【安部若菜】“しょせんアイドル”という目で見られないように執筆!「アイドルとファンの恋愛小説」

「副業じゃないですけど、ほかの何かを見つけなきゃいけない」――。現役の48グループメンバーが上梓した小説の中身は、等身大のリアリティ。

(写真/宮下祐介)

大阪・難波を拠点とするNMB48のメンバー・安部若菜。高校時代から学んできた株式投資の知見を生かしてメディアで発信したり、趣味の落語鑑賞が高じて自らも高座に上がるなど、独自の道を開拓している。そんな安部が初小説となる『アイドル失格』(KADOKAWA)を上梓した。

「昔から思ったことを口にするのが得意じゃなくて、文字に書くほうが好きだったんです。日頃、感じていることや悩んでいることを吐き出せずにため込むタイプなので、日記みたいにノートに書き続けていて。今、アイドルになって5年目なんですけど、そうやって書きためたノートが何冊にもなって、これをなんとかうまく生かせないかなと思っていたんです」

彼女の初小説はアイドルをメインキャラクターにして構想された。おそらく、世間的に注目を浴びやすいのは、アイドルとファンが恋に落ちていくというモチーフであろう。だが、この青春小説が全編を通じて描き出すのはなにより、どこか憂鬱な気持ちを持て余し、将来に不安や焦りを抱えながらも、それぞれに歩む道を探り当てようとする若者たちの姿だ。それはアイドルとして、また現役の大学生として日々を送る安部自身にとってのリアリティでもある。

「主人公の実々花はアイドルをしながら高校3年を迎えて進路に悩みますが、この悩みはすべてのアイドルが経験すると言ってもいいくらい、みんなが抱えていること。一方でもうひとりの主人公、実々花に“ガチ恋”しているケイタは、今の私と同じ大学3年生。私自身、同じ大学に通う周りの子たちを見ていて、就職を目前にした不安も肌で感じていますし、身近なものとして書くことができたと思います」

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