『ジョン・デロリアン』名車・デロリアンの開発者と隣人がたどる数奇な運命

『ジョン・デロリアン』

1977年、ジムは麻薬密売の現場をFBIに押さえられ、司法取引をし情報提供者となった。ある日、彼は隣人を麻薬密売の罪でFBIに売り渡す計画を立てる。その隣人は名車・デロリアンの開発者だった……。
監督:ニック・ハム、出演:リー・ペイスほか。日本公開は12月7日。

 映画『Driven』の邦題は『ジョン・デロリアン』。宣伝ビジュアルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)でタイムマシンに改造されて有名になったデロリアン社のスポーツカー、DMC-12に乗るジョン・デロリアン(リー・ペイス)。惹句は「この男、詐欺師か天才か」。まるでデロリアンの伝記映画のようだが、中身は全然違う。主役はデロリアンではなく、デロリアンの家の近所にたまたま住んでいたジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)である。

 1980年、民間飛行機のパイロットであるホフマンは妻と子どもを連れてロサンゼルスの高級住宅地に引っ越してくる。彼の愛車、ポンティアックGTOを見て、近所の男性が近づいてくる。「私がデザインした車だ」白髪で長身でハンサムな彼はジョン・デロリアンだった。

 デロリアンは25年、ルーマニア移民の父とハンガリー移民の母との間に、自動車産業の街デトロイトで生まれた。自動車工場で働きながら工業デザインを学び、MBAを取得した彼は、GMゼネラル・モーターズで、70年にシボレー・ノヴァ、シボレー・ヴェガなどを売り出して高く評価された。しかし、73年、自分の理想の車を作るために独立した。

 もともと飛行機や自動車が好きなホフマンはデロリアンと意気投合した。陽気で人懐こいホフマンを気に入ったデロリアンは彼を豪邸に招き、近所付き合いが始まった。

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