ヨーガン レールの渚

ヨーガン レール『On the Beach 2』より。

 ドイツ人デザイナーのヨーガン レールは、1990年代後半から石垣島に別邸を構え、農業をしながら自給自足に近い生活を送っていた。2014年に交通事故で帰らぬ人となるまで、日本や近隣のアジア諸国から石垣島の浜辺に流れ着くゴミを愛犬との散歩がてら拾い集めることを日課にしていたという。ペットボトル、ブイ、容器、漁網、子どものおもちゃなどを再利用して作られたカラフルなランプシェードの作品は、彼の死後に日本各地で展覧会が開かれたこともあり、「最後の仕事」としてよく知られているのではないだろうか。ヨーガンにとってプラスチックゴミをもう一度人の役に立つ実用的なものに変えることは、ものを作ることを仕事にしている人間としての「小さな抵抗」だったようだ。

 浜辺で撮影した写真をもとに構成された書籍『On the Beach 2』(HeHe/15年)には、打ち捨てられたビーチサンダルや靴の写真が収録されている。波に洗われて劣化したサンダルの中には、サンゴのかけらのように細切れになったものや乾いてひび割れたもの、貝殻などの自然物が付着しているものがあるなど、元は同じ形だったとは思えないほど、バラエティに富んでいる。

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