謙虚な野心家 dokkoi流“ズレ”の美学

――ダンスフロアからの新たな刺客。DARUMAとJOMMYの画期的音楽探究。

(写真/西田周平)

今月のダルジョミ連載にお越しいただいたのは、イラストレーターとして活躍の場を大いに広げているdokkoi氏。以前は〈ラッチョ〉名義でも数々のワークスをこなし、その時代からダルジョミさんも認識はしていたものの、ディープな間柄になったのはここ最近とのこと。何がきっかけで深みにハマったのか、早速解体いたしましょう。

DJ DARUMA(以下、D) もともとラッチョくんの存在は知っていたんですけど、〈dokkoi〉という名義がラッチョくんだと知らずインスタをフォローしてたんですよ。僕の奥さんが〈Wheel Noise〉っていうブランドを娘と一緒にやってるんですけど、「dokkoiにお仕事お願いできたら最高だよねー。でも手描きだからギャラも高いよねー」とか話してて、DMを送ったらまさかのラッチョくんだった、っていうのが始まりだよね。

dokkoi もともと宇川直宏さんやムードマンさんと仲良くさせてもらっていて、その付き合いから電気グルーヴの石野卓球さんを紹介してもらい、「ラッチョがデザインしたTシャツ、卓球さんの事務所に送ったほうがいいよ!」とか言われたことがあったんですね。それがまさかの採用となり、フジロックで販売されたのがキャリアのスタートになります。その頃は大きな会社で働いてたんですけど、「これはイラストレーターを本業に……」と思ったんですけど、世の中はそんなに甘くなく、ワンヒットワンダーの感覚を味わいました。

――〈dokkoi〉という名前の由来は?

dokkoi 僕の父親が捕鯨船の仕事をしていたんですけど、宇川さんとかから「鯨ばっか食ってたからこんなデカくなったんだよ」って言われてたんですね。それで小学校のときに読んだ『ガリヴァー旅行記』の日本版が確か『どっこい海へ行く』だったよなと思い、そこからdokkoiにしました。あと、『ストリートファイターII』のエドモンド本田の「どすこい」が「どっこい」にも聞こえるので、海外と仕事をする機会があれば覚えてもらいやすいかなと。

D そんなまさかのつながりから一気に仲が良くなって、今では師と仰ぎ、影響されて僕も絵を描き始めたり、ラッチョくんの家にちょくちょく遊びに行ったりしてます。僕が不眠遊戯ライオンでやってるイベント『QUIET BEAT CLUB』のフライヤーのデザインをやっていただいているのと、JOMMYの新曲「Hot Girl」のジャケットを描いてもらったり、仕事でも絡ませてもらってます。

dokkoi DARUMAさんとJOMMYさんの存在は知っていましたし、DARUMAさんからDMが届いたときは「よし、釣れた!」と思って喜びました。

D 釣れたって(笑)。

dokkoi もともとDARUMAさんワークスから影響を受けて研究していたので。インスタでDARUMAさんが食いつきそうなネタを投稿したら「いいね!」が付いたので、「これはそろそろ釣れそう!」と思ってました。

dokkoi氏がジャケットを手がけたJOMMY兄貴の新曲。一番初めにdokkoi氏がイラストのイメージを伝えたところ、「曲、ちゃんと聴いてないでしょ?」とJOMMYさんからツッコまれた模様。
「Hot Girl feat. JP THE WAVY」 JOMMY(sensor label)

JOMMY(以下、J) 僕もラッチョくんの存在自体は知ってて、話す間柄ではなかったけど、自作のステッカーとかもらったことがあって、今でも持ってる。

dokkoi ありがとうございます。ファッションのシーンとはつながりが少しあったんですけど、音楽の現場の方とはあまり接点がなくて、「ヒップホップの仕事もしたい!」と思っていたら、JOMMYさんの「Hot Girl」仕事でJP THE WAVYさんと絡むことができました。ちなみにJOMMYさんもDARUMAさん同様で、めっちゃ研究してたんです。「DARUMAさんと仲良しだから、絶対JOMMYさんともつながれるはず!」と。

D 確かにラッチョくんから言われたよね、「ヒップホップ界隈の人と仕事がしたいんです!」って。

J そこから曲を聴いてもらい、すぐビジュアルの打ち合わせに入ったんだよね。そこでアートワークの方向性を伝えて、ラッチョくんから上がってきたものに対してWAVYからも「すごいいいですね」って流れで。

今すぐ会員登録はこちらから

人気記事ランキング

2024.5.14 UP DATE

無料記事

もっと読む