サイゾーpremium  > 特集  > 企業裏事情  > ブラック企業の経営者が発した【名言】たち

──【使い捨て社員急増中のブラック企業研究【1】】でも述べたように、メディアで華々しく発言するような社長の経営する企業が、実はブラックであることも多い。そこで、ブラック企業が多いといわれる3業種の、カリスマ的経営者たちの名言(迷言?)から、各企業のブラック度をうかがってみよう。

飲食業界

【飲食業界がブラックなワケ】
■安価で高品質なサービスが原因!?
モンテローザ、ワタミ、ゼンショー、大庄、くらコーポレーションなど……。インターネット上で公開されている「ブラック企業ランキング」の上位には、飲食業が軒並みランクインしている。デフレ下において、安価でレベルの高いサービスを提供するため、低賃金・長時間労働やサービス残業が常態化。過労死や「名ばかり管理職」をめぐる訴訟もたびたび起き、こうした劣悪な業務環境の中で、パワハラが横行するなど、ブラック企業となる要因尽くしである。アルバイトからの正社員登用など、比較的簡単に入社可能な業界だが、離職率が高いことも特徴だ。

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(絵/handpoint.)

【1】ヒトラー並みの“夢”ファシスト
渡邉美樹
ワタミ取締役会長
1959年、神奈川県横浜市出身。82年株式会社ミクロ経理入社。退社後、1年間佐川急便に勤め、300万円をためてワタミを創業。農業や介護事業等にも参入し、教育に関する発言も多い。11年には東京都知事選挙に立候補したが落選。


「三六五日、二四時間、 死ぬまで働け!」
出典:『きみはなぜ働くか。』(日本経済新聞社)より

月100時間を超す残業により女性新入社員が自殺し、労災認定を受けたことが記憶に新しい同社。渡邉氏は夢や自己実現を礼賛するが、実態は長時間労働が常となり、夢を描くどころではない。このお言葉を記した著書によると、早朝に行われる「理念研修」に仕事が終わってそのまま参加する社員もいるとのこと。上司には部下に「温かい愛情」を持って「死ぬまで働け!」と言ってほしいそうだが、本当に死ぬまで働かされてはたまったものではない。自身の理想を“善”と疑わず、社員にもその追求を要求する姿は、ヒトラー的ファシストといえよう。

【2】口汚いハイエナ
井戸 実
エムグラントフードサービス社長
1978年、神奈川県川崎市出身。「ロードサイドのハイエナ」を自称し、「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」など人気店を次々と出店。28歳で同社を創業した注目の経営者。歯に衣着せぬ物言いでも話題に。

「倒れるのはそいつが悪いだけ。自己管理の問題だ」
出典:「東洋経済オンライン」インタビューより

外食業界で起こった過労死事件に対するコメントとして、「そもそも労働基準法がおかしい。なぜ週40時間以上の労働が残業になるのか」と続く。一見、恐ろしくブラックな発言だが、その後には、高給を不要として週40時間で働くか、高給でハードな労働をするかの2つの働き方を提案するなど、相対的視線も持っている。それでも、表現が悪すぎるため、ブラックな印象は拭えず。

【3】勝利がすべての鬼軍曹
藤田田
日本マクドナルド創業者
1926年、大阪府大阪市出身。04年没。東京大学在学中に「藤田商店」を創業し、輸入雑貨業を営む。「日本マクドナルド」や「日本トイザらス」の創業者でもあるカリスマ経営者。

「勝てば官軍」
出典:『勝てば官軍 成功の法則』(ベストセラーズ)より

すでに故人ではあるが、日本マクドナルド創業者であった藤田田の座右の銘。しかし、同社は2008年には「名ばかり管理職」の問題で店長に対して残業代の支払いを命じる判決を受けており、「ブラック企業だ」とする声も大きい。「勝てば官軍」と言えば聞こえはいいが、勝ち続けることが難しくなっている不況の昨今では、そのしわ寄せは従業員にいくこととなる。

IT業界

【IT業界がブラックなワケ】
■下請け任せのピラミッド構造
ホリエモンこと堀江貴文氏や楽天の三木谷浩史氏など、名だたる経営者を輩出し、華やかなイメージが強いIT業界。しかし、実態は「IT土方」と呼ばれるような劣悪な環境で働いている従業員が多い。「特にエンジニアやプログラマの労働環境は過酷です。業界全体がピラミッド構造になっていて、一次~五次請けぐらいまで仕事が流れていき、下にいくにつれてスケジュールや予算は切り詰められ、厳しい条件で仕事せざるを得ない」(新田氏)と、業界の構造自体がブラック化を助長。新興産業のためライバルも多く、仕事を断ると別の企業に発注されてしまうことも、下請けの立場を厳しくしている原因だ。

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(絵/handpoint.)

【1】うぬぼれナポレオン
重田康光
光通信 代表取締役会長 兼 CEO
1965年、東京都出身。88年に光通信を創業。96年には、設立8年という当時の国内最短記録で株式公開。99年に当時最年少で東証一部上場を果たしたが、携帯電話の架空契約が明るみに出て、株価が急落したことも。


「投資先を見てください。ライバル会社が羨むほどでしょう」
出典:「日経BPネット」2000年11月7日付記事より

IT系商社として、過剰な実力主義を標榜し、ブラック企業の代名詞とされることも多い光通信。同社のホームページでは「ビジネスの世界は、とにかく結果が重要です。光通信グループの場合、結果を出している人は早い人で入社3ヶ月目で課長代理に昇進、入社半年または1年で課長に昇進ということも、そう珍しいことではありません」とうたう。今回紹介した名言からも、重田氏の強烈な自尊心がうかがわれるが、最年少で東証一部に上場した「成功体験」が社風にも反映されているということだろうか。フランス最年少元首となったナポレオンのごとき、若き独裁者だ。

【2】尻尾切りのトカゲ社長
藤田晋
サイバーエージェント代表取締役社長CEO
1973年、福井県生まれ。青山学院大学卒業。人材紹介などを営むインテリジェンスに在籍後、98年にサイバーエージェントを創業。女優・奥菜恵の元夫でもある。

「おれは21世紀を代表する会社をつくる」
出典:『渋谷ではたらく社長の告白』(アメーバブックス)より

社内ベンチャーなど自由な社風で知られるサイバーエージェント。しかし、ある専門家によると、「社内ベンチャーの社長にめちゃくちゃな労務管理をさせ、それを指摘すると、『別会社だから』と逃げる体質がある」という。「おれは21世紀を代表する会社をつくる」と意気込むが、「21世紀を代表するブラック企業」にならなければいいのだが……。

【3】労働という喜びを与える神
三木谷浩史
楽天代表取締役会長兼社長
1965年、兵庫県出身。一橋大学卒業。88年日本興業銀行(現・みずほコーポレート銀行)に入行。ハーバードでMBA(経営学修士)を取得し、97年にエム・ディー・エム(現・楽天)を創業。

「成長こそが、人生の喜びなのだ」
出典:『成功の法則92ヶ条』(幻冬舎)より

社内公用語を英語にしたことでも有名な楽天だが、転職コンサルの話によると、毎週一回、人事部から「あなたのTOEICは××点足りていません」などと、忠告のメールがくる徹底ぶりなのだとか。また、創業者である三木谷氏の発言力が強く、「神様」と皮肉られることも。この名言が示す「成長」の条件が、長時間労働など経営者にとって都合のいいものに解釈されていないよう願うばかりだ。

小売業界

【小売業界がブラックなワケ】
■自爆も辞さない売り上げノルマ
コンビニエンスストアをはじめ、小売業界においては、24時間営業といった利便性を追求した改革が進んでいる。一方で、長引く不況で消費者の購買意欲が低調に推移し、競合との安売り競争にも晒され、現場には常に緊張感が漂っている。そうした経済情勢は当然、従業員の待遇にも反映され、低賃金・長時間労働に加え、社員には厳しいノルマが課せられることとなる。前出の転職コンサルタントによると、アパレルなどでは売り上げノルマが達成できなければ、自身で自社の商品を購入する「自爆営業」も横行しているという。不況の煽りが末端の小売業に及び、ブラック企業になりやすい体質を作っている。

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(絵/handpoint.)

【1】毛沢東的賛否両論の革命家
鈴木敏文
セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長
最高経営責任者
1932年、長野県生まれ。中央大学経済学部卒。73年にセブン-イレブン・ジャパンを設立し、日本を代表する小売店の地位を獲得した手腕は、国内外で高く評価されている。


「お客さまを喜ばせなければならない、というより、そうしないと自分たちの存在価値がないのですよ」
出典:『鈴木敏文語録「チャンスは君のそばにある」』(あさ出版/著:国友隆一)より

マクドナルド同様、「名ばかり管理職」が常態化していたセブン-イレブン。転職コンサルいわく「会議では成績が悪い人を前に並べて吊るし上げる。鈴木敏文は社内では老害といわれているけど、業績がいいので誰も逆らえないらしい」とのこと。経営者として世界的に注目を集めるなど、その影響力は毛沢東ばり。コンビニエンスストアとして、最大規模を誇るセブン-イレブンだが、従業員の血のにじむような努力によって高い品質のサービスを維持できている。消費者の「喜び」を大義名分に、社員の存在価値まで否定しないように気をつけてもらいたい。

【2】社畜の兵を統べる首領
安田隆夫
ドン・キホーテ代表取締役会長 兼 CEO
1949年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒業。89年にディスカウントストア「ドン・キホーテ1号店」を府中に開店した。現在では従業員数2591人(2012年3月現在)の企業にまで成長。

「弱い兵士を守るのではなく、強い兵士を育てるのがサバイバルの鉄則」
出典:『ドン・キホーテ 闘魂経営』(徳間書店/著:安田隆夫 編著:月泉博)より

ディスカウントストアとして広く知られている「ドン・キホーテ」。転職コンサルの証言によると、連続36時間労働もザラで、社員への恫喝も当たり前。部長クラスになると、全国の売り上げランキングが社内で公表されるという、完全なるサバイバル主義。そもそも社員を「兵士」に例えている時点でブラック!?

【3】不況の荒波を越えるスイマー
柳井正
ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長
1949年、山口県生まれ。84年にファーストリテイリングの代表取締役社長に就任。「ユニクロ」を世界的なブランドに押し上げた功労者であり、12年の米経済誌「フォーブス」によると日本一の富豪。ソフトバンクの社外取締役も務めている。

「泳げないものは溺れればいい」
出典:『ユニクロ帝国の光と影』(文藝春秋/著:横田増生)より

一部では「『ブラック企業』と書くと訴えられる」と噂されるユニクロ。社内に貼られていたというこの言葉は、出版差し止め訴訟を起こされた同書収録のインタビューで、柳井社長本人が、自身の本意ではない形で解釈されていると釈明している。しかし、同社の完全実力主義を的確に表現した言葉といえよう。

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