発行し、完売店が続出。実売も、60万部は超えただろうと報じられていた。業界内でも、「13年の同誌のセックス特集で当サイトについての記事を掲載していただいたところ、サイトを訪れるユーザーは倍以上に増えました」(「GIRL'S CH」運営責任者・田口桃子氏)という声も聞こえてくるなど、その影響力の大きさも伺える。

 そんな「an・an」が「セックス特集」ブームに拍車をかけたのは、06年のこと。その年のセックス特集号の付録として、当時人気AV女優だった夏目ナナ主演のDVDをつけたのである。これはモザイク修正が必要な過激なカットもなく、成人指定もされていないソフトな内容のものではあったが、セックスシーンもしっかりと描かれ、女性用AVと呼んでもおかしくないものだった。このDVDが女性読者に受け入れられたことから、「SILK LABO」などの女性向けAVというジャンルが生まれたといってもいいだろう。

 同時に、06年から性に特化した別冊『快楽白書』を毎年発行している「婦人公論」(中央公論新社)も、現在では年に2回は中高年女性向けのセックス特集を展開し、話題を呼んでいる。同誌に至っては、08年に『快楽白書』の公式ウェブサイトと称し、「快楽 KERAKU」というアダルトグッズ専門の通販サイトもオープン。出版社によるアダルト関連サイトの先駆けとなった。

 そして、この「KERAKU」のオープンと時を同じくして、「MORE」(集英社)「Zipper」(祥伝社)「Vivi」(講談社)「MISS」(世界文化社)「日経WOMAN」(日経BP)といった、青文字、ギャル、原宿系などジャンル問わずのファッション誌から女性向け経済誌まで、幅広い媒体でセックスに関する特集が組まれるようになる。その内容も、女性が本当に気持ちいい体位の話から、フェラチオなどのテクニック講座、オナニーの方法・グッズのススメまで多岐にわたるなど、女性たちが積極的に、自らの性を語り始めたのだ。

 そんな中、最近では冒頭で触れたようなウェブサイトが続々と登場し、アダルトグッズメーカー「トイズハート」が協賛するUstream番組「女子オナニー会談」なる、素人女子がオナニーについてあけすけに語る番組も誕生。もともとは大阪在住の一般女性が自主的に始めたものだが、多い時には1万人以上もの視聴者が訪れ、ゲストも毎回自主的に応募してきた一般女性たちによって展開され続けている。

 インターネットの普及によって誰とも接触せずに、かつ安心してグッズを購入したり、情報を得たりできるようになった昨今。女性の「エロ」に対する抵抗も、年々減少しつつあることは間違いない。

 事実、AVを配信している某携帯サイトによれば、ユーザーの3割が女性だという。女性も「エロ」が好き。それは、もう疑う余地のない事実のようだ。

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