ウクライナ侵攻のイメージも変わる 今、見るべき“戦争写真集”9選

――戦争の写真と聞いて、その悲惨さを訴える“ステレオタイプ”な戦場のイメージがつい思い浮かぶ読者も多いだろう。これまで戦争と写真はどんな関係にあったのか。この時代に戦争を写す新たな視点とは何か――。ロシアによるウクライナ侵攻が続く今、それらの問いに答え得る写真集たちを取り上げていこう。

劇的な効果を狙った演出も
【1】『A Photographer on the Eastern Road』
フェリーチェ・ベアト/Getty Publications/2010年

クリミア戦争(1853~56年)やセポイの乱(57~58年)の写真を収録。戦場をよりセンセーショナルに見せるために、死体や遺骨などを巧みに配置して撮影された。


ニュートラルな“記録”ではない
【2】『原爆の長崎 記録写真』
山端庸介/第一出版社/1952年

長崎に原爆が投下された直後の様子を克明に記録した貴重な写真であるが、もともとは陸軍の命によってプロパガンダのために撮影されたもの。戦後報道統制が解かれたのちに、刊行された。


なぜテレビ画面を差し込んだ?
【3】『M*A*S*H I*R*A*Q*』
トーマス・ドヴォルザック/Trolley Books/2007年

1970年代に放送されたテレビ番組『M*A*S*H』のスチール写真と、イラク戦争の写真を重ね合わせた作品集。何十年も変わらない戦争における生活と、そこに宿る狂気を明らかにしている。


決定的1枚のセレクト背景
【4】『故郷と戦場』
澤田教一/羽鳥書店/2016年

ベトナム戦争の最前線を写真に収め、34歳で銃弾に倒れた澤田教一の作品集。連続カットも多数掲載されており、決定的な1枚がどのように選ばれ、報じられたのかが理解できる。

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