警察が通信傍受?――【沢尻エリカ】薬物事件捜査の歪みと暴走

事件捜査をめぐる不可解な点とは?

女優の沢尻エリカ被告がMDMAを所持していたとして逮捕されたニュースは、世間を大いにざわつかせた。すでに起訴・保釈され、今後は裁判を控えているわけだが、この事件にはいくつか不可解な点がある。それらをつぶさに見ていくと、警察とマトリの捜査や、メディアの報道のあり方をめぐる問題点が浮き彫りになるのだった――。

TBS系の報道番組で流された逮捕前日の映像。YouTube上のチャンネル「TBS NEWS」にもアップされていたが、現在はなぜか削除されている。

 11月16日、合成麻薬MDMAを所持したとして麻薬取締法違反の容疑で警視庁組織犯罪対策5課【1】に逮捕された女優の沢尻エリカ被告。12月6日には東京地検に起訴され、同日に保釈金500万円を支払い保釈された。 今年は著名人の薬物関連の事件が続いた。3月にミュージシャンで俳優のピエール瀧、5月に元KAT-TUNの田口淳之介と元女優の小嶺麗奈、7月にバンドRIZEのJESSEとKenKen、11月頭に元五輪代表のプロスノーボーダー國母和宏と元タレントの田代まさしが逮捕。そんな中でも、来年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』のメインキャストとして出演を予定し、撮影が始まっていたこともあり、沢尻被告の逮捕は特に注目された。だが、いくつか首をかしげる点がある。

 まず、逮捕直後に報じられた「10年以上前から、大麻やコカイン、LSDなどさまざまな薬物に手を染めていた」という本人の供述。その後に行われた尿検査の判定は陰性──薬物の“使用”は認められなかったのに、なぜ“所持”発覚の時点で過去の薬物体験まで話したのか? 薬物事件を多く扱ってきた弁護士のA氏は、こう話す。

「憲法上は取り調べでの黙秘権が認められているので、何も話さなくても違法ではありません。むしろ、それが捜査機関に対する唯一の対抗手段といってもいい。そのため、仮に私が弁護を担当していたら、まずは黙秘を貫くよう指示したでしょう。しかし、彼女は過去の薬物経験まで包み隠さず話した。おそらく、そうすることが裁判官や世間への誠実さのアピールとなり、ひいては情状酌量や社会復帰を狙える、という算段が弁護側にあったのではないでしょうか」

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