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反対した藤原紀香が公安の監視対象にされた「秘密保全法」のトンデモぶり

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MEMO『秘密保全法』
2011年より話し合われている、新制度案。国にとって特に重要な情報を「特別秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理、または外部に漏らした者を処罰することで、「特別秘密」を守ろうとする法制。

 今話題の「秘密保全法」ほど、トンデモない法律はほかに知らない。この法律が成立し、実際に施行されたならば、これからレポートするような事実をつかみ、メディアに公表した当方は直ちに身柄を拘束され、事態によっては懲役10年という、長期刑に処せられる可能性すらあるからだ。

 これによって、メディアは厳罰におびえ、身の安全を恐れて尻込みするといった、取材や報道の萎縮につながりかねない危険性もはらんでいる。女優の藤原紀香でさえ、同法が持つ危険性に対し、ブログでこう憂慮の声を挙げていた。

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『紀香バディ!2 リ・アル』(講談社)

「みなさん、『秘密保全法』って知ってましたか(略)これがこのまま通ると大変なことになる。もしその可能性があるとしたら国民の一人としていかがなものかと心配しています。国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、あいまいなのが問題(略)国が『特定秘密』に指定すれば、反対の声を挙げている人たちや、真実を知ろうとして民間で調査している人、マスコミ関係者が逮捕されてしまう可能性があるって……日本は民主主義国家でなくなってしまうのかな……」(原文ママ)

 この発言によって、公安の監視対象となってしまった紀香が、そうまでして発信した「秘密保全法」の危険性とは、一体如何なるものなのか。まずは、その中身をざっと説明していこう。

 同法が守るべき重要秘密とは、大きく「防衛問題」「外交問題」「安全脅威活動(いわゆるスパイ活動)の防止」「テロ活動の防止」といった、4つに分類される。

 これらに関する情報を”秘密”として、厳重な国家管理下に置く。そしてその秘密情報の漏洩や流出、提供にかかわった者、さらにはこれらを調査、取材して得た事実を社会に公表した者には、厳罰を課すというものだ。

 また、情報の中でも、とりわけ秘密性の高いものが「特定秘密」と規定される。ちなみに同法は、情報の重要度に応じて「取り扱い注意」「秘密」「極秘」と区分していくという。ここで、この「機密」についての定義も、記しておきたい。

 秘密保全法にはしばしば「機密」という用語が出てくるが、これを同法は、「極秘文書のうち、その漏洩が国の安全を損なうなど、国益を著しく害するおそれが特に高いと判断されるものを『機密』に指定し得るものとする」と定義し、「秘密」との差異を明確にしている。

 防衛にせよ、外交にせよ、国の平和と安全、国民の生命、生活、財産を守る上で極めて重要な問題、まして国家の存亡にかかわるとなれば、なおさら、守らなければならない国家秘密というものもあるだろう。

 とはいうものの、フリーハンドではない。憲法21条で保障された表現の自由、言論の自由を阻害してはならず、国民の知る権利に縛りを加えるようなことがあってはならないのではないか。

 ところが秘密保全法には、これらを侵害し、言論統制につながりかねない危険性が潜んでいるのだ。なぜなら、何が「極秘」で何が「機密」なのかについては具体的に示しておらず、その判断は各行政機関の現場サイドに任せているため、恣意的に用いられかねないこと、行政にとって不利なこと、不都合なことは同法をタテに「極秘」扱いとする、といったことも可能になるからだ。紀香が懸念しているのも、この秘密の範囲の曖昧さについてである。

 さらに見落としてはならないのが、「秘密」あるいは「機密」審査および決裁は、所轄官庁の課長を責任者としており、国務大臣ではない、という点である。

あの有名企業の社員が”国”の要請で戦地に!

 ことほどさように、私たち国民にはうかがい知れないところで着々と進められている秘密保全法。そのため現在でさえも、「防衛上の秘密」「企業秘密」あるいは「顧客との契約上の秘密」などといったさまざまな理由のもとに、一般にはほとんど知られていない問題が、ますます「極秘」扱いになるのではないだろうか。そのひとつが、自衛隊員が展開している国連平和維持(PKO)活動地域に、民間人が派遣され、PKO活動の一翼を担っているといった事実だ。

 このPKO活動とは、イラクやアフガニスタン地域、あるいは海賊から船舶を守るとして、護衛艦などをもって日本の自衛隊がインド洋で展開しているものである。しかし、実はこれらの紛争地域に、民間人も派遣され、自衛隊員と共にPKO活動に従事しているというのだ。

「これが、それを裏付ける証拠です」

 こう言って、山口健司・重工産業労組委員長がテーブルに開いたのは、テロ対策特措法およびイラク特措法、補給活動特措法などに基づいて、民間人が紛争地域に派遣された年月、人員、目的などを示す防衛省の資料である。

 この資料には、テロ対策特措法によるPKO活動地域の民間人派遣は、02年7月、護衛艦「あさかぜ」の部品交換のために4名が従事したのを皮切りに、05年12月まで、合計16回、のべ人数46名が派遣されたと記されている。

 さらに、イラク特措法に基づく派遣は、通信機器の設置、操作指導などで04年3月から07年9月までの間に6回、21名が従事。インド洋には、艦船の機材点検などで08年2月と3月の2回、5名が送り込まれている。

 もちろん、この資料に書かれている通り、民間人の派遣は、あくまで機材や装備品のメンテナンスが目的であり、自衛隊員のように武装して防衛に当たるというものではない。また、この派遣された民間人というのは、武器弾薬などを生産している我が国の武器メーカー…… もとい、誰もが知るMやKといった、大手メーカーの社員たちだ。

 とはいえ、「PKO活動に民間人も加わっている」など、知られざる事実である。しかし問題は、これだけではないと山口氏は指摘する。

「紛争地域に国からの要請で派遣されているにもかかわらず、彼らには、戦闘に巻き込まれて死傷した場合の補償はありません。また、社員を派遣した企業では、あくまで通常の海外出張という扱いで処理をさせられています。当然、『防衛上の秘密』という理由で、派遣された社員たちには『現役中も退職後も口外してはならない』とのかん口令が敷かれていますよ」

 こうした派遣社員の処遇問題について防衛省に問い合わせたところ、「契約は企業と交わしたものであり、それ以上は申し上げる立場にない」との一点張り。派遣社員の処遇は、あくまで企業が処理すべき問題という態度だ。

 しかし、防衛省は企業に対して、技術者派遣を要請しているのみならず、01年11月、海上自衛隊は20数社の企業を集め、PKO活動を展開する艦船の修理に関する説明会を行っている。艦船の入港場所や業務内容の秘匿、派遣社員の名簿提出などを”要請”してしていたことは、事実なのだ。

 一方の企業側も、「契約上の問題については明らかにできない」との姿勢。秘密主義で貫かれた防衛省と企業との連携ぶりは見事だが、現在も、自衛隊員は南スーダンでPKO活動を展開している。よってこの地域にも、民間企業の社員がこっそり派遣されていることは、想像に難くない。自衛隊のPKO活動を長年ウォッチしている、ジャーナリストの吉田敏浩氏もこのように指摘する。

「実は昨今、PKO活動の裏で動く民間人は、武器メーカーの社員だけではありません。たとえば武器弾薬、あるいは自衛隊員の輸送には、民間のチャーター機や船舶が加わりました。隊員の渡航や宿泊は旅行代理店が手配するなど、関係する民間企業は広範にわたるのです」

 幸いなことに、現在のところ、自衛隊員にも派遣された民間人にも、戦闘で死傷するような事態には遭遇しておらず、PKO活動は比較的スムーズに行われている。けれど、こうした”平和活動”においてですら、その実態を知れば知るほど驚きの連続である。

 すでに、「秘密」があふれている日本社会。秘密保全法が施行されたなら、果たしてどうなってしまうのか――。目を背けてはいけない問題なのではないだろうか。

(文/島村 玄)

尖閣諸島沖漁船衝突映像流出事件がきっかけに?

2010年9月に起きた尖閣諸島沖漁船衝突事故は、記憶に新しい読者も多いのではないだろうか。この事故からおよそ2カ月後の11月、中国への配慮から非公開となっていた漁船衝突時の動画が突如、動画投稿サイト「YouTube」上にアップされたのだ。この動画は、漁船衝突時に海上保安官が撮影していた44分間の未編集のもので、何より衝撃を与えたのは、流出させたハンドルネーム「sengoku38」という人物が、一色正春元海上保安官だったことだ。そして、この事件をきっかけに、「秘密保全法」の是非が持ち上がったと言われている。
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